編集者不在のスタートアップメディア業界

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medium_51473374ここ最近、資金調達ネタやサービスリリースネタで他媒体とネタが被ることが多かったので雑感を。

お堅いメディアは取材した事実を「報道」するという側面が強い。新聞のようなイメージで、事実以外に見せ方の工夫とかは求められていなそう。現に、事実をありのままに知りたいという読者ニーズはあるので、間違っているわけではない。

報道と編集。

企業が発するリリースネタは第一次情報。その情報には遅かれ早かれどのメディアもリーチすることが可能だ。一次情報をストレートに受け取って、企業のリリースをそのまま掲載するのがストレートニュースメディア。それを元に独自の見解を加えるのがThe Startupのようなオピニオンメディア。

ストレートニュースに価値が全くないとはいわないが、遠くない未来にログミーなど機械的なものに取って代わられる分野であることは明白だ。オピニオンには独自性があるけれど、賛否両論を誘発するリスクがあることを体感している。第三の手法として、事実の見せ方を変えてよりその事実を魅力的に伝える方法はないだろうか。そこには編集の力が必要だ。

このところ、村上春樹をこじらせてこんな記事を出してみた。

4月のある晴れた朝に100パーセントの村田マリに出会うことについて
KAIZENが5億円調達しても、完璧なグロース・ハッカーなどというものは存在しない

はっきり言って競合他誌ほど数字は取れていないと思う。そこはメディアパワーのベースが違うので仕方ないと思っている。回答を言ってしまうと、僕は小説風な文体の中に(巷ではこれらの記事を『梅木ポエム』と呼ぶ田端さんとかもいる)意見を暗示させている。

iemoであればキュレーションメディアはSAP競争のような様相を示してくることが予測され、KAIZENであればグロースハッカーの供給量が少ないがゆえに市場の成熟に相当時間がかかるであろうこと。

僕自身も場合によっては、取材で聞いたことを極力漏れがなように記事に盛り込んでしまう。しかしそれは読者が本当に欲している情報なのか。あくまで読者にとって重要だと思われる情報を鮮明に頭に残るような形で伝えるのが一番良いのではないか。The Startupでリリースネタを扱う時は、他のメディアでも記事が出ることを想定した上で、彼らとは違う価値軸を立てることを考えるようになった。逆に東洋経済ではマスにコミュニケーションするつもりで書きにいく。

どの情報をどの媒体でどのような表現で載せるのが効果的か。こういうことを考えるには編集的なスキルが必要だ。書き手も単なるライターではなく編集力を兼ね備えたライターじゃないと記事の独自性が生まれず、競争力がなくなり、ログミーに仕事を奪われるだろう。

周りと同じこと、そして過去の自分と同じことをやり続けているのは、怠慢なのではないか。

と、自戒を込めて。

周りに埋没してしまうなら、そんな記事は書かない方がマシだ。

「スタートアップメディア業界」というとても狭い世界のことを指したけれど、新聞とかTVも同じニュースをあまり代わり映えしない手法で伝えているよなと。独自性を感じるのは雑誌くらいか。

この問いかけは僕自身の編集力のなさも嘆いた上での問いかけである。
PVを追い求めると火傷するので、僕はPVよりも読者の記憶に残る記事を書きたい。

編集は必要なくて、報道だけいいという意見もありそうだけど、編集が介在した方が素材が活きてくると思う。テクノロジーにより報道自体がコモディティ化し、編集の付加価値が更に上がることは想像に難くない。

僕は有能な編集者を欲している。だれか。

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