CAV RISING EXPO2016優勝はロボアドイバイザーのウェルスナビ

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久々のイベントレポートです。CAV RISING EXPO2016に行ってきました。私は通算5回目の参加で(皆勤賞?)ついに前代表の田島さんを出席回数で抜いたかもしれませんw

優勝はロボアドイバイザーのウェルスナビでした。おめでとうございます。

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同じくロボアドバイザーのお金のデザインも登壇していましたが。

正直、私にはサービス内容の違いはさほどわからず。対象ユーザー層であり、会員登録はしていますが、運用までの個人情報の登録が面倒で、まだ手をつけていません。

今年は15社の登壇ですが、B2B、IoT、ToC、FinTechと4つの分野にグループ分けしたピッチが行われました。いつものごとく国内企業10社のみ、ざっくりとした感想付きで紹介していきます。

ビザスク:スポットコンサルティング

2015.2に2.6億円を調達している同社。2013年開始のサービスなので、本誌読者は知っている方も多いでしょう。

スポットコンサルティングということで、正直さほど流通総額のボリュームが取れないし、最近再登録したのですが、案件の数もさほど。しかし、「VQ」という別ラインが立ち上がっていたんですね。「ビザスク」は限りなくスモールB2Bですが、「VQ」は事業法人やコンサルやファンドに対して、専任のアカウントマネージャーがマッチングをサポートするというサービス。中小企業のコンサルをターゲットにしており、市場的には船井総研とかのリプレイス的な感じか。

これは構造的には、クラウドソーシングがディレクターをつけて受託に近い形で発注ボリュームと高い利益率を確保するという手法と同じかなと感じました。ピュアなマッチングだけでは、スケーラブルではない。受託に知覚することで、ボリュームを出すという考え方なのかなと。

クラウドソーシングとカウントすると、クラウドワークスやランサーズがアップサイドに見えてしまうので、未上場でもvaluationがつきにくくなってくるかなと感じました。

取引高はここ1年でかなり伸びているようですね。グローバル大手の流通額は300億となっており、手数料仮に20%とすると売上60億か。国内市場に換算すると、感覚値1/5くらいで売上10億くらいいけば関の山か。ただ、手数料を売上とカウントすると、利益率は高そうですね。

TCSI:高セキュリティソリューション

存じ上げない会社でしたし、おそらく読者の皆さんもあまり聞いたことがないのではないでしょうか。

情報漏洩が非常に多いという問題に対して、情報漏洩は防げないと仮定した上で、自己を前提とした対策をする「PASERI」というセキュリティサービスを提供。UTECなどが出資している。

データを無意味化して、別々様々な端末やクラウドに分散管理する。それをユーザーは意識しないで、利用する。そのデータが全て集まらないと、一片でも欠けると、復元が不可能。

暗号化はセキュリティには最適ではなく、暗号化されたものが流出しても、情報漏洩になる。「PASERI For PC」という製品は2015年9月から提供を開始し、大企業などに導入が進んでいる。B2Bのソフトウェアは結構良い単価で導入できそうで、利益の香りがしました。

OneTeam:法人向けコミュニケーション

2016.1にニッセイから2億資金調達している同社。法人向けコミュニケーションプラットフォームの「OneTeam」を運営。ホワイトカラーの生産性向上案件ですね。ここ10年間、日本の労働生産性はほとんど改善していないというデータの紹介も。驚愕ですね…。会議とメール処理で業務時間の53%らしいです。まじか。僕は両方で20%以下だろうな。

ナレッジベース、チャット、メールの3つを統合したツールのようです。4,600企業で導入済み。海外比率が85%と高い。

UI、わかりやすくていいですね。類似サービスとしては、主に飲食店向けではありますが、トークノートでしょうね。大企業向け月額課金モデルは時間かかるでしょうが、解約率低ければしっかり積み上がるので、中長期的には有望な案件に思えました。クライアントからは、40%くらい業務改善できたとか、そういう声もすでにあるようです。

TVSION INSIGHTS:TVCMの分析

メルカリの小泉さんが応援演説をされていましたが、メルカリのTVCMを起点となるデータ分析に大きく役立ったサービスのようです。日本のネット企業、TVCMを行う企業が多いが、失敗も多いという話はリアリティありました。

TVCMのリアルデータの視聴の質を、人体認識技術で視聴者の反応を取得する。関東と米国で600世帯ずつ導入しているようですが、600世帯くらいでサンプル量としては適切なのだろうか。テレビの前に誰がいるか(VIewability)、ちゃんと見ているか(Engagement)を解析している。

TVCMは投資額が大きい割に、アナリシスがGRPしかないというプアな分析市場なので、明確にサービスのニーズはありそうですね。てか、プレゼンの中でありましたが、メルカリってTVCM出稿額トップ10に入っているとのこと。

TVISION INSIGHTSの利用により、クライアントの広告効果が7%上がったという事例もあるようです。1社数千万円くらいのフィーを取れるということですが、コスト構造的には売上伸びてもコストが比例しないと思うので、利幅は確保しやすそうですね。

Hacobu(MOVO):運送最適化IoT

「運送を最適化する」というミッションで、物流業界向けのITプラットフォーム「MOVO」を提供。

ビッグデータとAIを組み合わせて、運送会社と荷主のマッチングを狙うサービス。トラックは50%のキャパシティが空いたままであり、その生産性をあげたいという考え。非常に地味な領域に思えますが、ゆえに競合が参入しにくそうです。アプリで情報を吸い上げて、データをとって、

