リターンベイベー♬サイバーエージェントベンチャーズ(CAV)は4.5倍:Fund Return④

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お待たせしました。バズりにくいけど、マニアにはたまらないらしいFund Returnのコーナーです。予告通りCAV編。48社あり、執筆に10時間くらいかかりました。サイバーエージェント研究会の執筆者の方にお楽しみいただければ幸いです。

CAVといえばなぜか投資先に恋するフォーチュンクッキーのダンスを強いたこともありますね。投資先の皆さんはさぞ断りにくかったでしょう。踊りのキレのなさがそれを物語っています。

田島さん、リターンを占って欲しいですか?

リターン リターン リターン ベイベー♬

スクリーンショット 2014-07-26 11.53.55占った結果、4.5倍+αとなりました。

■ファンド概要

名称:CA Startups Internet Fund 1号
組成:2011年7月
規模:24億
償還期間:10年と予測(2021年6月まで)
参考:CAVホームページ

■リターン予測

調査対象投資先:48社
予測IPO:4社
予測累計投資金額:24億円(既に2号ファンドからの組入開始のため)
予測累計回収金額:107.6億+α
予想リターン倍率:4.5倍+α
期間:2011年7月〜2014年6月の投資先から集計

■2号ファンド

2014年5月に50億規模で組成
参考記事:TechCrunch

結論、リターンは4.5倍となりました。この算出ロジックは48社あるので非常に長いですが、個別銘柄を見ていきましょう。

現状のIPOはレアジョブだけ。レアジョブのリターンは低い

既に1社だけIPOしていてます。レアジョブですね。レアジョブに対しては懐疑的な見解を本誌では出しています。

■レアジョブ株でのCAVリターン予測

CAV保有比率:0.75%(東京IPOより)
予測投資金額:約3,000万
上場時レアジョブ時価総額:約80億
上場時に売却と仮定:約6,000万を回収
予測リターン:2倍

CA本体の保有比率が1.76%。CA本体保有分は長期保有の意向があるとの記事が出ています。CAV的には相乗りおまけディールですね。ここはさほどファンドリターンに影響を及ぼしていません。

IPO予測4社:Retty、クラウドワークスがリターンの肝

スクリーンショット 2014-07-26 11.15.35IPO予測は4社となりました。媒体事情により多くは語りませんが、クラウドワークスには既に上場観測が出ていると各方面から聞いています。あとはどれだけ利益が出ていてどれだけ時価総額が付くかという問題でしょう。

今回48社を分析して予想リターンが最大となったのが実はRettyです。まだマネタイズは開始していないようですが、食べログの事業価値をカカクコムの現在の時価総額で算出した時には時価総額約1,000-2,000億ともいわれており、市場規模はそれなりにあります。武田さんは時価総額は100-200億なんて舐めるな!と言っていましたがw 僕は上場時に300億も付くとは思えませんので、150億と置きます。CAVの持株比率がけっこうあると予測しているので、予想リターンが最大となり、Retty1発でファンド全体がペイする可能性があります。

A-STARに関しては藤田さん肝入り案件という説もあり、シリアルアントレプレナーの企業ですので、手堅く上場までいくのではと。しかし、そこまでスケーラビリティのあるモデルにも見えないので小粒上場と推定。

最後のreluxは大穴感があるかもしれませんが、一休の代替となる旅行メディアには社会的ニーズがあり、オリンピック景気もあってインバウンドの流れが加速すると思うので事業が伸びて手堅く上場までいくと踏みました。

3億以上増資案件6社:M&Aでの売却益で積み上げを狙う

スクリーンショット 2014-07-26 11.25.50次は大型増資案件。3億以上の増資案件はIPO編の2社含め48社中8社です。

cakesは月額課金が劇的に伸びると思えず、noteも伸びるとは思えない。しかし、編集力はある企業であり、出版社がレーベルとして傘下に収めたいと考える可能性があります。スタートアップ投資に積極的らしい講談社が買収すると踏みますが、さほど価格は付かず20億程度と予測。

