昨年に引き続き、CAV主催のRising Expo2013の速報をお届けします。今年は15社の登壇。サービスによっては、紹介のみならず踏み込んだコメントも含めてお届け致します。
今回の優勝はツイキャスのモイでした。おめでとうございます!
勝手にThe Startup賞はKAIZEN platformにお送りします!特典はThe Startupでの詳しい取材記事です!嬉しくないかもしれませんがおめでとうございます!後日ご連絡致します!
#1 AsMama:子育てシェアのプラットフォーム
■サービス名:子育てシェア
■推薦者名:ソニックガーデン
■投資家:?
■事業概要
子育てシェアという、支援してほしい人と支援した人をマッチングするサービス。例えば、子供から鍵を忘れてしまったと連絡が来た時、親は子供や家から遠くにいる。そんな時に、誰かに支援を依頼できる。約3,000名が登録しており、近所の人々とワンコインで助け合いができる。CtoC以外でも、AsMamaは約300名のママサポーターを保有している。
■コメント
ママ市場はナビットやシュフティと近しい市場だと思います。プロモーション上でその辺と連携してレバレッジを掛ければ、スケールが早まりそうですね。ママをネットワーク化してクラウドソーシングなどとくっ付けて、主婦が稼げるプラットフォーム市場には需要を感じます。
#2 エニドア(Conyac):翻訳サービス
■サービス名:Conyac
■推薦者名:ヴェンチャーユナイテッド丸山氏
■投資家:ヴェンチャーユナイテッド、ANRIなど
■事業概要
月額課金の法人向けクラウドソーシング翻訳サイト。2012年秋に分析したところ、利用ユーザーは法人向けが多いということに気づき、法人向けサービスに特化した。25,000円、60,000円、100,000円の3プラン。いつの間にか「クラウドソーシング」分野と見なされるようになったんですね。口コミサイトやメディア、ソーシャルゲームなどの法人クライアントが増えているようです。最近SFにも支社を作り、グローバル展開を推し進める。
■コメント
老舗サービスですね。初期にサムライが出資していたことでも有名です。昔からだいぶリニューアルした印象です。翻訳市場はグローバルで2013年の3.3兆から2016年で倍増するとのこと。レアジョブなどのオンライン英会話市場がレッドオーシャン化している中で、学習する暇もなく海外とメールする際に翻訳してほしいとか、英語の資料を読み込む際に翻訳してほしいというニーズはありそう。そして意外に翻訳系サービスは競合が少ない。
法人向けで月額課金は導入ハードルは高いものの、高い単価を見込めるため、ストックで利益を確保しやすい良いモデルだと思います。法人導入のプロモーションで如何に早くスケールするかが肝ですね。収益は後半にグッと上がるモデルですが、算段は立てやすいと思います。
#3 スモールブリッジ(cafe talk):語学レッスンCtoC
■サービス名:cafe talk
■推薦者名:ヴェンチャーユナイテッド丸山氏
■投資家:ヴェンチャーユナイテッド
■注目市場:オンライン英会話(レアジョブなど)
■事業概要
オンライン語学レッスンのCtoCのマーケットプレイス。語学スクールではなく、マーケットプレイスという点を強調している。登録ユーザー数は約15,000人(参考:Yahoo!ニュース)30代女性のユーザーが多く、語学は趣味という人が多いようだ。異文化体験をしたいとか、そういうユーザー欲求もあるようだ。3回レッスンを受けた人の継続率は相当高いようだ。
■コメント
馴染みのあるところでいうと、Cytaのオンラインでグローバル版だろうか。オンライン語学レッスン自体、かなりレッドオーシャンなため、語学はついでに学べるくらいの位置付けとすると差別化しやすいだろう。cafe talkは語学ではなくマーケットプレイスという点を強調しており、どんな人と喋れるかという人軸で選べる点は面白いと思う。
安価なフィリピンパブではなく、少し高くても魅力的な人とオンラインで話したいというニーズは確実にあるだろう。趣味から入り、ついでに語学力を磨くというイメージだ。
#4 ライフスタイルアクセント(ファクトリエ):EC
■サービス名:ファクトリエ
■推薦者名:CAV竹川氏
■投資家:?
