愛すべき @yurikokaiが立ち上げた輸入直送個人EC、セブマート。1日で30〜40個売れてしまい、想定以上のペースだったこともあり、開始時間30時間でサービスを一旦終了したとのこと。もの凄い人気である。
定期購入などの変化球的なECが注目され始めている中、輸入直送個人ECという形には新たな可能性を感じる。
輸入モノの個人ECは商材によっては高い利益率を見込める
事業者の観点から見ると、利益率の低いECにおいて、海外輸入は利益を確保しやすい商材である。例えばアパレルでいうと現地のメーカーから直接仕入れると、日本国内の正規輸入代理店を通した場合よりも安い価格で仕入れることができる。具体的には、3万円の定価のシャツは、小売店は代理店から55%掛けの16,500円くらいで仕入れ、代理店は定価の30%掛けくらいの9,000円くらいで仕入れるのがおおよその相場である。
比較的高単価のアパレル商材であれば、セブマートの「受注買い付け方式」だと在庫を持たないため、赤字になるリスクを低減し、高粗利を確保しやすいであろう。海外旅行に行く前からお土産が欲しい人をセブマートのよなサイトで募集すると良いだろう。
また、 買い手が直接欲しいものを指定するのではなく、3つ程度の料金パターンによるパッケージ設定が良いと思う。売り手側にセレクトを任せるという点は、キュレーション型ECであり、最近だと定期購入サイトの俺メゾンがこのパターンに当てはまる。
キュレーターに依存するモデルではあるが、セブマートのような海外からの輸入モノに関しては、3,000円〜5,000円程度の単価であれば、海外のお土産という感覚であり、自分が少しでも興味のある国やキュレーターが選ぶ商品であれば、買ってもいいかなと思う人は少なくないのではないか。
セブマートのようなサービスで海外旅行が個人ビジネスに
セブマート立ち上げのきっかけは、旅行に行った際にお金を使うだけではなく、むしろその旅行代を現地で稼ぎ、旅行にかかった費用以上に利益を上げることができないだろうか?という発想だったようだ。
フィリピンに語学留学に今現在行っている@yurikokai氏が現地のモノが安いということに着眼し、お土産をただ単に買うだけではなく、見せ方によってはビジネスに繋がるのではないか?と思ったようだ。海外の現地のモノが手軽に手に入る点がユーザーにウケたり、こういう稼ぎ方がるのか!という売り手目線での反応も多かったようだ。
「トランクの空白で儲けよう」というショルダーコピーも候補に上がったらしい。個人が海外旅行をしている際に、自分の周囲の人以外にもお土産を買うという延長線上の発想のビジネスであり、個人が手軽にお小遣い稼ぎができるという視点はとても面白い。
何かしらのストーリー性がある新しい形のECサービス
キュレーターによる定期購入サイトや、セブマートのような輸入直送サイトは両方も単品ではなくパッケージ売りとの相性が良いという点が特徴だ。一方で顔が見える個人のバイヤーや出品者によるECとして、海外在住のバイヤーが単品でモノを仕入れて販売しているBUYMAや、@yurikokaiが想いを寄せる@ikaliが運営するオンラインフリーマーケットのWhytelistなども存在する。BUYMAは海外の新品モノの直輸入、Whytelistは個人の中古品がメインであり、扱う商材の属性は異なる。
業者ではなく顔が見える個人が展開するECの図が下記。
これらのサービスによる「誰かが選んでくれたもの」だったり、「誰かが使っていたもの」だったりのストーリーが、買い手の人々の心を緩やかに動かしていくであろう。このような「新しいモノの売り方、買い方」は大量生産大量消費時代のカウンターカルチャーとして、今後盛り上がっていくのではないだろうか。