boxの一発で大きく変動?:ITV3号ファンドは3.6倍+α

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お楽しみのファンドリターンコーナー。今回はITV3号ファンドの分析を予測をお届けします。結論から言うと3.6倍+αと予測。

■ファンド概要

名称:テクノロジーベンチャーズ3号投資事業有限責任組合
組成:2011年4月
規模:54億
償還期間:10年と予測(2021年3月まで)
参考:ITVホームページ

■リターン予測

調査対象投資先:26社
予測IPO:6社
予測累計投資金額:50.5億
予測累計回収金額:185億
予想リターン倍率:3.6倍+α
期間:2011年4月〜2014年8月の投資先から集計

今回は26社全て予測を掲載しました。セグメントは「IPO候補群」「売却候補群」「海外案件」「清算候補群」の4つに分類しています。

*エクセルの表はクリックすれば拡大して閲覧可能です。本稿は細かいのでPCでの閲覧を推奨します。

IPO国内予測は5社:クラウドワ○クスのリターンが最大?

スクリーンショット 2014-08-20 11.37.15ラクスル以外の4社はGCPかCAV記事で解説済み。本連載も5本目なので、過去記事は読んでくれている読者が多いものとして、解説済み案件の解説は省きます。記事下に過去記事リンクを貼るのでそちらを参照。予測数値の変は今回はありません。

ここ最近のITVの傾向として、3号ファンドの残り金額がかなり減ってきていると聞いており、単独でのシリーズAではなく、レイターステージでフォローとして入るか、シリーズAでも単独ではなく協調出資的なスタイルを取っています。

とはいえシリーズAで単独かそれなりにシェアを取った案件のIPOがリターンは最もあるはずで、シリーズAでリードを取ったクラウドワ○クスとiQonがどこまで跳ねるかが肝です。

Valuation的にレイター案件であるメルカリ、ラクスルはシェアが一桁前半の%と思われるため、IPOしてもリターンはさほど大きくならないのでは。メルカリの予測Valuation相当強気にしちゃってますけどね。

小粒売却案件7社程度と予想:schooはGREEに30億で売却

スクリーンショット 2014-08-20 11.40.32

ここは少し細かく見ていきます。売却候補案件です。既にスマポは楽天に売却済ですが、売却時Valuationは20億という説を小耳に挟んだ気が。

Peatixは東洋経済オンライン記事で書いていますが、ロングテールで効けばGoogleと相性の良いモデルであり、Googleへの売却がベストシナリオ。東洋経済での予想より金額はコンサバに見ました。

今後GREE vs DeNAのスタートアップ買収合戦が始まる様相があり、コンテンツ系は両社の買収戦略にあり得そうな気がするので、Tokyo Otaku ModeとSchooがGREEに売却するというシナリオとしました。

schooは森くんが「30億で売却などあり得ない」と主張が入ることが目に見えていますが、市場から冷静な目で見ると30億での売却はそれなりに現実的且つ良いシナリオです。このシナリオに対してどういう目で見られるかは、本稿へのリアクションで図っていただきたい。東洋経済オンラインでは森くんの勢いに押されて100億でIPOというシナリオを描きましたが、下方修正です。というか僕の東洋経済オンラインでの見方は相当甘いんでしょうね。

PairyはBetweenに出資しているDeNAがなぜか買うというカオスなシナリオにしておきました。DeNAがBetweenに出資しているなら、GREEがムキになって買収する。というシナリオもありそう。

fringe81は経緯がよくわかりませんが、ユナイテッドからのMBO案件とのこと。この手のアドテクはノボットやスケールアウトなどの過去実績を元にKDDIがサクッと20億くらいで買っていくイメージがあるので、今回も同様のレンジで想定。

XICAのような統計系は手堅くお買い上げしてくれるB2B企業がいそう。

海外案件はクラウドストレージのboxの一発に期待

スクリーンショット 2014-08-20 11.52.15海外案件をまとめるのはかなり大変ですね。

boxはIPO間近との話がよく出て、IPO時の予測Valuationは1兆円という説があります。それをそのまま適用。大型IPOなのでITVが何%シェアを持っているかで相当リターンが変動します。ファンドサイズからして1社に二桁億は張らないと思うので、投資金額は5億と予想しました。

問題児なのがFabですが昨年はコマースの旗手として名を挙げましたが、昨今はリストラの話などもよく聞き、先行きが不透明です。既に1,000億の時価総額になっているようなので、Amazonがそれ以上の価格で買ってくれるとも想定しにくく、リビングデッドと置きました。そういえば2014年に日本上陸説もありましたが、まだでしょうか。

海外案件は既に3社が売却済。エネルギー関連のHara、セキュリティの41st parameter、動画のooyalaです。Hara以外の2社の買収金額はcruchbaseから拾えたので予測ではなく実績値。ただ、いつどれくらいの金額でITVが張ったのかは公開情報から上手くトラッキングできないものもあり、特にooyalaはどっかで株式譲渡で取得したとかかも。ITVのHPの投資先一覧には出ていますが、資金調達ニュースやcrunchbase上では見つけられず。

