Gunosy木村新司氏の個人投資家としてのリターンは約50倍か

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2015年3月24日追記:グノシーの上場承認が降りました。

◆記事:上場するグノシー、2015年3Qの営業利益は2億円

当該ファンドもその投資先も同業者も。みんながシェアしにくいらしいけど、こっそり人気コンテンツと化しているファンド・リターンズ。3回目にして番外編になりますが、Gunosy代表取締役木村新司氏の個人投資家としてのリターンに迫ります。

そもそも木村氏の投資資金の元手はどこかというと、木村氏はスマホアドネットワーク事業を運営していたアトランティス社を2011年1月にGREEに約20.8億で売却。その際のキャピタルゲインと思われます。売却前に2.8億の資金調達を実施していることもあり、木村氏の持分は最低でも50%前後と推測、キャピタルゲインは10億前後と思われる。木村氏の2014年6月時点での投資先は9社。まずは全体のリターンを。(ファンドではないが、累計投資金額に対するリターンを予測)

スクリーンショット 2014-06-20 18.41.29累計投資金額は4.18億。持株比率が大きく、IPO観測もあるGunosyを含むか否かでかなりリターンが変動するのでGunosy抜きの場合も算出。それでも、最低7倍のリターンにはなりそうです。まだ投資余力はあるでしょうから(GunosyがIPOしたらキャピタルゲインもあるでしょうし…)あと1-2年で+5億前後は投資してもおかしくない。となると規模的に10億くらいのファンドと変わりませんね。

個別案件を以下に見ていきますが、木村氏の投資傾向は一般的な個人投資家にありがちな「数百万円をバラまく」のではなく、張るところには大きく張るスタイル。個人なのにミニマムはシードアクセラレーターの数百万円より多い1,000万レンジが多く、時に1億突っ込んでくるのでシリーズAの投資家の競合にもなりうる。各ファンドが比較的ステージに特化しがちなのに対して、ステージに縛られていないユニークなスタイル。

Gunosyの強力な1発と手堅い回収が見込めるwantedly

スクリーンショット 2014-06-21 15.05.46■1:Labit

おそらくLabitに言及するのはThe Startupでははじめてでしょう。2011年頃には他にもwonder shakeなど学生スタートアップが流行りましたが、段階を踏んで成長しているイメージがあるのはtrippieceくらい。学生が起業に挑戦するのは全然良いと思いますが、1つの事業に集中し切れないスタートアップが多い気がして、いかがなものかと思っていました。Labitもそうですね。アクティブ率が懐疑的な「すごい時間割」をリクルートに事業譲渡していますが、会社は存続しているようです。

この手の案件は「個人投資家シンジケーション」が行われやすく、この案件はまさにその案件。個人投資家6人が300-500万ずつ出していると思われます。失敗しても個人投資家としてはそんなに痛くないでしょう。

■2:ビットセラー

FX Cameraの買収で知られています。2012年はFacebookによるInstagramの買収もあり、写真アプリスタートアップが乱立しました。本誌では写真アプリで上場は無理だろという記事を出している通り、写真アプリ単独でのマネタイズは難しく、国内の写真アプリ事業を核にしたスタートアップは10億前後での売却が関の山であり、現におねえ松本氏が率いるコミュニティファクトリーも約10億での売却となりました。(写真アプリのマネタイズはinstagramが着手し始めているので、今後注目ですね)

ビットセラーは既にとある上場企業売却済のようで、たしかな情報筋によると価格は約6億円とのことです。

■3:wantedly

あまり本誌では触れないようにしてきたwantedly。公式リリースが出ていないながらに、業界では暗黙知的に知れ渡っていますが、サイバーエージェント本体から約2億投資を受けています。wantedlyの予測はかなり難しかったのですが、仲さんがかわいくてカッコいいし、B2Bなので手堅く月額売上とか上がるだろうということで、2017年頃にIPOするかなと予測します。

ナショクラがどこまで載ってくるかが、成長スピードの鍵でしょう。スタートアップでは既にインフラと化しており、wantedly対策は必須という印象。そしてスタートアップのソーシングの際にwantedlyをロムっていないVCはセンスがないですね。

wantedlyにはクソなリクナビモデルを破壊してほしいですね。IPOがなくとも、リクルートやリブセンスへの売却シナリオもあり得ると思います。

■4:Gunosy

木村氏にとってGunosyは投資というよりも過半数近く保有しており、上場後も経営の舵取りをすることが予測され、リターンといよりも保有株式価値という見方になります。本誌独自調査によると、アプリ広告で最も費用対効果が良いのはGunosyという広告主もおり、Gunosy Adの立ち上がりは予想以上に順調そうです。

本誌では先日のグロービスファンド4号のリターン予測記事で、スマートニュースはグノシーに株式交換で売却という予測を出していますが、広告を売るノウハウがあるか否かで勝敗が付きそうです。「Gunosyは広告会社である」という話もどこかの記事で見たことがあります。上場時にいくら時価総額が付くのか楽しみ。

