ヒラメ筋のベルフェイスのLTVは700万円!タクシー広告の投資リターンは1.7倍

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B Dash Camp2019 fallのレポートです。定量化しやすいセッションで、ベルフェイスの数字開示が非常に面白かったです。

競争に勝つためのB2Bマーケティングのすべて

スピーカー:(敬称略)
三浦將太 フロムスクラッチ
中島一明 ベルフェイス
佐々木大輔 freee
田中弦 Fringe81

モデレーター:
田部正樹 ラクスル

B2Bマーケティングでは「検索クエリがそもそもない」という課題にぶつかるケースが多いようです。

モデレーターのラクスルの場合、「ネット印刷」で月間2万件程度の検索クエリ。カテゴリーの検索クエリ数が少ない場合、カテゴリー二依存すると苦しくて、自社サービス自体の認知を上げてクエリ数を上げる必要がある。

ラクスルの場合、全国のエリアをTier3まで分けて、富山などのニッチエリアから、中都市、大都市へとABテストを続けた結果、ブランド検索クエリ数が月間5,000件程度になったそうです。

それでは4社のB2Bマーケティングについて、詳しくご紹介していきます。

ベルフェイスのLTVは約700万円

ベルフェイスがもっとも数値を開示してくれていたので、会場でスライドで映されたデータを下記に整理しました。

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ARR数億円のとき、5億円を調達後に3億円を広告に投下した結果が下記です。(細かい数字は省略して概算値にしています)

LTV:708万円
平均月額:8万円
平均初期費用:12.3万円
平均アップセル額:63.7万円
月次解約率:1.28%
集計時期:2019年4月〜9月
獲得企業数:33件×LTV708万円=CM配信による期待受注額2.33億円
タクシー広告総コスト:1.39億円
タクシー広告投資リターン:1.7倍
総合CAC:108.6万円
総合コスト:3.05億円
受注社数:281社
オーガニック費用:7,570万円
WEB広告費用:6,280万円
イベント費用:2,738万円
CM関連費用:1.4億円
ユニットエコノミクス:6.5倍
CAC回収期間:12ヶ月

長くなりましたが、これらの数字を開示していただけているのがすごいですね。普通開示できないw

このマーケティングの経験をもとに、中島さん曰く

2,3ヶ月CMをやって、効果が合わなかった。というスタートアップが多いと感じている。ベルフェイスの場合、長い期間CMを放送し、マーケットを啓蒙する必要があると感じた。

調達後のスタートアップのマーケティングで気をつけた方が良さそうな話ですね…!

1.プロモーションマーケティングだけがCMではない。目的を考え、幅広いターゲットへのアプローチが必要な際にCMを使う
2.ベルフェイスは短期的な新規受注だけで、1.5倍のリターンを得た。認知獲得、利用促進、採用にも効いており、効果は上々
3.CM制作はけちらない、インパクトとあるある感を重視

ちなみにタクシー広告の制作費は1クリエイティブ3,000万円程度だったようです。

個人的には、タクシー広告のリターンが1.7倍ってちょっと低いような。LTV>CACが3倍以上になっていない…

他3社のマーケティング

ベルフェイスほど詳しくはないですが、各社のマーケティングで気になった点をご紹介。

☆freee

・会計ソフト、給与ソフトという言葉で検索クエリがある程度ある
・ロングテールのキーワードは単価が低い
・オウンドメディア(例.軽減税率コンテンツ)
・ブランディングの統一を社内のデザイナーと時間をかけて取り組んだことで、コストはさほどかかってない
・オンライン上のニーズが大きいので、派手にTVCMをやりまくるみたいなことをしなかった

マネーフォワードがTVCMを家計簿含めてですが積極展開しているのに対して、地味な印象があるfreeeですが、佐々木CEOがグーグル出身である点からも、リスティング広告は強いのかもしれない。しかも、クエリがロングテール含めてそれなりにあるので、リスティングで顕在層を確実に獲得するという打ち手が大事そうに思えました。

☆Unipos

マーケコスト:前期5,800万円→今期6.8億円
(タクシー広告、TVCM、イベント)
アカウント前年成長比:2.7倍
月次解約率:0.4-0.6%
アカウント獲得コスト:3,000円(許容上限1.5万円)
期待収益(広告費投下によるLTV総和):50-134億円(解約率1-3%という前提)
タクシーCM開始後:LPのPV4倍、リード5倍

最近はモーニングサテライトのTVCM、メトロのOOH、電車内広告を開始。課題顕在層は取れたが、潜在層は取れていないので、クリエイティブ変更して、潜在層に訴求していく予定。

Fringe81のIRからデータを整理すると

2020年1Q
導入企業数:280(YonY成長率220%)
アカウント数:30,000
予想利用料金:700円/1アカウント(ボリュームディスカウントを想定すると、もう少し低い)
MRR:2,100万円
ARR:2.52億円
アカウント獲得コスト3,000円
今期広告予算6.8億円
予想獲得アカウント数:22.6万
追加後アカウント数:25.6万
MRR:1.8億円
ARR:21.6億円

ん?6.8億円かけると、アカウント数が22.6万増えるのか?ざっくり、2020年4Qに広告費6.8億円使い切ってCAC3,000円だと、ARR21.6億円です。PSR10倍だと216億円で、広告事業がメインのため、現在のバリュエーションを大幅に上回ってきますね。

どうなっていくのか、今後モニタリングしましょう。

☆b→dash

月額:数十万円〜数百万円
ターゲット:B2Cサービスの会員データ1万件以上の法人
目的:ホットな商談の最大化(リード獲得含む)
コミュニケーションの流れ:ブランド認知→便益訴求
クリエイティブの狙い:サービスとカテゴリを紐付け、認知獲得
資料請求リード:月間6,000件程度(捌き切れてない)
認知率:21.6%→67.4%(1年で3倍)
セッション:6.9倍
リード:9.4倍
今後の広告予算:ミニマム月次1-2億円

ベルフェイスと同様、タクシー広告での露出が多い印象があります。ファーストビュー(乗車時に最初に配信される)占有率が高いなと感じます。

MAツールではなく、データパレット(SQL不要、ノンプログラミングでデータ加工処理統合できる)という点を訴求したいようです。

B2Bマーケはセールス領域にまで介入が鉄則、場合によってはプロモではなく、違うPをいじる(プライスなど)という話もあり、B2Bマーケティングの思想として、参考になると思いました。

以上です。



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