「MOVO」はリリース2ヶ月ですでに1万台のトラックから引き合いがあるとのこと。2020年までに20万台の導入を目指すとのこと。

スカイディスク:IoTインフラの提供

「IoTサービスが生まれる環境を創り、生活を豊かにする」というミッションを持っている同社。メディアの記事からは農業系の提供に強そうだったが、農業だけではなく、他領域も含めて、IoT環境の提供を目指しているとのこと。

そのソリューションとして、着脱式センサーとデータ分析クラウド、通信の3つを組み合わせた「IoTキット」の提供を尽力していくとの話であり、IoTインフラの立ち位置の印象を受け、IoT時代の普及とともに伸びていくポテンシャルが高い企業だと感じました。

ウィンクル:ホログラムコミュニケーションロボット

Gatebobというバーチャルホームロボット。非モテが喜びそうなモノにしか思えなかったのですが。。ペッパーのようなガチでロボットUIではなく、初音ミクのようなUIで彼女に話しかければ、TVをつけられるとか、そういうロボットを通したIoT。(UIは初音ミク以外でもできるんでしょうが)

非モテ市場って大きいので、馬鹿にはできないのですが、凄まじいマーケティングコストをかけないと、スケールしないだろうなと感じます。ロボットではあるものの、ロボットよりキャタクターとかでコミュニケーションできた方が、たしかにいいんでしょうね。

ヴェルト:スマートウォッチ

アコード・ベンチャーズの石丸氏が投資し、応援演説をした同社。石丸氏の目利き力には、本誌では一貫して注目しています。

テーマが「LIFE:TECH REBALANCE」で、スマホを見る時間を少なくしたいという考え。スマートウォッチを通して、スマホ接触時間を減らしたいと。ヴェルトの時計自体、バーゼルでも注目されているようで、日本でも今後伊勢丹などが扱っていくとのこと。

ただのスマートウォッチはApple Watchがさほど跳ねていないので、スマートウォッチ市場に限定してしまうとアップサイド低いかもしれないと思いましたが、リストウェアとしてヘルス情報を取得し、fitbitが競合となる市場まで見据えているということで、そちらに可能性を感じました。

ビジネス展開として、リストウェアをコアに、OEM展開、B2Bソリューション展開を考えていくとのこと。ヴェルトは6,000万円の調達を発表しているだけなので、アーリーステージなんですよね。流石石丸氏、アーリーで面白い銘柄に張っていらっしゃいますね。

ウェルスナビ:ロボアドイバイザー

今までメディアで見てきた情報からの最新updateはさほど印象に残らず。社員がエンジニア過半数というのは初耳でした。

#イベント最中に記事を書いていたわけですが、自分にとって改めて書けることが一番なかったウェルスナビが、優勝となりました。

お金のデザイン:ロボアドイバイザー

同社の投資家であるGCP仮屋薗氏の応援演説が印象的でした。

個人の金融資産の運用を政府が重視するというタイミング、ロボアドイバイザーという戦略、ライフネット創業時に同じ投資家として組んだお金のデザインの創業者谷家氏を含むチーム。この3つが揃って、投資をした。VC20年のキャリアの中で最も期待している案件である。

レジェンドにそう言わしめるほどの案件とは…。というそれだけで、いや、ロボアドイバイザー市場ってそんなに儲かるのかな?手数料勝負になって厳しいんじゃないかな?という自分の疑念が揺らいでしまいました。

ちなみに登記簿を見ると、お金のデザインは現時点でvaluation82億でした。

梅木の感想:IoTで勝者は出るのか?

ウェルスナビ vs お金のデザインという大型調達済みロボアドイバイザー対決で、ウェルスナビに軍配が上がったのは、会場がどういう点を評価したのかは、気になります。冒頭に述べた通り、ユーザー観点では違いがさほどわからず、プロモーション勝負になると読みますし、応援演説では仮屋薗氏の説得力が半端なかったです。個人的には、お金のデザインの方が凄そうに見えたんだけどな。

RISINNG EXPOも5回目ですが、この5年で国内の資金調達イベントや投資家が増えたこともあり、以前ほど精鋭スタートアップがこぞって応募するという印象は受けませんでした。イベント登壇しなくても、調達くらいできるわ。と考えるスタートアップが特に30歳前後では多そう。今回の登壇企業のCEOは以前よりシニアが増えた印象でした。

国内10社で面白いなと思ったのは、TVISION INSIGHTSとスカイディスク、この辺が手堅く伸びそうだなと思いつつ、ヴェルトはアーリーということもあり、スマートウォッチに限らないアップサイドを見込めれば可能性ありそうだなと。

TVISION INSIGHTSは特にC向けアプリでTVCM打つ機会は増えてくるでしょうから、そういう際の利用ニーズが確実にありますよね。スカイディスクやヴェルトなどの、IoT銘柄でスタートアップで勝者が出てくるのか、今後数年ウォッチしたいと思います。

TCSIのようなセキュリティ系は凄そうではあるものの、技術が疎い私には、技術を判断することはできず。

以上、サクッとイベントレポートでした。



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