優勝はSaaS型iPaaSのAnyflow:B Dash Camp2019 Fall ピッチアリーナ

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B Dash Camp2019Fallのピッチアリーナです。今回は予想6社中3社が進出で、前回より的中率が下がってしまいました。

優勝は、SaaS型iPaaSのAnyflowでした。

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審査員(敬称略)
千葉功太郎 Drone Fund / 慶應義塾大学
江幡智広 mediba
木村新司 Das Capital SG
國光宏尚 gumi
守安功 ディー・エヌ・エー

下記が予想でした。予想記事はこちら

☆TheStartup予想()内はサービス名

優勝
Boulder(well):エンプロイーサクセス
→おい!予選落ちかよ!

本戦進出
Anyflow:SaaS型iPaaS
→次の優勝予想
Antway(つくりおき.jp):DINKS向けフードデリバリー
estie:オフィス賃貸探し
スペースエンジン:マケプレ(メーカーと小売)
tsunagu AI( FRONT-END.AI):開発(AIでフロントエンド)

本稿では簡単なサービス紹介と、会場でのQ&Aの様子を一部お届けします。

Anyflow:SaaS型iPaaS

https://anyflow.jp/
領域:SaaS型iPaaS
投資家:Coral Capital
調達額:2,000万円
UW評価:A
参考記事:リンク

SaaS間連携サービスで、ビジネス職のユーザーが使いやすい、ワークフロー作成ができる。UIのデモがありましたが、すごいわかりやすいUXでしたね。

デモのワークフローを作るには、エンジニアの工数が3週間かかるのが、ほぼゼロになる。

海外のiPaaSは多く、ARR50億円とか成長率300%のサービスがある。海外iPaaSの日本進出は難しいとANyflowは考えていて、日本のローカルSaaSに繋ぐモチベーションがグローバルのiPaaSはないと想定。

2019年10月にサービスインして、ノンプロモーションで問い合わせ100社。価格はサブスクで3万〜数十万円とのこと。

Q守安:海外サービスとどう差別化しているのか

A:海外サービス同士だと差別化が難しい。コンテンツマーケティングでリードを作ってコンバージョンしている。

Q千葉:国内限定のサービスを目指すのか。市場規模は?

A:現時点ではその通り。国内のSaaSの連携に強みがある。国内市場規模はiPaaSやRPAで1,000億円程度。クラウドSIの市場規模は5,000億円あるので、そこを取りに行きたい

Q守安:国内で2社しか類似企業がないが、海外のプレイヤーに買収されることについてどう考えるか

A:日本のSaaSをつないでいるiPaaSを買うのは合理的だと考える。

Q木村:資金調達した場合、何にお金を使いたいか。

A:KSFはどれだけ多くのSaaSに対応できるか。コネクト数。資金用とはエンジニアの確保。一回設定してしまえば、画面を開くことなく裏側で動いでいる。良質なワークフローをどれだけ多く集められるかが大事。データ活用が重要

梅木:プレゼンを聞いても聞かなくても印象は変わらず。良いですね。早期でM&Aが実現しやすい領域かもしれません。

ビスポ:LINEで飲食店予約

https://bespo.tech/
領域:飲食店予約
投資家:LINE Ventures、KSK Angel Fund
調達額:1億前後
UW評価:C
参考記事:リンク

LINEで条件を入れて飲食店予約のサービス。

当日のネット予約は食べログではほぼ対応していないらしく、当日の場合電話対応になってしまう。ローンチ後1年で、1万店舗の即時予約。JCBと提携し、ユーザー600万人。JCBのLINEアカウントの裏側で動いている感じ。

ビジネスモデルは課金とインバウンド。

全国の飲食店が予約のために使っている課金の市場規模は110億円、メーカーの販売促進費は2,000億円。メーカーに対して、LINEアカウントで横展開する。コーラのLINEフレンド上のトークルームから予約するシステムを提供する。

インバウンドでは(たぶんwechatの)ミニプログラムに採用されている。

Q國光:ビジネスモデルは

A:ビスポ実装後そのまま使われるので(事実上、SaaSといえる)。ベースで月額50〜100万円で、そこから難易度?ごとに額が変動する

Q千葉:どれくらいの売上のビジネスを想定しているか

A:2年後に(年商?)20-30億円程度を想定している。1アカウントあたり(年間)1,000〜2,000万円くらい(の売上を想定している)。100億円にするには、トップメーカーのマーケ費用を持ってくる必要がある。