■事業概要
日本のLVMHへ。日本の工場発の製品を束ねて、世界へ発信する。をコンセプトとしているようです。若干、高価格なメイドインジャパン製品を手軽な価格で提供する。高価格となる最大の理由である複雑な流通を省き、工場からの直接販売ということで、価格を下げる。ファクトリーブランドのコマースプラットフォーム。
■コメント
以前一度直接お話を伺ったことがあります。当時からコンセプトがだいぶわかりやすくなった印象を受けました。アパレルコマースは私も土地勘があるのでわかるのですが、中間業者を省けば店頭価格は半額以下に押さえることができます。
プロダクト優位性はあるものの、ブランディングやプロモーションが一番難しいでしょう。ファッション雑誌編集長をアドバイザーとして迎えたり、百貨店とコラボレーションしたりと地道に活動されているようです。大型調達してブランディングに突っ込むというのはアリな気がします。コマースなので、売上は見えやすいですし。
#5 Euno(Kawaii Museum JPN)
■サービス名:Kawaii Museum JPN
■推薦者名:インキュベイト村田氏
■投資家:?
■事業概要
キャラクターコンテンツのグローバル流通プラットフォーム。FBページのファン数は約400万人。FBページを先行リリースし、その後webサービスをリリース。リリース2ヶ月でユーザー数は○万人。FBページの資産をベースとすると、ユーザー獲得しやすそうですね。
■コメント
サイト自体は荒削りな印象を受けましたが、ジャンル特化型のPinterest。Tokyo Otaku Modeなどに近い気がしました。Otaku Modeがコマースに振っていく話も耳にしますので、トラフィックを集めた後にコマースという展開はアリかもしれませんね。キャラクター好きなユーザーからだと高いARPUが見込めそうではあります。あれだけお土産屋さんとかにあるわけですから、市場はありそう。(グローバルで1.4兆)
#6 Loco Partners(relux):高級旅館予約サービス
■サービス名:relux
■推薦者名:CAV林口氏
■投資家:CAV、RIP
■参考記事:高級旅館予約サイトreluxにみるキュレーションメディアが必要とされる社会背景
■事業概要
高級旅館予約サイト。上記の参考記事を読んでいただいた方が概要は掴めるかなと。宿泊予約メディアの在り方を世界で初めて「満足度」に置き換えるというコンセプト。メディアは広告掲載モデルが多いので、掲載数が多い方が儲かります。reluxは厳選した旅館のみ掲載。日本の旅館への宿泊は海外客も見込めるため(政府の政策により今後の増加が見込める)
■コメント
今回の登壇社で以前唯一本誌で単独の紹介があったサービスです。予約平均単価や手数料率が他社より高いという点が面白いと思いました。僕もreluxに近しいモデルの事業に携わっていましたが、事業数値も綺麗で非常に分かりやすく、億単位調達は余裕で決まりそうな印象を受けました。(The Startupにも広告出してくれませんかね…。客単価高そうな読者が多いと思うのですがw)
#7 BASE:ネットショップ作成
■サービス名:BASE
■推薦者名:East Ventures松山氏
■投資家:partyfactory、East Ventures
■注目市場&競合:Stores.jp
■参考記事:STORES.jp成長の鍵はプラットフォーム戦略にアリ:競合はEtsyになり得るのでは?
