バンタン買収は50億円?:ニコ動プレミアム会員数が236万人に達したドワンゴ決算と今後の展開

Pocket


cakesの連載をまとめたドワンゴ川上さんのニコニコ哲学-川上量生の胸のうちを読んだので、角川ドワンゴの決算を見てみた。ドワンゴに関しては2013年10月に本誌で決算分析記事を出している。

角川の方は2014年2Qの決算となっており、決算説明資料でも説明が乏しく面白くなかったので割愛する。2014年2Qは売上約700億、営業損益は約9億円と赤字転落している。2014年11月20日時点の角川ドワンゴの時価総額は約1,600億円。

本稿ではドワンゴの2014年通期決算や最近の動きを紹介します。

ニコニコ動画のプレミアム課金者数は236万人に

ドワンゴの決算情報のサマリーです。

スクリーンショット 2014-11-20 12.54.23スクリーンショット 2014-11-20 12.56.22ドワンゴジェーピーなどの音楽配信が分類されるモバイル事業ではフューチャーフォンでの収益が主と思われ、スマホシフトに苦戦しているからか、減収減益。「ライブ」セグメントではニコニコ超会議とかをやっているので7億円の赤字。ドワンゴの主力はポータル事業でこの中にニコニコ動画が含まれます。ニコニコ動画の決算説明資料のスライドを貼っておきましょう。

スクリーンショット 2014-11-20 11.58.16

e52544d179aef3a694189d66cd28bd76

スクリーンショット 2014-11-20 11.58.38

2013年通期決算の図と比べるとわかりやすいので、挟んでおきました。プレミアム会員数は年間で+36万人伸び、236万人。無料会員からの転換率は約5%ですが、全体で見ると5.5%程度ですがこの1年の伸びの分だけで割り出すと4.7%程度と少し低下してきています。しかし、月額課金で236万人はやはりすごい。本誌の昨年の記事では「3年で300〜400万に伸びる」という予想を出しており、このペースを維持するとちょうど3年で300万人にかな。

プレミアム会員のライフタイムを1年と置くとARPUは540×12=6,500円となり、236万人が課金しているとすると売上は約140億円となり、ポータル事業の約77%を占めるという計算になります。ニコニコ動画では今後は広告やポイントでの収益拡大を頑張りたいという記載がありました。無料会員4,300万もいるならもっと広告で売上作れるはずですよね。ここは成長余地があるはずですが、むしろ今までサボってたんじゃないかw と思う。

バンタン買収価格は50億円?ドワンゴの積極的なM&A

このところ目を見張るのがドワンゴのM&A攻勢だ。直近のM&Aを下記にまとめた。

2014/9/25:i文庫(電子書籍ビューワーアプリ):取得価格非公開
2014/9/26:トリスタ(読書メーター):取得価格17億円
2014/11/13:バンタン(クリエーター教育):取得価格非公開

ちなみにバンタンの大株主はジャフコであり90%を保有していた。ということは、バンタンは上場を狙っていたんでしょうね。IRニュースをそのまま貼ってみましょう。

スクリーンショット 2014-11-20 13.23.02

スクリーンショット 2014-11-20 12.32.09売上も営業利益も下降トレンドですが、毎年営業利益10億近く出ている。非インターネットなのでさほど高いPERは付かないでしょうが、上場している学習塾運営会社の財務データの記事があり、これをマルチプルに置くと6-8倍程度ではないでしょうか。すると、ざっくり見積もってバンタン買収は50億円前後(純利益7-8億×PER7倍程度。)と予測することもできます。

角川ドワンゴのキャッシュポジションはこんな感じです。

■保有現預金(2014.9時点)

ドワンゴ:約108億円
角川  :約326億円

バンタンもトリスタもドワンゴでの買収なんですよね。実際のバンタンの買収額は非公開なのでわかりませんが、トリスタで17億円使っていますから、キャッシュポジションの割には攻めるなという印象です。角川のお財布も使ってのM&Aも今後はあるかもなと。バンタンに関してはクリエイターを囲うことでニコニコ動画へそういったクリエイターを送客するというシナジーを見込んでいます。

トリスタなどの読書メーターの方は角川が持つBOOKWALKERに付加価値を付けるために買ったとあり、ITメディアのこの記事の解説がわかりやすい。BOOKWALKERってはじめて聞きましたが、ライトノベルが多いんですね。売れてるのかなあ。。

ドワンゴが次に買収するスタートアップは?スクー?

決算短信にも「M&A頑張りたいっす」と書いてあったので、バンタンで一段落して終わるとは思えないんですよね。

ニコニコ動画という強力なプラットフォームを持っているので、そこに乗っかるコンテンツを欲しがると思うんです。バンタンは将来的にコンテンツになりうる人材を囲っているから、中長期で見た時にコンテンツプロバイダーをニコニコ動画に流し込む措置となる可能性がある。だから50億円程度でも買った方がいいんじゃないかという判断に至ったのではないでしょうか(価格はあくまで推測ですからね)

となるとコンテンツを持つスタートアップターゲットになります。動画コンテンツであればYouTuberを抱えたプロダクションが相性が良さそうですが、わざわざ競合するプラットフォームで強い人たちを買収しようとは思わないのではないか。よってYouTube関連銘柄は買収対象から外れるはず。

個人的にはスクーとかのコンテンツ企業をドワンゴは欲しがるんじゃないかと思います。森くんは売りたがらないと思いますがw

関係ないですがクラウドソーシング会社もユーザー視点で考えれば大手1社の方が利便性ありますし、スクーとニコニコ動画もスクー出演者はニコニコ動画のプラットフォームも通してより多くの視聴者を得られれば露出効果あるし、ニコニコ動画にとってはコンテンツ拡張できるしで、ユーザーから見たシナジーはそれなりにあると思うのです。ユーザー視点での成長を考えるのであれば、ニコニコ動画の業務提携なり資本関係というのはあって然るべきかなと。

多分スクーがドワンゴに買収されることはないんでしょうが、事業成長か単独路線かというのは多くの起業家にとって悩ましいトピックではないかと思います。他にドワンゴが買いそうなコンテンツ企業はどこかなあ。

最後に川上さんの本をご紹介。角川と合併したこともあり、ゲームメディアが欲しいと本書にあった気がする。角川はアスキーとかも傘下にありますから、ゲームメディアは欲しそう。KDDIから出資を受けているAppBroadCastとか10億円台前半くらいであればドワンゴの買収対象になり得るなと思いました。あとはGameWithとかですかね。今後のドワンゴのM&Aを楽しみにしております。

New!広告出稿をご検討の方はこちらをご確認下さい。 

New!資金調達に関するごくライトな助言は無料で受け付けております。投資事業もやっているので、こちらのチェックリストに照らし合わせた上で、ご興味ございましたらご連絡ください。

500名突破のUmeki Salon10名限定で追加募集してます!内容の参考:トーマツFast50の謎とQiitaがイケてる件

reluxでたまに旅行に行って癒されています。僕の紹介キャンペーンコード【IP_WBXLP】をぜひ使って登録してください!

梅木雄平が選ぶ珠玉の書籍40冊

コーヒーミーティングで梅木に「いつかお茶したい」しよう!

今日も適当にツイート中。 @umekida

 šƒoƒi [RGB -72dpi i685 ~65)_



Pocket

コメントを投稿する

「バンタン買収は50億円?:ニコ動プレミアム会員数が236万人に達したドワンゴ決算と今後の展開」に対してのコメントをどうぞ!