2社上場済+4社上場?:DGインキュベーションの国内案件予測リターンは約10倍

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2ヶ月ぶりのファンドリターンズ。予告にあったインキュベイトファンドではなく、本業として投資事業を展開するDGインキュベーション(以下DGI)を紹介。以前本誌のVCの赤本でも紹介した闘将・石丸氏率いるデジタルガレージの投資子会社。DGIは海外案件にも積極的に投資していますが、海外まで追えないので国内案件に特化したリターン予測をお届けします。

■ファンド概要

ファンドではないので割愛

■リターン予測

調査対象投資先:15社
予想IPO:6社
予想累計投資金額:13.4億
予想累計回収金額:136億
予想リターン倍率:約10倍
期間:2010年8月〜2014年10月の公開情報から集計

結論、予測倍率は10倍と出ました。GCP、CAV、ITV、IVPの分析をしてきましたが、法人としては最も高いリターンとなりました(注:元Gunosy木村氏のリターン予測は50倍)。本誌予想では6/15社、投資先の40%がIPOすると判断。

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*エクセルの表はクリックすれば拡大して閲覧可能です。本稿は細かいのでPCでの閲覧を推奨します。

IPO予測:フリルや大穴?Qiitaも含めると6社

スクリーンショット 2014-10-22 21.22.48まずはIPO予測から。既にIPO済みの銘柄としてメディアドゥとオークファンがあり、投資額はわかりませんが、保有比率は東京IPOに公開されているので、仮に保有株式を上場時に全て売却していた場合はこれくらいのキャピタルゲインと思われます(メディアドゥはロックアップあったかもです)。

それ以外に手堅そうな案件としてはファンドリターンに出るのも3度目となったクラウドワークス。ただ、予測時価総額は以前の記事と比べて市況を鑑みて抑えめとしました。東洋経済オンラインで取材した弁護士ドットコムも上場観測があり、手堅い回収が見込めるでしょう。

C2C市場でスーパーサイヤ人メルカリと戦うフリルも、既にある程度売上が上がっており、東洋経済オンラインで2015年のIPO予測を出しました。

大穴はQiitaで、本誌読者でも知らない方もいるかもしれませんが、プログラミング共有月額課金サービスとして知る人ぞ知る人気サービスのようです。僕も詳しくは知らなかったのですが、チームや個人に対する月額課金以外に、エンジニアのデータベースを握ってしまえば、リクルーティング市場でのマネタイズも見込めるため、月額課金のみではIPOの規模に伸びないが、リクルーティング市場も見込んでIPOと大胆予測をしました。Qiitaの予測が今回一番悩みました。

売却予想:グッドパッチには相当悩まされた…

スクリーンショット 2014-10-22 21.30.06続いては売却銘柄候補。HP上のポートフォリオからは消えていますが、料理写真共有アプリのSnapDishは既に投資簿価以上で売却済という話を聞きましたが、成長性に懐疑的で、リターンのない株式譲渡と予測。

アイリッジとtixeeは共にO2O銘柄で、KDDIの新構想であるSync.にO2O銘柄がまだあまりないものの、必要ではあるはず、O2Oカテゴリーのピースを埋める際に、位置情報連動サービスやチケットサービスはSync.に載るイメージがあるため、KDDIが買収と予測。

グッドパッチも予測に相当悩みましたが、プロトタイピングツールのProttはデザイナーの工数を削減できるであろう、ユーザビリティの高そうなサービスという印象を受けました。Qiita同様に個人ないしはスモールチーム課金なのですが、そこだけだと導入企業が国内だけでは天井が早い。海外展開が上手くいけばIPOもあり得ますが、国内では他にキャッシュポイントがないと判断しました。

ソフトバンクへの売却と強引なシナリオにしましたが、Prottによりアプリ制作が容易になる⇒アプリがたくさんあると儲かるのはプラットフォーム企業⇒Apple/Googleか通信キャリア。という発想です。

回収不能判断は5社だが、いずれも少額出資のため問題なし

スクリーンショット 2014-10-22 21.43.30それでは最後に皆さんの感情的な反感?をいつも買うであろう「回収不能銘柄」の紹介です。The Startupは「機関」ですので感情を排した判断を紹介してきます。

まずコマースのMONOCO。和製Fabと昨年騒がれましたが、Fab自体にリストラ話などがあり、市場として成立するのか懐疑的。本誌ではバーティカルコマース全般にはかねてから懐疑的な判断をしており、とあるコマースサービスはダウンラウンドで調達して辛うじて倒産を免れた状況と聞きます。MONOCOに関してはどこかが買収する可能性もあると思いますが、コマース全般行き場に困っているらしいと昨今は聞きます。

次は電力管理サービスのSassor。そんなにニーズないと思いますし、あまり使われてもいないと思う。gifteeも同様で、そもそもニーズの弱いサービスでユーザーの継続率が低いと推測。

最近ジャフコからの1.2億調達を実施したpapelookはDL数多いし、筆者の身近でも使っているユーザーを見たことがある。だが写真アプリがビジネスとして成り立つか懐疑的な本誌では、回収不能と判断する。Snapeeeに講談社が出資しているが、出版社からの写真アプリのM&Aはなさそうだ。現に写真アプリの苦しさから、SnapDishは早めに売却して損切りしている。ちなみに、papelookよりSnapeeeが人気らしいという調査結果もある。

HAMOLOは唯一筆者に馴染みのないサービスだったが、あまりアクティブに使われる印象を持てなかったので、回収不能と判断した。

DGIの国内投資先15社を見てきたが、回収不能と予測した案件への予測投資金額は全て1億を切っており、この辺が全滅でもポートフォリオとしては全く痛くないと言えるだろう。

国内で知られる海外拠点の投資先にも注目

今回は国内に拠点のある投資先のみ紹介したが、国内スタートアップ業界で馴染みのある海外拠点のサービスへの投資も見受けられる。

■日本で馴染みのある海外拠点投資先

TokyoOtakuMode:最近クールジャパン機構から15億調達
Anyperk:CA本体などから3億調達
Peatix:フィデリティなどから3億調達
Moneytree:DGIから1.5億調達

この中からもAnyperkを中心にリターンが期待できるだろう。

投資分野の傾向分析はそれほど偏りが見られなかったので簡単に紹介すると、B2BやO2Oがお好きなのかもなと。広告やゲームは1社もありませんでした。国内においては2014年1月以降の新規投資が見受けられず、闘将・石丸氏が昨今の国内バリュエーションの加熱ぶりに嫌気が差している可能性があると考えられます。投資ラウンドはシリーズAが多めですが、オンラボ出身のフリルやQiitaなどアーリーステージへの出資もそれなりの比率が見受けられます。

IPO予測の4社の着地がどうなるのかに全体のリターンは大きく左右されるため、4社のIPO動向に注目です。

【執筆大変なわりにバズらず凹むファンド・リターンシリーズ】

①:freeeの上場頼みか?IVP Fund II パフォーマンス予想
②:2013年1月組成のGlobis Fund IVは既に予想リターン4倍以上
③:Gunosy木村新司氏の個人投資家としてのリターンは約50倍?
④:サイバーエージェントベンチャーズ(CAV)は4.5倍
⑤:boxの一発で大きく変動?:ITV3号ファンドは3.6倍+α

【免責事項】

本稿はThe Startupによる独自の予測であり、DGIからの情報提供を受けた上での予測ではございません。あくまで予測に過ぎないことを、強調しておきます。回収不能と書かれた企業の皆様、The Startupのことは嫌いになっても、梅木のことは嫌いにならないでください。

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