レイターステージのgumiに1億、ビットコインにも張る

スクリーンショット 2014-06-21 13.19.41■5:anyperk

なんか米国でブイブイ言わせているらしいanyperk。シリコンバレーに進出した起業家が軒並みダメで涙目で帰ってくる中、Y Combinatorにも採択され、実力派な印象。B2Bで福利厚生を提供するサービス。との理解で良いでしょうか。あまり情報がなく、疎いんですよね。クライアント数も既に2,500(HP参照)で米国の大手インターネット企業も利用。

100億での売却はちょっとコンサバに読みすぎた感もありますが、米国拠点なので読みにくくて。代表の福山太郎氏はIPOを狙うよりもサクッと売却しそうな雰囲気があるため(昔、恵比寿で一緒にウイイレやりましたが、覚えてますかね)売却というシナリオ自体は合っているのかなと。

■6:メドレー

知る人ぞ知る医療版ジョブセンスを運営するメドレー。ここの瀧口社長は僕と同い年ですが、相当の切れ者(で変わり者)な気がします。看護師とかに特化したジョブセンスだけでは、そこまでスケールは取れない。他の医療分野をどう拡張していくか次第でしょうが、安直ではありますが、一旦はリブセンスへの株式交換による売却と想定。しかし、ジョブセンスモデルもSEOが厳しくなってきている説もあるので、メドレーは独自に別のこともやりそうな気もしますが。

■7:コイニー

決済は熱い!とか業界内でもリテラシー高そうな人が口を揃えていっている気がしますが、僕はピンときません。決済は最も避けてきた分野です。サービス導入店舗数に付随する流通金額のスケールによる決済手数料、そのプラットフォームを取れた後にその上で他のマネタイズが云々。という話をされていますが、そもそもプラットフォームを取れるか懐疑的。スクエアの身売り話も出ました。

中小店舗はどんな低い料率でもクレカ決済手数料を取られたくないところの方が多いのではないでしょうか。現金決済のみではなく、クレカも扱えば商機は増えるという反論ロジックはありますが、色んな飲食店行った際に決済を注視しても、コイニーを見たのはfactoryくらいな気が。最悪セゾンが買ってくれると踏んでいるんでしょうが、既に50-80億のハイ・バリュエーションが想定され、そこからもうちょい頑張って200億くらいで売れれば御の字。と予測しました。

■8:gumi

gumiは業界関係者では説明不要ですね。木村氏は昨年末のラウンドで1億円投資。gumiは何回ファイナンスしているんだか全て把握するのが大変ですね。国光さんの持分ってかなり低いんじゃないでしょうかw gumiの資本政策は僕より調べるおさんあたりにインフォグラフィックで出していただいた方が良いかと思います。国光さん、持分比率に関するコメント、お待ちしておりますw

参考:2011.12の20億ファイナンス記事

■9:bitflyer

今回唯一リターン予測を確定させられなかった案件。まだ国内では数少ないビットコイン銘柄に既に張っておられるあたりに木村氏のセンスの良さが伺えます。ビットコインは法的リスクとも隣り合わせな印象があり、成功確度が高い分野であると僕には思えませんが、当たれば貨幣プラットフォーム(bitflyerは日本初のビットコイン取引所)であるがゆえにかなり大きなリターンになる可能性も秘めています。

僕も近々ビットコイン買ってみよう。むしろまだビットコイン買ったことないとか、情報の扱い手としては遅すぎる気がします。やばいやばい。

投資額に10倍近くの差も、IVPより多いリターン額?

木村氏の投資先9社を見ると、メディア系が多いようです。まだ国内では数少ないビットコイン銘柄にも張っており、市場のトレンドを早めに摘んでいこうという気概が感じられます。次に張るとしたら動画関連とかありそうな気が。

リターンは冒頭で述べましたが、シリーズの1本目で書いたIVPと比較すると面白いですよ。

スクリーンショット 2014-06-21 13.10.52木村氏の最悪のシナリオ(Gunosy抜き)としても、投資金額は8-10倍の差があるのに、最終的な回収額はIVPとあまり変わらないのでは。しかも木村氏は投資業が本業ではない。木村氏のファンドがあれば、確実に張りたいですよね。Gunosyの今後にも注目しつつ、木村新司氏の個人投資家としての活動も要注目です。

このシリーズ、バズらせにくいのはわかるんですが、頑張って書いているので、多くの人に読んでもらいたいですねw 連載の継続はソーシャルメディアの反応次第ですので、皆様の清き1pickをお願い致します。

次回予告:CAV Startup Fund1号リターン予測

【バズらないけど好評!?ファンド・リターンズシリーズ】

①:freeeの上場頼みか?IVP Fund II パフォーマンス予想
②:2013年1月組成のGlobis Fund IVは既に予想リターン4倍以上

2015年3月24日追記:グノシーの上場承認が降りました。

◆記事:上場するグノシー、2015年3Qの営業利益は2億円



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