■事業概要
30秒で作れるネットショップ作成ツール。この分野ではStores.jpがZOZO TOWNに約6億で買収されたディールが目新しい。推薦者の松山氏曰く「楽天の朝会でも問題視され始めているサービス」であるとのこと。既に4万店舗がBASEで作成されており、楽天の店舗数と同等であるとのこと。
■コメント
この手のツールサービスは、ショップを簡単に作れても集客力のあるプラットフォームがないと商品は売れていかないと思います。モールに頼らなくても売れるとプレゼンにありましたが、機能として売れても売れる場がないと厳しいと思います。結局はモール型に集約していくと思うので(BASEはアプリでは一部の店舗がアプリ内に掲載されている)徐々にプラットフォームとしても機能していっている印象を受けます。対Stores.jpでどう戦っていくのかに注目したいと思います。
#8 イベントレジスト:イベント作成&集客ツール
■サービス名:イベントレジスト
■推薦者名:East Ventures松山氏
■投資家:伸和エージェンシー、East Ventures、Skyland Ventures
■注目市場&競合:オンラインチケッティング市場 peatix、tixee
■事業概要
法人向けイベントに強いようですね(特化している、とまではいいませんがBtoBを狙っているようです)アドテックとかはイベントレジストを使って決済していたようです。シンガポールにも拠点を開設。ソーシャルチケッティングサービス(決済手数料)のみではなく、エンタープライズ向けの課金モデルも機能しているとのこと(詳細は聞き取れませんでしたが)
■コメント
この市場もここ1-2年注目市場でしたね。CtoCはpeatix、BtoCはtixeeと棲み分けができているのかもしれません。既にpeatixは数億調達してますね。BtoBに特化するとイベント数は少ないかもしれませんが、1イベントあたりの集客数がかなり多いイベントが多いため、決済手数料のARPUは上がりやすい構造ですね。法人なので売上も手堅く上がりやすい。ここも億調達は余裕な気がしますね。
#9 ユビレジ:iPadでPOSレジ
■サービス名:ユビレジ
■推薦者名:セールスフォース倉林氏
■投資家:セールスフォース、NVCC、Voyage、クロノス
■事業概要
iPadアプリのPOSシステム。本誌をご覧の方には説明不要なサービスである気もします。月額5,000円でPOSレジを使え、従来のレジと比較するとかなりのコストダウンに繋がります。主にクライアントは飲食店が伸びているようですね。登録店舗数も順調に右肩上がりで、累計7,000店舗。
■コメント
ユビレジももはや老舗なイメージ。SVS2か3で見たのが初めてなので、2年以上前からあります。タブレットを利用した課金ビジネスとして先端的でした。既にやっていそうな気もしますが、Square的なものと組んで店舗開拓をすると営業効率良いですよね。O2Oともいえるモデルなので、データ解析とかで何か新たなマネタイズができないか妄想してみたいですね。ここも億単位は手堅そう。
#10 fluxflex(WebPay):開発者向けクレカ決済
■サービス名:WebPay
■推薦者名:アーキタイプ中嶋氏
■投資家:CAV、アーキタイプ、GMOVP
■注目市場:決済
■事業概要
スタートアップ向けクレジットカード決済サービス。簡単でセキュリティ性が高く、すぐに始められる。
■コメント
決済分野は正直疎いのであまりコメントできないのですが、既存のビジネスをテクノロジーで便利にする好例だと思います。
#11 pLucky(SLASH-7):ユーザー行動分析ツール
■サービス名:SLASH-7
■推薦者名:インキュベイト赤浦氏
■投資家:インキュベイト、CAV
■注目市場:グロースハック
■事業概要
アナリティクスツールの一貫で、ユーザー行動を細かく分析できるツール。紹介者の赤浦氏がソーシャルゲームに投資した経験を元にユーザー行動分析の重要性を実感した、という投資理由は説得力がありました。ユーザー行動分析や、価格が競合となる海外のmixpanelなどと比較して優位性があるとのこと。
■コメント
schooでこんな授業見ましたね。グロースハックの話でしたが。疑問としては、この手のツールを使いこなせるほどリテラシーの高い担当者はそんなに多くないのではないかと。ビッグデータやデータサイエンティストというバズワードと深く連動しそうな分野ですが、ツール導入と同様にツールを使いこなす担当者のリテラシーを上げる領域にニーズがありそう。
#12KAIZEN platform(planBCD):ABテストツール
■サービス名:KAIZEN platform
■推薦者名:GREE Ventures堤氏
■投資家:GREE Ventures、GMOVP、CAV
■注目市場:グロースハック
■事業概要
集客後にABテストでUI/UXを改善するためのツール。依頼を作り、世界中のデザイナーやグロースハッカーがクラウドソーシング的に改善案を提案してくれ、ABテストの分析などができるサービス。大企業向けの月額課金モデルのようです。
■コメント
UI/UX改善といえば旧くはビービットによるユーザービリティ分析がありますが、planBCDはクラウドソーシング+データドリブンなUI/UX改善という現代風でハイブリッドなアプローチで非常に面白いと思いますし、データドリブンでサービスを改善していくのはどのwebサービスにもニーズがあります。グロースハック系もここ数ヶ月サービスがいくつか出てきていますが、何サービスも使うのは面倒くさいので、営業力でどれだけ早く導入社数を増やすかという点が一番重要なのかもしれません。難しいモデルなので、ここはもう少し詳しく話を聞きに行きたいですね…。
#13 Spicy CInnamon(Seconds):写真アプリ
■サービス名:Seconds
■推薦者名:ソニーコンピューターサイエンス北野氏
■投資家:?
