楽オク5周年記念の動画プロモーションにみる「伝わる」動画の3つのポイント

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スタートアップ系のサービスを中心に、チュートリアル代わりにログインページに1-3分程度のサービス紹介ムービーを設置しているケースを多く見かけます。

動画プロモーションは効果測定が難しく「ないよりはあった方がいいだろ」的な感じで導入するところも多そうだなと思います。サービスを利用してもらわなければ始まらないため「動画を設置して会員登録のCVRが幾分か上がればいいだろ」という目論みでの設置が多いと思います。

今回は秀逸だな思える動画プロモーション事例を発見したので、その事例分析を元に「良い動画プロモーションのポイント」を考えてみたいと思います。

ケーススタディ:楽オク5周年記念動画が秀逸な件

楽オク5周年記念動画が秀逸です。シリーズ物ですが私のオススメは「ツイートが、やばい」シリーズです。まずは四の五の言わずに視聴することをお勧めします。

楽オクの動画

内容はタイトルから推測できる通り楽オク5周年企画のキャンペーンがあり、一定のツイート数に達する(キリ番的な)と賞品がもらえるというものなのですが、一番豪華な賞品のKPIが「5,555ツイート」と置かれており
どう考えても期間内に「5,555ツイート達成するわけがない」状況というのがポイントです。

この動画は視聴数からすると「めちゃくちゃバイラルしている」わけではないかと思うのですが、動画プロモーションのヒントがいくつか隠れているので「動画プロモーションで押さえるべきポイント」を楽オク動画の事例とともに分析してみましょう。

1:感情を動かすストーリーがあること(KPIとユーザーの感情を同時に満たすストーリー描写)

ストーリーはムービーの世界では「脚本」と言い換えられそうです。
仮にKPIを会員登録とし、その導線としての動画プロモーションであれば
定番としては 「そのサービスを使う前と使った後では自分の世界はどう変わるのか?」「このサービスを使ってみたい!」と思わせることができるか否かがポイントです。

これはサービスの性質にも依ると思うのですが「納得」を訴求するのか「ああ、使いてえ!」と「飢餓感」を訴求するのか。どういった感情を想起させるのがベストで、そのためにどういったストーリーを描けばいいのかを考える。

この「ストーリー」とは動画を作成するために起こすものではなく、もともとそのサービスで実現したい世界観を『物語化』して『伝わる』形に編集するというのが脚本制作の仕事といえそうです。

「誰が」「なんのために」「なぜ」このサービスを「どうやって」使い
サービスを使ったら「どうなるのか」。こういった要素を「感情に訴えかけて」伝えることができる動画がユーザー目線でもKPIの貢献度的にも「良い動画である」といえそうです。

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▶楽オクの事例

最初に「極めて稀なケース」と断っておきますが・・・

表面的なストーリーは「ツイートして下さい!」という何の変哲もないストーリーですが、動画のシリーズを見進めていくうちに「エンジェル、なんかかわいそう。。。」と情が湧いてきて「何か知らんけど、なんとなくエンジェルを助けてあげたい!」となって、(非リアは)ツイートしてしまうという罠にハマります。

よって裏のストーリー展開としてはこうなるかと。「無茶振りなKPIを課されたエンジェルが可哀想だからツイートしてくれるよね?」

視聴者の心を動かすのは「達成されそうにないKPIを嘆くエンジェル」という点であり今進んでいる「2,725ツイート」のKPIはあっさり達成されそうなので「5,555ツイート」がKPIの最初のシリーズの方が断然面白く心を動かされます。

楽オクにもプレゼントにも興味はありませんが「楽オクの認知」自体は少なくとも私の中では上がりました。結構無茶なことやるんだな・・・とw

特定の人物を起用することによる「裏ストーリー」があるのは極めて稀なケースですが「表ストーリー」だけではワークしない場合の飛び道具としてはアリかと。その動画の中にいくつかのストーリーの意味を持たせておくといい感じにワークするのかなと勉強になった事例でした。

2:伝わる表現であること(ストーリーに合致する表現方法の選択)

表現を構成する要素としては「実写 or 絵コンテ」「ナレーション」「BGM」などが挙げられます。

どの組み合わせがストーリーを引き立たせる表現としてベストなのか。
実写がいいのか絵コンテがいいのか、ナレーションやBGMはあったほうがいいのかないほうがいいのか。

それぞれの選択とストーリーとの整合性にどのような意味付けをしているのか。その意味付けが動画を見ただけでユーザーに伝わるのか。伝わるためにどういう表現にすればいいのか。これの無限ループという感じ。 

表現はクリエイティブの余地が大きいため、この辺が動画制作会社のアイディアや経験が活きてくる場面となるでしょう。突飛な発想が歓迎されるフェーズであり、ストーリーとの整合性がある範囲で「いかにクリエイティブに伝えるか」「クリエイティブであることによって伝わるか」を突き詰める場面かと。

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▶楽オクの事例

とりあえず 表現に関しては百聞は一見に如かずということで
見ろと。楽オクの動画

敢えて言葉で説明するならば
「手作り感があり、疲労感が絶妙なリアルさ加減であること」
「妄想によるコンテンツの幅が広いこと」
「なんか必死にけなげに頑張ってる感」
この辺りがストーリーと合致しており、伝わりますね。

3:シンプルであり、ストーリー × 表現が「伝わる」

動画のありがちなミスとして「何を伝えたいのかがわからない」 ケースが多いかなと。不明確な目標設定によるストーリーの不在やストーリーと表現の整合性がないといったものが見受けられます。TVCMレベルの予算がかかってる動画でもこういうケースは少なくないかと。

動画制作自体は自作でやる場合と制作会社を巻き込むケースがあるでしょうが、どちらにしろそのサービスのプロデューサーの手腕に質が左右されると思います。良い動画制作会社を使ったとしてもそれは表現をブラッシュアップする程度にしかならず特に骨子となるストーリー制作はプロデューサーの手腕が問われるでしょう。

カッコいい動画、綺麗な動画を作ることが目的ではなくあくまで会員登録などのコンバージョンを上げるのがKPIであるはずです。KPIを強烈に意識したストーリー×表現が必要です。KPI⇒ストーリー⇒表現が一貫して連動している必要があるという感じですね。

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▶楽オクの事例

ストーリー:キャンペーンのツイートして!(エンジェルがかわいそうだからツイートしなきゃ。。。)
表現:エンジェルの多様な「賞品欲しいでしょ?ツイートしてね♡」おねだりコンテンツ

単純なストーリー × 表現ですが、表現の「豊富さ」や「必死感」が裏ストーリーの「エンジェルかわいそう・・・」という感情を喚起し、結果的にはKPIであるツイート数の増加に少しは寄与したのではないかと想定されます。

表現がストーリーを醸成するという珍しいパターンではあるのですが
連載企画の場合にはこの手法も使えるかもしれませんね。

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以上になります。私も最近、脚本ライティングを手掛ける機会がありましたので思ったことを書いてみました。マーケター兼ブロガーみたいな人はおそらく脚本ライティングの仕事と相性がいいと思いますので、一度チャレンジしてみることをお勧めします。



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