Double RecallとThuzzはニュースを見る限り直近の動きがあまりないので、期待できない案件かなと推測。

コマース案件はほぼ回収不能。どうなるロコンドの行く末

スクリーンショット 2014-08-20 12.00.49確実に物議を醸すのがこのセグメント。左から見ていきます。

Snapeeeは既に何度も登場しているので説明不要ですが、直近で4億調達しています。そんなにValuationを上げても出口はもうない気がしますね。。

SG(サティスファクション・ギャランティードの略)は最近MBOしたというニュースをどっかで見ました。事業はあまり順調じゃなかったという説も聞いていたので、投資簿価での回収と予測。

問題児なのがコマースですね。ITVの特徴としてコマースに多く張っています。MUSE&COはIVPリターン予測の際にも書きましたが、加えるならば客単価が安いがオペレーションコストは高いという二重苦状況と聞いており、買い手が見つからないと予測。漫画全巻のTORICOも相当薄利と聞いており、買い手が見つからない。

最大の問題がロコンドですが、too big too fail な香りもします。これはドイツのVCであるロケットインターネットがザッポスの横展開だ!的なノリでまさにロケット的な立ち上げをしたのですが、3.11を契機にロケットの人たちが「地震怖いよ」と母国に帰ってしまったりしてロケットスタートにつまづいた。それをITVとリードキャピタルが蘇生した案件。

売上のトップラインは伸ばしやすいですが、返品無料とかやってると利益も出にくいでしょうし、国内においてもAmazonでいいじゃないですかと思う。ちょっと出口が見えない案件です。強引に上場してもあまり値が付かないと思う。リビングデッドと推測。

tabはITV2号ファンドで頓智ドット時代に突っ込んだ案件ですが、これは蘇生のためのサンクコストディールと僕は見ており、回収不能。損切りって難しいですよね。

最後の車いすのWHILL。メディアではよく見かけますが、社会的意義のあるサービスではありますが、あまりスケールイメージが沸かない。どこかが買収してくれる香りもしますが、ちょっと読み切れないので据え置き的な判断でリビングデッド分類としました。ここに関してはITV浅田さんよりぜひNewsPicksでコメントいただきたいですね。

コマースへの投資が多いが、回収率は50/50か?

最後に投資分野の傾向分析。

■コマース:7社

Fab、メルカリ、ラクスル、iQon、ロコンド、TORICO、MUSE&CO

伊藤忠は商社の中でも屈指のアパレルの強さを誇ります。FabやiQon、ロコンド、MUSE&COは明らかにそこのシナジーがあるはず。お互いにマッチングしやすいのがコマース分野ですが、成功確率が必ずしも高いとはいえないと思います。

■コンテンツ:5社

schoo、TOKYO Otaku Mode、SG、ooyala、Thuuz

分類すると案外多かったのがコンテンツ領域。海外も含みますが。

その他は各分野1,2社ずつだったので主立った傾向はないと捉え、割愛。広告、クラウド、CGMが2社ずつ。大きな特徴としてはゲームへの投資が一件もない点ですね。ゲームはお嫌いでコマースはお好きなITVという感じでしょうか。

以上です。3.6倍+αという数字はGCP4号ファンドより若干劣るものの、悪くはない数字ではないでしょうか。

先日のCAVリターン予測記事をご覧になったCAV田島さんにお話を伺ったところ「社内では10倍リターンを目標としている」とおっしゃっていました。アーリー特化で10倍であればITVのようなシリーズA中心のファンドは5倍もあればまずまずといったところではないでしょうか。海外案件のEXIT率が高いのが今回の調査で目から鱗だった点ですね。今後のEXITになりますが、boxやFabといった海外のメジャー案件に入り込めている日本のVCはあまりなく、そこに入り込めているのがすごいと思いました。

ITVの風呂デューデリはまだあるのだろうか。乳首にモザイクのかかった河野さんの裸の写真をFBで見た気がしますね。

【次回予告】

そろそろしんどくなってきた…。インキュベイトファンドあたりですかね。

【執筆大変なわりにバズらず凹むファンド・リターンシリーズ】

①:freeeの上場頼みか?IVP Fund II パフォーマンス予想
②:2013年1月組成のGlobis Fund IVは既に予想リターン4倍以上
③:Gunosy木村新司氏の個人投資家としてのリターンは約50倍?
④:サイバーエージェントベンチャーズ(CAV)は4.5倍

【免責事項】

本稿はThe Startupによる独自の予測であり、ITVからの情報提供を受けた上での予測ではございません。あくまで予測に過ぎないことを、強調しておきます。回収不能と書かれた企業の皆様、恨まないでくださいね。

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