編集力=組み合わせによる化学反応を追求する力:The Media8

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最近徹底的にメディア論を掘りに行っていますが、「メディア」を語る上で紐づくのが「編集」という言葉。「編集力の有無」はどう判断されるのか?僕は編集の講座にも通っており、過去記事を掘り起こすと、編集に関する話が出てきたのでその一部を紹介しつつ、掘り下げて考えてみましょう。

編集とは、企画を考え、人を巻き込み、モノを作ることである。

編集者とは、対象となるモノや人を活かした企画を考え抜き、その人の魅力を引き出す役目の人のことである。

この定義に沿うと、「編集力がある人材」は「企画力」があり、「人を巻き込むこと」ができ、「アウトプット」を出せる人のことである。

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これをオンライン記事メディアに落とし込むと「読まれる企画を考えること」ができ、「時には記事中に人を活かしたり、優秀な外部の寄稿者を巻き込むこと」ができ、「(単一にPVが良いというわけではないが)一定以上のPVや良質な記事というアウトプット」を出せる人が、「編集力がある」といえます。

起点となるのは「企画力」なのですが、企画だけあっても人の協力を得られなければ企画が成り立たない。そう考えると、かなりバランス感覚が求められます。人を巻き込まない企画も十分成立しますけどね。

「編集力」とは、組み合わせによる化学反応の威力を指す

「ネタが思い付けば、記事製造工程の半分が終了。あとはイメージをテキストに落とし込む作業」というのが僕の記事を書く上での持論。「何を書くか」を思い付くことが重要です。

僕は元の素材をストレートに出すこともあれば、トリュフをまぶした変化球としてエッジを効かせた味付けで出すこともある。料理と記事は似ていると思います。変化球を選んだ方が、より多くの人に届いて様々な意見を炙り出すという狙いもあるので、時に味付けは劇薬となることがあります。

元の素材をストレートに出すことは、メディアでは「ストレートニュース」といい、そういう記事が多いメディアを僕は「コピペメディア」と呼びます。もちろん、速報などはストレートニュースに価値があります。しかし、素材をそのまま出すのではなく、組み合わせの妙によりオリジナリティの高いコンテンツに仕上げるのが、編集力ある書き手のなせる業かと。

時系列ではなく要素分解して、強調したい点を見せる編集

例えば、イベントレポートを書かなければならないとしましょう。先日、B Dash Campに参加した手前、いくつか記事を出さなければと思いましたが、時系列の事実を述べただけの記事は他のコピペメディアさんたちからリリースされます。

イベントの様子を知る上で、そういうレポートはあったほうが読者としては有難いでしょうから、イベントレポート自体に価値はあります。しかし、他でそういうのが出るとわかっていて、同じような記事を制作しても意味がありません。The Startupに求められる役割は別であると考え、あえてそういうレポートは出しません。

セッションの中の一部を深堀りして、他の何かと結びつけた記事を書く。例えば、スタートアップ経営における、圧倒的な個の力(スーパーサイヤ人)の必要性。この記事はB Dash Campのパネルから着想を得て、「スーパーサイヤ人」という素材を喩えに用いて作りました。

結果的にこの記事はそこそこ読まれ、「スーパーサイヤ人(ひいてはドラゴンボールネタ」がバイラルコンテンツであることを実感しましたが、少なくともあのセッションから「スーパーサイヤ人」をキーワードに記事を組み立てにいく書き手はあまりいないはずで、そこには高い独自性があるはずです。

ちなみにそのセッションにおいては、フリルの月間流通総額が5億円であるという点に他のメディアが焦点を充てていましたが、あのセッションの最大の見せ場はそこで、瞬時に速報を出せと言われれば、僕も同じ判断になっていました。

イベント内容は忠実に書き起しても、無駄な話なども多い。インパクトのある点にのみ焦点を充てたり、実際のセッションの流れを無視して、セッションを要素分解し、そのファクトを組み合わせた記事を出すというのも一つの手です。キュレーションメディアサミットの「バイラルメディア編」「キュレーションメディア編」は僕の中ではそうした実験でした。イベント内容を生のまま伝えるのではなく、整理して、味付けして伝えると、こうなる。という僕なりのアウトプット。

この素材はどうすれば光るか。素材の見せ方を変えてもいいし、他の素材を付け加えてもいい。こういう視点で物事を常に考えているか否かは、アウトプットのオリジナリティに反映されていると思う。

編集者は、企画に適した人の最適な組み合わせを考える人

編集者に話を移そう。

僕のような書き手プレイヤーも、単に見聞きした事実を書き写す「ライター」なら編集力よりも誤字脱字がない「正確に明記する力」があった方が良いでしょうが、僕なりの編集を入れて、味付けして見せています。それが当たる時もあるし、当たらない時もある。書き手も「編集力」があるに越したことはないし、それが競争力になる。

一方で、書き手ではなく編集だけをする「編集者」なる人がいます。記事メディアにおいては、企画を立て、執筆者、カメラマン、取材先といった人を巻き込み、取材に同行して記事というアウトプットを作ります。

「編集者」においてはキャスティング力が最も重要だと思います。編集者は執筆者から上がる記事やカメラマンから上がる写真という素材を見て、最終的にどう仕上げるのか、考えて手を入れる人です。

最終工程に至る前に「どういう素材を集めるか」が重要で「この人をこの人が取材したら面白そう」とか「このテーマならあの人が書くといいだろう」とか引き出しをたくさん持っておき、それを組み合わせる。この企画においては、誰の能力を引き出し、組み合わせると最適化を考える。人の長所を引き出す力に長けた人が、編集者に向いていると思います。よって、どんなことにも興味を持ち、一定以上の知識や見解を有している必要があったり、知らない分野でもすぐにキャッチアップできる力が必要。

「企画」の実現において、「誰の」手を借りると良いか。キャスティング力が編集者に求められる最大の力量であり、最終工程でその編集者なりの「味付け」ができるかも大事なスキルだと思います。

「編集力が足りない」と思っている人は、「何かと何かを結びつけること」思考訓練を日々してみるといい。「あの経営者にはあの女の子が合うに違いない」でもいい。その精度が高ければ企画は成立しますし、実際に僕がとある女性をとある経営者に紹介して、上手く需給が合致していました。強引に言い換えると、編集的な勘が働き、そういうアウトプットになっています。

そんなとこです。最後に、編集力にまつわる関連記事を貼っておきます。

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