ビッグデータのFlyDate。米国籍企業らしく、HPを見ても僕が弱い分野だからか正直事業内容がよくわからず。データちゃんと溜めてソリューション提供できる事業であれば売れると思います。500startupsが株主に入っているのが興味深い。

コイニーは前回の木村さんリターン予測でも登場しましたが、各方面からの話を聞くと予想以上に厳しそうなのでEXIT時時価総額予想を大幅に下方修正しました。楽天スマートペイの方が全然優勢らしいですね。

Dennnoは動画のアドテク。動画領域の盛り上がりに対して、Yahoo!やGoogleがこの技術をいくらで欲しがるようになるかというところが肝。50億くらいが現実ラインと読みました。

anyperkは色んなところからいい評判を聞きます。アップサイドもっとあるかもしれませんね。

KAIZENはグロースハッカーという人自体数がいないと思いますし、グロースハックツールを月額で使い続けるか疑問ですし、ロングテール部分もさほどパイが大きいとは思えません。上場はないでしょうね。

6社中3社が「B2B企業に売却」という非常にファジーなシナリオを想定しましたが、「どこかが買ってくれるだろう」という予測は自分でもちょっと甘いよなと思っています。現実はもっと厳しいでしょうし、3社中1社くらいが売れれば良くて、あとはリビングデッドというのも十分あり得ます。

1億以上増資案件8社+1社:webpay、talentioに期待

スクリーンショット 2014-07-26 11.58.341億以上増資案件は8社。

Snapeeeは最近大型増資を完了したという噂もありますが、写真アプリでは十分な収益化は不可能という本誌の見解は変わりません。写真枚数だけでは買い手は現れず、回収不能と予測します。これはmiilも同様です。

部屋写真のRoomClipに関してはCAVはラウンドの過程でEXIT済みという情報を得ているので、その前提で算出しました。RoomClipの直近のユーザー数は30万とのこと。

BeatroboのようなIOT系にチャンスはあると思いますが、ガジェット系は30億くらい調達しないと普及させられない。同社にそこまでの経営力はなく、回収不能と予測。

トークノートは法人SNS。yammerのようなものですが、飲食店などガテン系に強い印象で、情弱層からの課金はスイッチングコストを上げやすく、案外伸びると見ていますが、単独でIPOまではいかず売却と予測。

スクリーンショット 2014-07-26 11.58.41リボルバーはmixiのコミュニティ機能をオープンで作れるようなものにピボットしましたが、緩やかにサロンの競合にあたります。コミュニティ運営ってよほどモチベーションがないと続かないのでスケールしない。回収不能と予測。

Mutation Studioは唯一のゲーム案件。アドウェイズの凄腕プロデューサーの独立ということで話題になりましたが、あまり話は聞かない。ゲーム系は上場後のgumiが安値で買い漁っていけばいいのではないでしょうか。国光さんのコメントをお待ちしておりますw

webpayは決済ですがコイニーより無理ゲーな感じはしません。コイニーは今までカード決済をしなかった中小店舗にカード決済を導入するハードルを下げるサービスですが、webpayはオンライン上の決済ソリューション。既にスタートアップでは導入が進んでおり、手堅くカード会社に売却できる印象があります。

最後に1億以上の増資ではないですが、注目銘柄としていれた人材ビッグデータのtalantio。リクルーティングだけでなく人材配置の最適化にも使える。リクルートあたりが喉から手が出るほど欲しがり、いい価格でリクルートに売却と想定。

個別案件の予測は以上となり20社のリターン合計は107.6億となり、24億全て使い切ったと想定すると約4.5倍です。残り28社に関しては回収不能、ないしは直近の投資案件(2014年など)のためボラティリティが高すぎて予測を据え置きとしました。ここから2-3社は化けるでしょうから、その分を+αのアップサイドと見込み、最終リターンは5-6倍まで伸びるでしょう。個人的には東南アジア案件である決済周りのYOYO Holdingsあたりに期待。

