ざっくりいうと…
IPOやM&AでのExitまでの道筋が見えやすく
投資して回収しやすいモデルだから
VCが出資しやすく、加熱している
2012-2013年の国内インターネット業界のブームの一つにコマースが挙げられ、中でもジャンル特化型のバーティカルコマースが加熱しているようにみえる。結論からいうと、バーティカルコマースはバーティカルであるがゆえにアップサイドが限定的であり、IPOまでいけたとしてもその後は商品群を横展開しないと厳しい。時価総額100-300億でうろうろする銘柄が増えると予測する。
■バーティカルコマースの成長シナリオ
1:ジャンル特化で垂直立ち上げ
2:顧客基盤を活かして商品群を横展開
3:楽天、Amazonと並ぶような選択肢として市場から認知される
上場企業のバーティカルコマース事例
・ZOZOTOWN(アパレル/モール)1,685億
・BUYMA(アパレル/CtoC)328億
・OISIX(野菜)278億
注:()の後ろは2013年6月5日現在の時価総額
アベノミクスで時価総額はバブっているのでちょっと当てになりませんね。これらの企業群に関しては、本誌では下記の記事でコメントを残しています。ざっくりいうと、その分野自体の市場規模と商品力の独自性が成長余力となります。
・ファッションECのBUYMAを運営するエニグモがIPO:ZOZOTOWNとの比較からBUYMAの成長余力を探る
・オイシックスのIPOにみるバーティカルコマースの限界
BUYMAはアパレルという市場が大きいことと、海外輸入モノという商品の独自性は他サイトと差別化できているため、アップサイドがまだまだあると当時は判断した。実際に(アベノミクスの織り込みがあるとはいえ)株価はかなり伸びた。
ZOZOTOWNは大きすぎますが、未上場セクターではBUYMAとOISIXをベンチマークに、バーティカルコマースはアリだよなと思われ、未上場企業へのVCが投資しやすい環境にあると推測する。
未上場企業のバーティカルコマース×投資家
バーティカルコマースへの投資を直近1-2年の公開情報を元にまとめた。
7社の調達があったようだ。そのうち5社がアパレル関連である点が興味深い。そして億単位で投資する主要VCはほぼ1社はどこかしらに投資している。尚、1億「以下」投資の案件はほぼ見られなかった。バーティカルコマースは立ち上げに資金が必要と市場から思われていると言い換えて差し支えないだろう
VC側はホットなトレンドをいくつか持っており、その中の1つにバーティカルコマースがポートフォリオの一つとして組み込まれていることがこの傾向から推測される。
バーティカルコマースはIPO後のストーリーが難しい
記事タイトルの「バーティカルコマースが加熱する理由」に対する回答は「IPOまでは見えやすいから、投資されやすい」。でもIPO後ってけっこうキツいと思う。スケールの観点で。
■実店舗をベンチマークにしたニーズ
百貨店である伊勢丹や高島屋が最強とは言い難く(最強な時期もあっただろうが)オンラインでもセレクトショップ的なニーズはあるだろう。たとえばOrigamiなどは実店舗市場であるBALSにそのまま当たるかもしれない。
■市場規模のニーズ
特にアパレルであればある程度の市場規模が見込めるであろうため、IPO
まではいきそうな気がする。ただ、靴や眼鏡はそれ単体では厳しく、当然横展開してくるはず。横展開してきた時に、Amazonや楽天、ZOZOとどう差別化できていて、そのサイトでユーザーが買う理由をどう作れるかが鍵。
■オペレーション
初期の戦略さえしっかりしていれば、オペレーションの方程式は見えやすい。それなりに高い単価か利用頻度の商材に絞り込み、最初にけっこうな額(数億あると望ましい)の資金を突っ込み、広告回してCPA最適化させるというサイクルを高速で回せばそれなりに早く立ち上がるのではないか。仕入れ力が立ち上げ時は特に重要なので、創業チームに業界経験や人脈がある方が望ましい。
■投資家の視点
ニーズはある。だが、ジャンル特化ではどこまで伸びるのか(スケール)が論点。IPOまではいくがその後の成長戦略は海外展開か商品の横展開という形になり、IPO後のエクイティストーリーが描きにくく、機関投資家の資金が集まりにくいと推測する。VCが投資するには手堅くて良い分野なんでしょう。VCにとってIPO後はぶっちゃけあまり関係な(ry
僕の後輩でわりと確度の高そうなバーティカルコマース(モール)を立ち上げそうなやつがいますね。興味のある投資家の方はご連絡下さい。僕でもこのモデルなら張れるなと思いました。
バーティカルコマース甘くねえよ!甘く見んな馬鹿!というコメントやツッコミなどもございましたら、お待ちしております。
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