マイクロパトロンプラットフォームの『Grow!』をGrow!するには?

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国内で年明け前後から小さなブームになっている(と著者が錯覚しているだけ)
の「ソーシャルパトロンプラットフォーム」。
その代表格のGrow!のβ版が昨日リリースされた。

「なんで俺たちの記事を書かないのか!?」
と言わんばかりにGrow関係者のフォロワーが最近増えた気がして
無言のプレッシャーを感じていたのですが
リリースタイミングに合わせてThe Startupでは記事を提供しているので
ご容赦を。

Grow!は既に一部のスタートアップ界隈では知名度あると思いますので
ビジネスモデルはこちらをご参照下さい。

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■Grow!に関して
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先述のgifteeと同様にマイクロペイメントの潮流に乗ったサービスと言えるだろう。
gifteeは実際の友人知人に対して「ありがとう」を少額で提供する。
このGrow!はコンテンツホルダーやクリエイターを支援する
「少額寄付」のサービスでしょうか。
不謹慎であることは承知な上でコメントしますが
この震災の時流で寄付に対する財布が緩みがちである今、
リリースするのには良いタイミングです。

このGrow!に関しては昨年末のSVS2でブースを回って話を伺ったのですが
「寄付してくれる優しいエンドユーザーなんてそんなにいるのかよ」
と思ったのが本音です。

しかし「寄付」という発想とも違うのかもしれません。
何かの記事で見たのが「クリエイターに払う価値が定価じゃつまらない」
「有料と無料の間を狙う」
そんな表現があり、ちょっと面白いかも。と思いました。

「クリエイターの新たな収益を創りたい」
それがGrow!のビジョン。ということでいいのかな。

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■クリエイター支援型サービスの変遷
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Grow!に似た事例として
エンドユーザーが5,000円-50,000円くらいの出資をしてファンドを組成する
「コンテンツ・インキュベーションファンド」的なものを運営する
ミュージック・セキュリティズというベンチャーがあります。
(以下長いのでMSと略)
MSとGrow!の発想の起点は「クエイリターを応援したい!」という気持ちであり
そこは同じだと思うのですが
金額単価に伴う手軽さとマーケティングチャネルが差別化要因だと思います。

MSの場合は「マイナーなクリエイターのファンクラブ」に加入するといった感じでしょうか
名もないクリエイターがいきなりミスチルファンクラブ並の会員費を設定しても
誰もファンになってくれません。
とりあえずファンとして出資をしてブレイクすれば配当も何らかの形でもらえる。
C向けにはMSのファンドはそういうサービスかと思います。
ですがこれらのアーティストの認知するチャネルがよくわかりません。
MSサイト以外での認知がどれだけあるのかが気になります。
レコード店などでのプロモーションがメインの
従来の音楽業界のマーケティングチャネルと思われます。
事業自体は続いているようですがファンド数が多くはないところを見ると
Living Deadに見えなくもないのが正直な感想です。

Grow!の場合はまず100円から課金可能という手軽さがあり
かつチャネルのメインはソーシャルメディアです。
「クリエイターを応援したい」と発想の起点は同じなのですが
MSと比べて遥かに普及する可能性は高いでしょう。
少なくとも認知はする、と思います。
手軽なサービスとマーケティングチャネル
これがGrow!がMSに勝る点です。

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■しかし、Grow!してくれる優しいエンドユーザーなんてそんないるのかよ
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これがこの事業に対する皆さんの正直な感想だと思います。
従来の似たようなものより良いことはわかった。
しかしこのフリー全盛な時代でユーザーもフリーに慣れ切っている今
フリーな世界に課金を持ち込むいわば時代の流れに逆行しているわけですが
そんなものが流行るのでしょうか?
ガラケーの課金が美味しかった時代は終わろうとしており
iphoneやソーシャルアプリ事業者は
「無料」アプリと「買い切り課金」で
苦戦を強いられているところが多いと思います。
大体成功しているところはゲームの従量課金かと思います。

たしかにコンテンツがフリー化していきていることは
クリエイターから見ると悲しい嘆かわしいことでしょう。
しかしマーケット全体で見ると
ユーザーの習慣を変えるのは難しいのではないかというのが所感です。

そこでGrow!してくれるターゲットは誰なのか?
一般大衆なのかリアルにパトロン出来るくらいの高所得者か?
高所得者層でアーリーアダプターなら需要はあるかもしれません。
(ネット系企業の役員やその手前クラスでしょう)
しかし圧倒的に供給数が少ないすね。
月額ARPUがいくら高くても圧倒的に供給少ない。

では一般大衆は?
一般大衆こそフリーコンテンツに慣れ親しんでおり
よほどいいコンテンツがあってもGrow!してくれるか際どいところです。
現に私が貧乏なだけかもしれませんが
私はitunesで曲を落とすのにもかなり躊躇するくらい
ネット課金に敏感な人間です。
(みんなもっと気軽に課金しているとは思いますが)

Grow!することによって得られるユーザーの便益とは何か?
俺、こいつを応援しているぜという自己満足感と
2次的にはソーシャルメディアブランディングなると思いますが
それだけで本当に流行るのか?という疑問です。

しかしtwitterやinstagramなど
つぶやきや写真upするだけでなんのユーザー便益が?
というものが流行っていますが
この二つのサービスは
140文字や写真に特化したシンプルなコミュニケーションサービスであることと
無料であること
この二点がブレイクの要因かと思います。

Grow!もシンプルという点では良いと思うのですが
この「何の対価を得られるか明確ではない課金」
に一般大衆がどこまでついていけるのか。

そのヒントになるのが今回の震災の寄付であり
「俺、どこでいくら寄付したぜ」とtweetする人が増殖する中
「寄付やGrow!することがカッコいい」という文化が根付けば
Grow!にとってのマーケットは明るい
のですが
「ユーザーにとっての真の訴求便益は何か」をしっかり打ち出していかないと
Grow!ボタンが押される回数は伸びていかない
でしょう。

パッと見のサービスの所感では
クリエイターサイドに寄り過ぎていて
ユーザーサイドでは(課金するという)現実感が低いと感じました。

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■まとめ
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今回は手厳しいまとめとなってしまいましたが
The StartupにもGrow Bottonをつけて
皆さんにGrowしてもらいたいと思っています!

「コンテンツ消費に対する意識を変えたい」
というビジョン自体は素晴らしいと思います。
ユーザーサイドとクリエイターサイドをブリッジするために
もう一手何か欲しい。 私はそう感じました。

タイトルと結論をこじつけると
「Grow!」を「Grow!」するには
その一手が必要だな。(現時点では私に策はありませんがw)
そう感じました。



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