ひそかに注目していた会員制の高級旅館予約サイトreluxが2013年3月19日にオープンしたようです。同時にreluxを運営する株式会社Loco Partnersはサイバーエージェント・ベンチャーズとリクルートインキュベーションパートナーズから約6,000万円の資金調達をしたと発表しました。
「会員審査」があるらしく、私はパスしたようです。FBログインに遷移した際に何のデータを取っているのが一瞬見え、「学歴」と「職歴」だったと思います。おそろしやFB…
ユーザーも会員審査があるという点でキュレーションされてプレミアム感が演出されていますが、キュレーションされた掲載旅館の予約ができるという点が最大のポイントと思われます。私も最近、似たようなサイトの監修をやっていますが、キュレーション型メディアは現代のトレンドと合致しており、ユーザーの潜在ニーズは高いと思われます。
ユーザーの課題:知っている旅館以外を見つけられない
webサービスの旅行情報分野で考えると、リクルートのじゃらんが掲載旅館数が一番多そうなイメージ。予約特化型だと一休でしょうか。網羅性という観点では良いですし、ビジネス的なスケールもするのでしょうが、いちユーザーとして利用してみると非常に使いにくいと思っています。
私個人の体験として、既に名前を知っているホテルや旅館を予約するなら一休で構わない。でもまだ知らない旅館を探したい際に、一休を見てもなかなか刺さらない…。これは旅館だけではなく、下記に仮説を立てる。
■情報過多な現代におけるユーザーニーズ
質の高い情報を、信頼できる情報元から得ること
だと思います。探すのって超めんどくさいんですよね。
■じゃらん・一休の課題
1:情報量が多すぎて必要な情報になかなか辿り着けない
2:旅館詳細ページを見てもその旅館の魅力が十分に伝わらない
3:名前はまだ知らないが、良さげな旅館を探しにくい
どこの旅館が良いかわからないけど、箱根でいい感じの旅館がいい。と思って探す時に、一休のUIでは刺さらない。というのが本音です。写真が小さいとかサイトデザインとか細かい課題はあるでしょうが、その旅館の良さがサイトを見ても刺さらない。網羅性が高く情報が多すぎると、どの情報を信頼すれば良いかわからない。検索かけても件数多すぎでよくわからない。
私は旅行を多くする方ではないのであまり旅館には詳しくないですが、星のやや、外資系ホテルの主要どころくらいは知っています。しかし、地方の高級旅館は正直あまり知らない。ですが、知りたい。行ってみたい。という需要はある。(ちなみ一時期の男性誌での星のやの出稿量は凄まじかった…)
星のやや外資系ホテルのように潤沢な予算で雑誌PRを掛けれるところはさほど多くはないはずです。地方の高級旅館を知る接点が普段あまりないというギャップがあります。reluxはそのギャップを埋めにいくのでしょう。
イメージさせる世界観がキュレーションメディア成功の鍵
reluxにログインしてみると9つの旅館が並んでいます。
写真のクオリティは一休より全然高く、写真でイメージは沸いてきます。ただ、旅館説明文ではまだイメージがあまりわかないかなと思いました。写真が凄まじく魅力的すぎて1件だけ「お気に入り」してみましたが。
キュレーションメディアでキュレーションされる情報(今回は旅館)はユーザーがその情報はまだ未知であるという前提のもと、どうすればその旅館の魅力を上手く伝え、ユーザーに「行きたい」と思わせられるかが最大の鍵だと思います。ゆえに写真のクオリティはもの凄く大事ですし、想像させる文章が重要です。掲載旅館数を営業で増やすのも重要ですが、ここのユーザー体験の質が一休などとの差別化であり、センターピンといえるのではと。
ちなみに私が監修しているサイトの方では、急ピッチで梅木監修による店舗紹介文を作成中です。やはりここは大事だと思いましたね。
キュレーションメディアが増えてくると、プロカメラマンとプロライターの需要も増えそうですね。特にコンバージョンさせられるような文章を書ける人は市場に少なそうと感じますし、希少価値が上がりそう。CVRが上がる文章を書けるよう、私も精進して参ります。
予約課金中心のビジネスモデルはスケールに限界も?
reluxのようなキュレーション+予約トランザクション型メディアは、掲載数を限定しているからこそ価値があり、掲載数が増えると一休みたいなことになり、そうすると価値が毀損すると思われます。reluxの場合はユーザー課金はまだのようなので、旅館からの予約成約アフィリエイトや掲載料が主なマネタイズになる感じでしょうか。
このモデルでいくとスケールの壁にぶつかるはずなのですが、百戦錬磨のCAVとRIPの投資担当者がどういうロジックで投資判断をしたのか、気になるところですね。既に需要が顕在化している分野を、最新のテクノロジー(というよりかはハイコンテクストな中での社会的なトレンド)でリプレイスしにいくビジネスといえます。今後を楽しみにウォッチします。
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