■事業概要
Secondsは「ゼロステップで写真を共有する」アプリ。後で共有するねという嘘を世界中からなくす、というコンセプトを掲げている。シンガポールを本社とした、東南アジアに事業展開している。リリース2ヶ月で3カ国でユーザー数4万人、かなり高いDAUを誇る。ストレージなどのプレミアム課金と写真データを分析した上でのターゲティング広告を考えているとのこと。
■コメント
写真アプリは相当数出ており、ほぼマネタイズの香りがしないぐぬぬ感のある分野。今年に入ってからの新規参入はあまり見かけなくなった。しかし、Secondsの友人と写真を共有する(後で送る、ではなくデータを供給する)発想は目新しくかつユーザーニーズが高いと感じた。PathのようなクローズドSNSへの売却が想定しやすいと感じた。mixiに売却したネイキッドテクノロジーの創業者チームで、シリアルアントレプレナー。mixiに売却というシナリオもあり得るかもしれませんね。
#14 モイ(ツイキャス):無料動画配信ツール
■サービス名:ツイキャス
■推薦者名:East Ventures松山氏
■投資家:East Ventures
■事業概要
10代の女性ユーザーを中心とした、動画配信サービス。ユーザー数は既に約300万人。国内ではUstreamより既に多い。海外ユーザーも2割ほど。なぜかブラジルでも少し流行っている。ここ1年でグッと伸びた曲線を描いているようです。
■コメント
名前は聞いたことのあるサービスでしたが、予想以上のユーザー数ですね。ニコニコ動画やyou tubeくらいにスケールするとプレミアム課金や広告で儲かる感じでしょうか。プレゼンで伸びた理由はわかりませんと言い切っていらっしゃるのが面白かったのですが、JKをフックにスケールする可能性は高そうですね。
#15 YOYO HOLDINGS(candy):リワード
■サービス名:candy
■推薦者名:インキュベイト村田氏
■投資家:インキュベイト本間氏
■事業概要
新興国におけるモバイル経済圏をつくる、というミッションを掲げるシンガポールに拠点を置くスタートアップ。プリペイド携帯をベースとしたリワードプラットフォーム。アンケートなどのマイクロタスクを行い、ユーザーはポイント(現金)を得ることができる。詳細は端折るが、事業展開しているフィリピンでは①銀行口座保有率が0.1%以下、②電波の普及状況によりプリペイド携帯の利用がほとんどで、携帯キャリアのパワーも弱いため、モバイル経済圏プラットフォームを作れる余地があるのではないかということ。
■コメント
新興国と先進国の差を上手く付いたビジネスだと思いました。日本から新興国へのタイムマシン経営的な発想はアリでしょうね。
総括:法人向けの手堅いビジネスが増えてきた印象
今回は法人向けビジネスが多い印象を受けました。キャッシュポイントも明確なものが多く、ファジーなビジネスは少なかった気がします。事前審査でファジーなモデルは落としたのかもしれませんが、ここ最近はビジネスの香りがするスタートアップの比率が上がっている気がします(昔は、キャッシュの香りがしないアプリとかソーシャルなんちゃらが多かったのですが)
多くのビジネスプランやビジネスモデルを聞くのは大変勉強になります。来年もメディア枠として呼ばれるよう、頑張ります。
注:15社に私のクライアントは1社もございません
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ネット業界の転職なら帰ってきたブライツ!
■About this media & Yuhei Umeki
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