Q守安:サントリーとかの企業アカウントから、レストラン予約するイメージが湧かない

A:企業アカウントでキャンペーンを打つ。もともと企業アカウントのファンがトークルームに見に来るというイメージを持っているので、使われる想定。

Q江端:店舗データベースはどうしているか

A:3つの予約台帳と連携しているが、サービスごとに取り組み強化への温度感は異なる。予約台帳に対しては最初は使用料を払ったが、今は無料で対応いただいている。

梅木:当日予約の需要がどれくらいあるのか、定量的にわかると良いですね。私はかなり前から予約する派なので、当日予約の比率がどれくらいかわからない。全体の10%程度だろうか。

メーカー向けの課金(おそらくSaaS)というのは、プレゼンを聞かないと把握できませんでした。ビッグB向けに月額数百万円もらって、LINE上で予約システムを提供する感じ。飲食店からは送客手数料を取らない。

LINE公式アカウントで友達数が多い企業から販促費を取ろうという考えと理解しますが、LINE公式アカウント自体のアクティブ率が非常に低いと感じる(あくまで感覚値であり、定量数字は把握していません)ので、人がいない場所からお金を取ろうという考えに見えて、サステイナビリティの観点でどうかな。と思いました。

LINE公式アカウントのアクティブ率が高ければ私の懸念は杞憂ですが、質疑応答でもあった通り、企業アカウントとのトークルームから仮にキャンペーン打っても飲食店予約するのか?というUXにも懐疑的でした。

cookpy:クラウドキッチンプラットフォーム

https://cook-happy.com/
領域:クラウドキッチンプラットフォーム
調達:不明

クラウドキッチン登録数:20店舗
ユーザー登録数:70名以上

飲食店を始めてみたいユーザーに対して、クラウドキッチンを提供するマッチングプラットフォーム。

Q國光:誰からいくらもらって利益率どれくらいか

A:店舗にレンタル料金を設定してもらい、マッチングした際に20%もらう。ゴーストレストランを開業した人からレベニューシェアをもらう。

Q江端:料理する方はどんな方か

A:アマチュアの料理人や、インスタでモチベーションが高い人が多い印象

Q木村:インドでは巨額調達でデリバリー市場が広がっている。今後市場がどれくらい広がると思うか?デリバリーとは違う使われ方の想定はあるか

A:国土の広い海外と比べると、日本が不利な印象はある。テイクアウトもあると思っている。

Q千葉:飲食店を個人が開業するには免許はどうなのか。スペースを貸す店舗からすると、貸す際に不安に思わないのか。

A:食品衛生の責任者がいれば問題ない。店舗の営業許可書があれば、誰が料理していても法律上は問題ない。

Q木村:美容師向けの類似サービスを見たことがあり、それは美容師が開業ハードルが高いというペインがあるので成り立つと思った。このサービスを使いたいユーザーにペインはあるか

A:強烈なペインはないと感じている。

梅木:プレゼンを聞いても、本選に進出できたのがよくわからなかった。予選の審査員に何が刺さったのか…

千葉さんのツッコミにありましたが、店を貸りて料理販売するのは、食品衛生免許的にグレーゾーンっぽい懸念もあります。手数料ビジネスなので、プラットフォーム上のGMVがすごい伸びないと難しい。

タテカン:不動産スキルマッチング

https://tatekan.work/
領域:不動産スキルマッチング
投資家:不明(VCではない)
調達額:5,000万円
UW評価:なし
参考記事:リンク

WeWorkを最初に日本に誘致した方のようです。不動産オーナーと、清掃員などの作業者のマッチングサービス。

不動産管理は、作業員とオーナーの間に中間業者がたくさんいるので、高コスト体質になりがち。具体的には、総合建物管理会社、ビルメンテナンス会社、清掃会社などの中間業者を省く。70項目以上の作業に対応。

基本利用料は無料で、マッチング時に不動産オーナーと作業者からそれぞれ10%の手数料をもらう。

(不動産オーナーが直接利用することを)めんどくさいと感じる不動産オーナーを抱える企業(管理会社ということか)からの発注もある。

3年で60億円の年間取引額(言い換えると売上12億円)を目指す。

Q國光:誰が客なのか

A:不動産オーナーは所有している個人(言い換えるとBもCも両方で全てのオーナー)

