リクルートが手掛けるイベント集客サービス(ソーシャルチケッティングという言い方もします)のATNDが撤退するそうですね。実は1年半前にUmeki Salonでこの分野はどうなるのか議論していたので、僕以外のメンバーは匿名に置き直して議論を整理し記事化してみます。
前提条件を整理すると、ソーシャルチケッティングサービスはATND以外にはスタートアップで下記の3つのサービスが存在します。
・Peatix(個人が開催するイベントが多く、ロングテール)
・Event Regist(法人が開催するイベントが多い印象)
・tixee(ミスチルのライブなど大規模イベントが多い印象)
ATNDはリクルートがやる必要性のない事業だった
■梅木の見解
・リクルートは広告メディアビジネスが主なのでユーザー視点がないがしろにされがちであり純粋なインターネットのB2Cサービスが育ちにくい土壌がありそうなので、苦戦しそう。(これはリクルート関係者にヒアリングした上での判断)
・ポンパレはヒットしてGrouponと同等までいったが、ホットペッパーなどの既存事業にアップセルが効く事業でありシナジーがあったから。ATNDは既存の事業資産を活用できるモデルではなく優位性はない。
・Peatixでイベントを開いたりするなど使ってみた上で、UXがATNDよりPeatixの方が良いと思った。
一方でサロンメンバーの見解は
■サロンメンバーの意見
・リクルートは大手なので交渉力があり、決済手数料をスタートアップサービスよりも安くできるため、価格優位性がある。だが、事業のセンターピンは「決済手数料の低さ」というわけではなさそう。
・リクルートは体力があるので中長期で勝負できる。スタートアップは資金に限りがあるので長期戦はしんどい。なのでリクルートは中長期で考えていると思う。
こんな議論でした。僕の意見を正当化するように聞こえるかもしれませんが、ATNDは別にリクルートがやる必要性がある事業ではなかった。ということに尽きる気がします。
このソーシャルチケッティング領域においては
①:普及に時間がかかりそうなので忍耐力と体力勝負
②:イベント主催者のリピート率およびリピート回数
この辺が鍵だと思っており、②は法人主催のイベントであれば定期開催の可能性が高いので堅く成長すると思います。スタートアップ3社はいずれも分野の棲み分けができていますがB2Bのサービスの方が成長確度は高そう。しっかり営業して法人アカウントを開いていけば継続性高そう。
リクルートからATNDが撤退した直接的な理由は、時間かけてもリクルートの規模感に対しては全然儲からなさそうだったからという感じでしょうか。
リクルートのインターネットサービスがヒットしない理由
最近このスレを掘り起こしてみたところ、リクルート関係者の方がこんなコメントを残されていたので、箇条書きに。
■リクルートがB2Cでヒットを生み出しにくい要因
①:短期成果主義
②:組織変更の激しさ
③:プロモーション頼みの文化
④:知見が分散している
この方はビジネススキルではなく「マネジメントの問題」と仰っていましたね。これはあくまで僕の意見ではないので、何か思うところがあれば反論してください。
リクルート本体と少し話はそれますがメディアテクノロジーラボというややスタートアップちっくなサービスを出しているところがありますが、ヒット作はcameranくらいで(DL数が多かったくらいで未だにアクティブに使われている印象はない)、全然当たっている雰囲気がないですし、アプリの名前もほとんど聞いたことないですね。
リリース予定ページがかつてのサイバーエージェントのアプリ乱発時のページに酷似していますが、パクったんでしょうね。思想を感じませんね。リクルートのネット事業には。
あれだけ本体が大きいと、新規事業当ててもインパクトが低くてモチベーションに繋がらないのかもしれません。
上から目線で言うわけではないので誤解してほしくないですが、リクルートは優秀な方が多く、現にリクルート出身のスタートアップ経営者の方々はマフィア化してるんじゃないかと思うほど多く見かけますし、優秀な方多いと思います。なのでリクルート辞めてたくさん起業すればいいんじゃないですかね。
サービスの撤退の背景を検証するようなメディアはほぼ見かけませんが、The Startupは失敗から学び、PDCAを回すメディアでありたいと思います。
■ The Startup最新事情
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東洋経済で「スタートアップのビジネスモデル」を連載中。
最新記事はアドテク特集でフリークアウトの紹介。
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