DennooによるディスプレイCM広告を中心に、急成長が見込まれる動画広告市場

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東洋経済オンラインでの連載「スタートアップのビジネスモデル」でアドテク特集と称してフリークアウトジーニーの2社を紹介した。番外編として、The Startupではディスプレイ広告の中でも動画広告をViewable広告という概念で扱うDennooを紹介する。この分野の第一人者であるDennoo株式会社共同創業者兼プレジデントの梅田茂利氏に話を伺った。

動画広告はインストリーム型とディスプレイ型の2パターン

まず動画広告のパターンを確認しよう。

①:インストリーム広告型(YouTubeなどのコンテンツ前後に差し込まれる)
②:ディスプレイ広告(従来のバナー広告が動画になる)

インストリーム型はYouTube視聴前に5秒や15秒入る動画広告だ。ユーザーが動画を 30 秒再生するか、30 秒未満の動画の場合は最後まで再生した段階で、上限広告視聴単価による料金が発生する。ユーザーが広告の再生を開始しなかった場合や、規定の時間に達する前に視聴をやめた場合は、料金は発生しない。参考:広告視聴単価

目安指標:CPV(Cost Per View:視聴単価)
国内市場:YouTube50億円、GYAOなどその他10億円

YouTube True Viewインストリーム広告ではオイシックスが目標の4倍の売上が上がったという事例もあるようだ。

一方のディスプレイ型は、従来のバナー広告に動画を流したり、バナーにマウスオーバーすると動画か再生されるというものだ。TVCMに似ていることもあり「ディスプレイCM」とも呼ばれる。2013年12月からGoogleアドセンスでもディスプレイCMの表示が始まっている。

『本当に視られている広告』がViewable広告

Dennooが扱うViewable広告は、ディスプレイ枠に動画を埋め込み、ディスプレイ枠の50%以上が表示されたら動画の再生が始まるという広告商品だ。同社のHPに飛んで、実際にデモを見てほしい。概念は下記参照。

図①

Viewable広告という概念について梅田氏は「広告がユーザーにきちんと見られている『Viewable』な状態が正しい広告の在り方だ」と語る。DennooはCCIと「Adjust Display Cost-per-View」という商品をリリースしている。

TVCMを思い出してみよう。TVをつけていれば、実際に画面を見ていなくとも、その番組やCMを見ているはずだとカウントされてしまうだろう。広告主からすると、実際に見られているかわからないのに広告費を支払わねばならない。Viewable広告が導入されると、実際に見られた分だけ課金すれば良いことになる。

この流れは、広告を掲載するメディア側にはすぐに受け容れ難いものだ。従来の単純なページ表示で広告販売できていたのが、Viewableな状態でないと収益が発生しない構造にルールが変化すると、収益が下がりかねない。だが、米国広告協会はViewable広告の浸透を推進しており、導入が進むのは不可避だ。

しかし、ブランドマーケティング企業の広告費のネット化率の向上が見込めるため、メディアの収益機会は増えるとも言われている。

TVCMを打つブランドマーケティング企業がネット広告へ

広告主の種類を今一度確認しておこう。

①:ブランドマーケティング(web上で認知を上げることが目的)
②:ダイレクトマーケティング(web上で売上を上げることが目的)

今までのインターネット広告は②のダイレクトマーケティングの広告主比率が高かった。コマースや会員登録などいかにCPAを低減させるかという刈り取り型の広告だ。一方で①のブランドマーケティングでは広告を通して認知を上げることが求められる。例えばトヨタの広告をネットで見ても、トヨタのHPから車を購入する人はほとんどいないだろう。

インターネットの視聴時間がTVを逆転したが、広告費はいまだTV向けが圧倒的に多い。

広告費もじわじわとネットに移行していくと考えられ、その中で今までオンライン化率が低かったブランドマーケティング企業の広告費のネット化率が上がると想定されている。

その流れを象徴するのがセブン&アイだ。同社は2014年のインターネット広告費を2013年度比の10倍の約100億円に引き上げると発表した。同社の広告宣伝費は約1,000億円。2013年のインターネット広告費は0.8%と1%に満たなかった。(注:同社はECのセブンネットショッピングを持ち、いわゆるダイレクトマーケティングの要素もある広告主のため、広告費を引き上げた分、そのままブランドマーケティングに投下されるわけではないだろう)

潮流として、セブン&アイの流れに追随する大企業は増えるだろう。多額のブランドマーケティング予算を持つ企業のネット化率は上がる。TVCMに多くの予算を割いていたこともあり、ネット広告でも単純なディスプレイバナーに限らずディスプレイCMのような手法の方がインパクトがあり、好まれる可能性は高い。

このような背景から、Dennooが狙うディスプレイCM市場は拡大していくだろう。ダイレクトマーケティングのようなCPAではなく、ブランドマーケティングであれば広告単価も上昇する可能性があり、メディアの収益機会は増え、収益性を押し上げる要因となるだろう。

インストリーム型広告市場の拡大は、主にYouTubeの視聴時間ないしは他の大きな動画コンテンツサービスの伸びに起因する。ディスプレイCM市場は①既存ディスプレイ広告市場の動画化率の伸び、②ブランドマーケティング企業のネット化率向上の恩恵を受け市場が拡大する。

いずれにしろ、動画広告は成長市場であることは間違いなさそうだ。


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東洋経済で「スタートアップのビジネスモデル」を連載中。
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