Q木村:オーナーにとって何割くらいのコスト削減が可能か

A:作業内容によっては、30-50%の削減が可能。

梅木:ちょっとQ&Aの引用が少なくなりましたが、不動産オーナーというCよりも管理会社というB向けの方が刺さりそうですね。

例えば、千葉さんが湘南の不動産の管理について、自分で清掃員にこのアプリで依頼するイメージは沸きません。

オーナーからするとマッチングを丸投げできるオプションサービスに注目が集まっていましたが、手数料モデルなので、マッチングすればOKという理解ですが、会場ではオプションサービスの理解がされにくそうだったので、説明の仕方を変えたほうがベターな気がしました。

スペースエンジン:メーカーと小売のマーケットプレイス

https://spaceengine.io/
領域:マーケットプレイス(メーカーと小売)
投資家:個人
調達額:4,200万円
UW評価:なし
参考記事:リンク

サイト上で、メーカー(サプライヤー)と小売(店舗)をマッチングするサービス。

米国でオンラインのみの小売がマイナス成長になったという話は個人的にはインパクトがありました。小売はオンライン完結せず、オフラインに進出していかないと成長が止まる。

ビジネスモデルは、マッチングが成立したら、売れた時だけ、サプライヤーは店舗オーナーに35%、スペースエンジンに15%の手数料を払う。委託手数料50%と考えると分かりやすい。委託販売のマッチングとも言い換えられます。

店頭流通総額は、2019年6,600万円、2021年で20億円(売上カウントで3億円)が目標。

Q國光:ポップアップショップじゃダメなのか

A:サプライヤーは最初は少ないSKUでオフライン進出したいと思うので、ポップアップより気楽に店舗での販売が出来る点が強み

Q木村:店舗選定に対してどういう付加価値をつけるか

A:自社店舗での実験では、Bluetoothのいいね!ボタンを商品の目の前に置いて、ユーザーのリアクションを見たりした。

Q江端:相性の良い商品と店は

A:加工食品はどこの店舗において売れやすい。英会話教室に、生姜キャンディを置いたら、売れた。お菓子はどんな店舗でも売れる。

Q木村:店舗のリアクションを知りたい

A:サービス系店舗が多い。今まで物販をしていなかった店舗が多い。美容サロンや射撃店など。アップセルの機会を伺っている店舗。

梅木:D2Cのオフライン進出に最適なプラットフォームといえます。D2Cからのウケはよさそうですね。ロングテールで対アマゾン的な文脈になるので、Shopifyが欲しがりそうなサービスですね。BASEやStores.jpを持つheyにマージしても良い気がしますが、すでにBASEと連携しているようです。

ロングテールなので、D2Cや小規模ECが伸びて、その先にオンライン完結だと各ショップがグロースしないので、オフライン進出の際にスペースエンジンが利用される。という絵は想像できますが、規模感の想像をしづらいですね。

どんな場所に何をおけば売上が最大化するかを見つけやすくなる、4PでいうとPlaceの革命で、Place最適化のPDCAを回しやすいサービス。個人的には市場規模推計をして納得感あれば、アリなサービスに感じました。

英会話教室で生姜キャンディを売るとか、面白いなと。Uberの中も早くミニ・コンビニ対応してほしい。ガムやグミがUberの中にあれば売れると思う。

FRONT-END.AI/フロントエンドコーディングの自動化

https://front-end.ai/
領域:開発(AIでフロントエンド)
投資家:NOW、ディップなど
調達額:数千万円
UW評価:なし
参考記事:リンク

大手クライアント向け開発の改善は限界にきている。デジタル→アナログ→デジタルなど、コーディングの時間がすごいかかる場合がある。20年間変わっていないプロセスもある。オフショアやニアショアはコスト削減はできるが、時間がかかる。

デザインをアップロードすれば、コーディングを自動化でき、98%のコストカットができる。850社強の企業から申し込みが殺到している。SaaS型で月額30万円〜とBPOプランを提供。

Q千葉:LP作るだけなら他のサービスがたくさんあるが、何が違うのか

A:(WIXやペライチなどの)デザインツールは個人ユーザー向けには良いが、(梅木補足:法人向けでは最適ではない…?)

梅木:このサービスは、プレゼンを聞かないと、テキストだけではよく伝わらない気がします。事前の予想の際に「よくわらないけど、コンセプト的に実現すれば良さげなので、本選進出」というロジックでしたが、プレゼンを聞くと予想より良かったので、本選進出も納得でした。

以上です。福岡にいらっしゃった皆さま、お疲れさまでした。次回は2020年5月に札幌のようです。



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