「代官山オトナTSUTAYA計画」で代官山は緩やかに復権する。

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一見、スタートアップネタとは関係ないように見えますが、実はスタートアップと深い関わりがあるお話です。

■1:スタートアップやアーリーアダプターが集う「場」

六本木アカデミーヒルズ、六本木TSUTAYA+スタバ(umeki界隈での通称「ツタバ」)大学時代から今だに僕はヘビーユーズでこれらの空間を使っていますが、これらの空間にはじめて出会った時、あまりにもエポックメイキングな出来事でこの2つの空間にハマり過ぎてかれこれここ5年くらい僕のライフスタイルの大きな一部を占めている。

その空間に身を置くだけで先端的な情報を体で感じることができ、それを元に新たな発想が生まれてくる。この2つの空間はそんな場であるし、これがあるというだけで麻布に引っ越したいと思ったこともある。

いわゆる感覚的に時代の最先端をいく「エッジイな層」には知名度と利用度が高いこの2つの空間。僕の周りでもこれらの空間を使っている人や実際にその場でお会いしたりすることも多々ありました。

こうしたエッジイな人々が集う「場」であったり「街」に僕は昔から興味があり、だから前職はソーシャルアパートメントという「場」のビジネスに携わっていた。という経緯もあります。

■2:代官山オトナTSUTAYA計画とは?

たまたま昨日ヒルズのツタバでぶらぶらしていて見つけた本。旧山手通り沿いのパリの喫茶店っぽいミケランジェロ/ASO斜め前あたりにできる新コンセプトのTSUTAYA。だそうです。本をサクッと読んだところキー・ファクターは下記3つ。

▷1.コンセプトは「森の図書館」

施設の面積が大きいことからも、森的な全体感の中に多くの蔵書やDVDやCDを擁する「図書館的なもの」を目指しているようです。先端的なものだけでなく古き良きクラシックを多数扱うのではないかと思います。「本当に良いものは何か」を追求できる施設になるのではないでしょうか。

▷2.施設全体が「広義のカフェ」

これが一番大きいと思うのですが、いわゆる珈琲が出てくるという狭義のカフェではなく、人々が出会い語らう「コミュニケーションの場としてのカフェ」これを狙っているようで、イベントを頻繁に開催していくようです。
本などの作品との出会いだけでなく、人との出会いが設計に入っているように感じます。下半期のトレンドとなるO2O(Online to Offline)のオフライン会場として多くのmeetupが起きていきそうな施設にもなるのではないかなと思います。

▷3.ターゲットは「プレミアエイジ」

著書の中では「団塊世代」と定義しているようですが(人口的に取り込みたい、感度が良いなどを理由に)このプロジェクトのターゲットとなるもう一つの「プレミアエイジ」があると思います。

「エイジ」とはいわないかもしれませんが上記のアカデミーヒルズやツタバが好きな人は確実に流れてくるでしょう。こういう「 プレミア・インテリジェンス」な人々にも代官山という落ち着いた街の雰囲気とも相まって、人気が出ることが予測されます。

■3:街とエンタメやスタートアップの関係

今回のタイトルを「代官山オトナTSUTAYA計画による代官山の復権」としていますが、まずは周りの街との比較で代官山を語ってみたいと思います。

▷代官山のここ10年の変遷

僕の解釈が間違っていなければ、「代官山アドレス」ができて月9の「やまとなでしこ」のブレイクとの相乗効果で、代官山人気が出て20代前半層を中心とした個人経営のアパレルショップが多くでき隠れ家的な飲食店も乱立していった。これが2000年代前半のことであり、僕が上京した2004年くらいまでは人気がピークであった。

今思えばアパレルショップは原宿から代官山に流れ、隠れ家飲食店は西麻布から流れ、ミニ原宿×西麻布×自然がいっぱい。的なのが2000年代前半の代官山の僕のイメージである。

2000年くらいからは隣の中目黒が流行りだし(注:2005年と表記していたが、ご指摘頂き2,000年に訂正した)アパレルショップも飲食店も中目黒に流れ出し、2003年,2007年にはヒルズ、ミッドタウンが六本木に出現し、六本木が繁華街だけでなく文化やエンタメが充実した街になっていき、代官山に訪れていた人は中目黒や六本木に流れて、代官山が過疎化したなーと感じていたのが2006-2009年くらいでした。僕も流れたうちの一人で、代官山つまんねーな。と当時は思って足が遠のいたものです。

しかし2010年くらいから僕も度々代官山に立ち寄るようになり、人が多くなく落ち着いた雰囲気がすごくいいなと思うようになっていきました。飲食店に関しては新規オープンが増えたかはわかりませんが、地に足のついた良質なお店がいくつかあるイメージがあります。

▷IT企業やスタートアップと代官山周辺の関係

2000年頃はご存知ビットバレーで渋谷にIT企業が集結していて、2010年代の今もいくつか渋谷でスタートアップをやっているかたもいますが、恵比寿にスタートアップ企業が多く集結しているという点はとても興味深いです。(*僕も恵比寿のスタートアップに勤務していますし、恵比寿のスタートアップの知り合いは多い)この現象の要因は正直よくわからないのですが、
渋谷より恵比寿の方が肩肘張らなくて良い自然体でいられる空気が流れている気がします。

代官山自体にはIT企業やスタートアップのオフィス需給は低いですが、「渋谷」と「恵比寿」の中間という立地特性上、文化的に大きなエポックメイキングが代官山で起こると、渋谷と恵比寿からITやスタートアップの人による新たな人の流れができるんじゃないかなと思いました。

■4:代官山オトナTSUTAYA計画によって代官山は緩やかに復権する。

今東京で最も力がある街は六本木だと思います。元々の繁華街であったことに加え、ヒルズ&ミッドタウンのコンビにより、商業施設やエンタメ(映画館&ビルボード)インテリジェンス(アカヒル、ツタバ)この総合力はしばらく揺るぐことはなく、まさに2000年代の「The Tokyo」は六本木であったといえます。

六本木が「すぐに終わる」ことはないとは思いますが、そろそろ六本木に皆が飽き始めて、東京の六本木一極集中型モデルもそろそろ過渡期かなと。エッジイな人やアーリーアダプターは新しいものを求めたがりますから、次が欲しい頃だと思うのです。

そんな中での今回の「代官山オトナTSUTAYA計画」は時流を捉えた次代のトレンドを見越した、「計算され尽くした計画」であり、ピンときました。オープンは2011年秋のようですが、オープン後2〜3年をかけて、六本木の一極集中型から人がいくつかの都市に分散されるその中心となるのが代官山になる。という可能性はあるなと思いました。

代官山オトナTSUTAYAを中心とした代官山でのイベントやmeetupが増えていき、スタートアップ界隈の人々に人気の施設となるでしょう。そして代官山に住みたがるスタートアップな人々が増えて、代官山が再び盛り上がっていくと思います。



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