投資分野別傾向:EdTech9社、B2B7社など

最後に投資分野の分析です。48社を分野別に分類。

■EdTech:9社

レアジョブ、code camp、mana.bo、Lang-8、トーキョーストーム、ストリートアカデミー、LangeCloud、BestTeacher、ファンタムスティック

なぜかCAVはEdTech多いんですよ。レアジョブはIPO済みですが、EdTechは儲からないが持論の僕は今回のリターンに残り8社は含んでいません。この中でいうとmana.boやcode campあたりに可能性を感じるかな。

■B2B:7社

クラウドワークス、トークノート、anyperk、KAIZEN、pLucky、visasq、FlyDate

「人材」や「決済」もB2Bではあるのですが。B2Bは手堅く伸びそうな企業の比率が高い。

■人材:4社

A-STAR、talentio、リーディングマーク、garbs

CA本体投資からはwantedlyですね。

■写真:3社

Spicy Cinammon、Snapeee、miil

写真アプリで上場は無理ですので、上手いEXITがあるといいですね。

■CGM:3社

Retty、Room Clip リボルバー

昔は鉄板の領域だと思われたCGMは最近は案件数自体が少ない印象。

■決済:3社

YOYO HOLDINGS、web pay、コイニー

決済領域がなぜこれだけ盛り上がっているのかイマイチわからない。。

■C2C:3社

WishScope、マッチアラー、 wonder shake

この分野は全滅ですかねー。

■メディア:2社

relux、vingow

元祖ニュースキュレーションのVingow、今や見る影もなし。

■コンテンツ:2社

cakes、フーモア

個人的にはこの投資領域はまだまだチャンスあると思う。

■アドテク:2社

Dennno、サムライインターナショナル

もう書くの疲れてきた・・・

■コマース:2社

MONOCO、おかん

CAVはアーリー投資特化だからかコマース案件が少ないのが特徴。コマースはあまり儲からないと思うので、賢明かと。ちなみにサイバーエージェント本体にもコマース事業は皆無です。

■IOT(Internet of Things):2社

カブク、Beatrobo

カブクは3Dプリンタですが、この市場全然疎いのでわからず。化ける可能性あるのかなあ。

■その他:6社

トイロ(保険)、Mutation Studio(ゲーム)、マイクレジット(FinTech)、スポソン(コミュニケーション)、Kaddit(不明)、イモノミ(不明)

48社投資先あってゲームが1社だけです。ゲームも旬が過ぎたか、アーリー投資と相性が悪い(ある程度の資金額が必要な領域)といえそう。

以上です。CAVのリターンは4.5倍となりました。アーリーで4.5倍という数字はいいのか悪いのかぶっちゃけよくわからない。シリーズA以降の投資で4倍のGCPの方がリターン総額は大きいので良い気がしてきますが、LPにとっては倍率をフラットに見ればいいんですかね。例えば2億投資して9億戻ってくる分に変わりはない気がします。

アーリー特化ファンドは案件数が多くて大変なのでしばらく控えよう。残り28社に関してはサロンで個別分析しましょうかね。。。回収不能とか「その他28社」の企業とかから「ふざけんなよ」って思われるんだろうなー。The Startupは広報誌ではないんでね。業界のヒール役として頑張りますよ。

【次回予告】

伊藤忠テクノロジーベンチャーズ(ITV)3号投資事業有限責任組合
リターン予測

【執筆大変なわりにバズらず凹むファンド・リターンシリーズ】

①:freeeの上場頼みか?IVP Fund II パフォーマンス予想
②:2013年1月組成のGlobis Fund IVは既に予想リターン4倍以上
③:Gunosy木村新司氏の個人投資家としてのリターンは約50倍?

【免責事項】

本稿はThe Startupによる独自の予測であり、CAVからの情報提供を受けた上での予測ではございません。あくまで予測に過ぎないことを、強調しておきます。回収不能と書かれた企業の皆様、恨まないでくださいね。

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