「投資家に対する非金銭的なリターン設計」がクラウドファンディグの最大のKSF

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以前、Growは本稿でも取り上げさせていただいたことがありますが
今月に入り、Campfireがローンチされたことももあり、既存のReady for?とも相まって
国内ソーシャルクラウドファンディング系サービスが出揃った感がありますね。

複数社の参入により国内の上半期でもマイナー?トレンドとなったソーシャルクラウドファンディング。
既にTCではこの比較記事がだいぶ前に出ていてるので
サービス概要の比較はそちらにお譲りして
ここでは業界やサービスの構造に関して分析をしてみたい。

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■1.簡単な業界概要
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本ブログの読者にはほとんど必要のない説明であろうが
米国のkickstarterがこの業界のメインプレイヤーである。
kickstarterに関する記事としてはこちらがわかりやすい。
2年間で60億円くらいのクラウドファンディングに成功している。

この流れを受けて?国内では「パトロン」という言葉をフックに
マーケットに「ソーシャルクラウドファンディング」の概念を仕掛けてきたのは
2010年末のGrowではなかっただろうか?と推測する。

Growはコンテンツに対して1クリックでの寄付型モデル。
Ready for?とCampfireはkickstarterと同様でプロジェクト共同購入モデル。
(Ready for?とCampfireの違いは未熟な私には見極められませんでした。。。)

今回はこの「プロジェクト共同購入モデル」について考察したい。

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■2.プロジェクト共同購入モデルのKSF
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「プロジェクトに必要な資金」を設定して
その成立を目指すというモデルであり
成立金額の20〜30%が事業者側にキックバックされる。
というモデルだったかと思います。
よって事業者側としては「いかにプロジェクトを増やしてサイト上での売上を最大化するか」
これを考えていくのだと思います。

しかしプロジェクト数を増やしても単純にそのプロジェクトが全然資金を集められなければ意味がなく
「資金を集められるコンテンツ力のあるプロジェクト」を発掘することが重要です。

よって下記の流れを繰り返し追っていくという業務フローになるでしょう。

1.資金を集められるコンテンツ力のあるプロジェクトの募集&発掘⇒掲載
2.プロモーションでのサイト認知度向上による潜在出資者の増加
3.サイトUIの日々の改善による「プロジェクト&投資」のマッチング率の向上

この中で明白のKSFとなるものが「プロジェクト」「個人投資家」この2点だと私は感じています。

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■3.プロジェクト・ソーシングに関して
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kictstarterの例が 非常にわかりやすく
「映画」や「音楽」での調達額が一番高いということに注目したい。
個人制作のライトなエンタメ系が
今までは一番調達が難しかった分野であり
一般ユーザーも「コンセプトが良ければ見てみたい」というニーズがあり
マッチング率が高いのではないかと思う。

だがこうしたエンタメ系のクリエイターの誰しもが
こうしたサービスを認知して使いこなせるほどのリテラシーが高いわけではない。
素人エンタメクリエイターへのチャネルの確保が重要である。
少なくとも認知度が「IT業界でのキャズム」を越えるくらいまでは
事業者側からプロジェクトを発掘する定期的な営業ガ必要であろう。

だがプロジェクトを掲載する側にはデメリットは限りなく少ないため
そこまで難易度は高くなく
国内でいえば「CampfireとReady for、どっちに載せようかねえ?」というのは
昨年でいう「Grouponとポンパレ、どっちに載せようかねえ?」くらいの違いであり(現状では)
プロジェクト・プロバイダーサイドは手数料率で判断せざるを得ない。
両社どちらかがプロモーションによって知名度で優位に立つことが
プロジェクト・ソーシングに直結するといえるであろう。

プロモーションにおいては月並みな意見であるが
国内のReady for?とCampfireではバックにある資本がさほど変わらないように見え
同じプロモーション費用であれば知名度の高い家入さん擁するCampfireに軍配が上がるように見える。
この分野に置いても「個人メディア力」=「ソーシャルメディアプラットフォーマー」の
重要性・優位性が認識できる。

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■4.プロジェクトには「誰が」投資をするのか
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この点がソーシャルクラウドファンディングに関して最も興味深い分野である。
普通の個人投資家がプロジェクトに投資するわけだが
この顔が見えない「個人投資家」(twitterなどで素性はわかるが)
一体、どんな属性の人が投資をするのか?
たしかに、500円〜1,000円単位の投資であれば
20代の普通の学生、社会人でも投資はできるのだが
10,000円を越えてくる投資となると
よほどその人かその作品のファンか、資金に余裕のある人じゃないと
心理的に投資をしないと思う。

プロジェクトによっても傾向は全然違ってくるであろうが
ロングテールで1人1,000円ずつ集めて成立するものもあれば
成立金額の半分以上を自分で投資してくる「大口個人投資家」がいてこそ成立するものもあるはずで
「大口個人投資家」のアグリゲートが肝になってくると思われる。

大口個人投資家が誰か?
大口投資家にサイトを認知させ
投資家を魅了できるプロジェクト・ソーソングができるか?

Webプロモーションもさることながら「個人的な人脈」も大きくものをいう世界と言えそうです。

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■5.最大のKSFはプロジェクトと投資家へ非金銭的なリターン
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プロジェクトが集まり、UU/PVも伸びてきた。
しかし出資額がいまいち集まらない・・・。
こういう状態も想定されるが
プロジェクト成立のために最も重要なのが
「このプロジェクトに投資をしたら何を得られるのか?」という点である。

投資家はその人の想いだとかプロダクトに興味があり(時にはルックスかもしれない)投資をするわけであり
このモデルに置ける投資家は純粋な金銭的リターンを求めているわけではないと思う。
非金銭的なリターンとして何を投資家に還元できるか。
この点がプロジェクト成立の最大のKSFになると考えられる。

それは作品という成果物を投資家に優先的に配当することであったり
投資家にプロジェクトに関する説明(堅苦しくなく『想い』を語る場である)をする
オフラインでの交流の場を設けること。
こういったリターンの明示が投資家のフックとなって資金が集まるのではないか。

よってプロジェクトの見せ方も重要なのですが
「何を投資家には配当するのか」
これはプロジェクト本体よりも資金を集めるという観点に置いては重要になりそうなことであり
投資家目線で見ると実際に自分にダイレクトに関係するアクションプランになるので
最も重視する項目になるともいえそうですね。

以上、ソーシャルクラウドファンディングに関する雑感をお送りしましたー。
いずれにしろ今までの社会にはなかった階層のセカンダリーマーケットを提供していて
社会的に正しいことをやっているサービスだと思いますので
応援していきたいですねー。

Campfire、Ready for?の方々、オフ会等のお誘い、お待ちしております♪w



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