東洋経済オンライン上で元東洋経済オンライン編集長で現NewsPicks編集長の佐々木紀彦氏にインタビューするという記事を出しました。連動企画ということで、もし僕がNewsPicks編集長だったら何をするかを考えてみます。月額課金とネイティブアドでマネタイズしていくようですが、本稿ではどうすれば月額課金ユーザーが伸びるかを考えます。
東洋経済の方では、直接的表現をすると「月額課金は無理ゲーじゃないでしょうか」と述べていますが、無理ゲーに挑戦するのがスタートアップであり、無理ゲーを成立させることに大きな価値があります。クックパッドのようなCGMではなく、記事体メディア月額課金ではcakesがありますが、どうもスケールしているようには思えません。僕は課金してるんですけどね。
NewsPicksの課題:CGMを別軸で統制する必要がある
具体的な課金内容を考える前に、現状整理から。The Startup読者でNewsPicksを知らない人はもういないと思うのでサービス説明は端折りますが、一応リリース当初に書いた記事だけ貼っておきましょう。
ユーザベース、経済情報に特化したニュースキュレーションサービス「NewsPicks」をリリース
記事に対するユーザーのPicksでランキングが形成されていくのが最大の特徴。ユーザーをフォローしてタイムラインで記事を拾って読むという使い方もありますが、このランキングから重要ニュースをチェックするという使い方をする人が多いと思うし、僕はタイムラインよりランキングを見ます。
時折Pickコメントでも見られますが、CGMであるがゆえしょうもないものがランキング上位に来る場合も少なくない。「ランキング」=「皆の興味関心、多数決」という意味合いが強いので致し方ないですが、なんだかなあと思います。
自分に合うユーザーをフォローし、そこから情報収集するというスキルは実は一部のハイリテラシー層じゃないと成り立たない。twitterを上手く活用できていない人が大多数なように。CGMという軸が一つあるからこそ、CGMではない別軸での提供価値がNewsPicksには必要なのではないかと思う。これが僕が感じている最大の課題です。
内輪感も弊害になりえますが、これは僕個人的な感情であり(僕はサロン運営をするくらいなので、プラットフォーマー志向。ゆえに他人のプラットフォームはあまり居心地が良いと感じない。というだけです笑)多くの人が感じていることではないのかもしれないので、スケールを阻害する最大の要因にはならないかなと。
課金メニュー①:Pick of Pickによる編集部キュレーション
独自コンテンツを用意しているということで、ここはやはりかなり期待できるのでは?という説があります。ゼロからの独自コンテンツというのも価値があるのですが、僕は違う方向を提示します。
NewsPicks編集部が日経新聞のような役割を果たし、「経済分野で今日読んでおくべき10本」などを選定する。各記事に対して、編集長や編集部員のコメント。その記事にpickしていて「これは秀逸だ」と思ったpickerのコメントを2-3個付け加える。
現状の規模感のNewsPicksですら、コメントのノイズが多い。あのクソ長いコメント欄が最大の価値でもあるのですが、Like数が多いコメントの価値が高いわけではないのです。例えば、堀江さんが「いいね!」とコメントしただけのものでも、そのコメントに対して「いいね!」がたくさん付きます。有名人の価値のないコメントでも、Likeを獲得し、コメントが上位表示されます。そんな世界、全然よくねーだろw
著名人や権威ある人々の「コメント力のなさ」が見ていて一番面白いなと僕は思っています。ゆえに仮に大学教授に記事をdisられても全然痛くないですね。元々、学生時代から平気で教授と喧嘩するタイプで、ゼミをクビになってるんですけどねw
僕自身、コメント力はないと自覚しているので、ひたすらパブリッシャーとして記事を供給します。他人の記事を読んでコメントする暇があるなら、1本でも多くの記事を書きたい派なんですよね。その方が頭が整理されるし、フィードバックも多いし、得られるリターンが大きい。
話を戻して、能動的にフォローして記事を収集できる人はマイノリティー。この分野ならこれを読んどけ。この人のコメントも良かったぞ!という編集部キュレーションが機能すれば、ここに課金する価値はあるし、より多くのユーザーを課金に導ける可能性があります。様々なメディアから記事をpick upし、味付けをするわけです。受動的に読ませることが、スケールにおいては何より大事かと思います。
移籍後は佐々木編集長がpickし始めていますが、やはり見ていて面白いんですよね。佐々木編集長のpickを閲覧するには課金するとか、特定の著名pickerの閲覧は課金するというのもありですが、picker側とNewsPicks側で握らなきゃいけないので、現実的ではないでしょう。
課金メニュー②:ユーザーブロック機能(コメント非表示)
ここをキラーにして課金する人は少ないでしょうが、個人的に欲しいのがユーザーブロック機能です。ブロックしたユーザーのコメントは表示されなくなることを想定。
なぜかというと、僕の記事はNewsPicksでコメントをもらえることが比較的多いのですが、ほんと特定の人のコメントはウザいというか、目にしたくないなというのがあります。ここはあえてバイネームでいきましょう。例えば世界銀行の西田さんという方。
たびたびコメントをもらう気がしますが、7割型攻撃的なコメントで、書き手としてはかなり気分が悪い。NewsPicksは「記事への意見」であり「人への意見」ではないという設計思想と聞いていますが、僕ら書き手はサンドバックでもぬいぐるみでもないんですよ。やっぱりこういう攻撃的なコメントを喰らっていくと、思うところはあります。
人気ユーザーのようですが、こういう荒いコメントばかりしてくる方、本当に嫌いですし、これで世界銀行なのかよと思うと、世界銀行で採用される人格レベルも疑うほどです。これは僕からのストレートな人格批判です。悪い人じゃないらしいという話も聞きましたが、僕の印象は最悪。批判するにも批判の作法、トーン&マナーがあるかと思いますよ。
こういう個人の人格攻撃を記事上でやる僕にも批判が集中することが想定されますが、そんなことはわかっています。そのリスクを承知で、主張したいことなんですよ。批判コメントの作法的なものをね。俺はサンドバックじゃねーよ。書き手にも感情あるんだよ。これを見た西田さんは、それでも批判的なコメントをかましてくるのか、楽しみにしてますよ。二度とコメントいただかないのが、一番助かりますけどね。
とはいえ、webという全世界に記事を発信している身としては「嫌なら読むな」「うざいコメントをするな」と読者の行動を強制することはできません。昔は「うざいコメントするくらいなら、読むんじゃねえ!二度と来るな!帰れ帰れ!」と鮨屋の大将気分でしたが、諦めました。それは書き手側としてのプロ意識が低い人の発想かなと。
読者が何を思って何を言おうが勝手ですが、NewsPicksの機能でそういう人を自分の視界から排除できる機能があれば僕はすごく価値を感じます。「嫌い」というよりかは「この人のコメント、いつも長くてうぜえな」というユーザーもいます。そういう人のコメントを排除できると、コメント欄がだいぶ見やすくなる。ハイリテラシー層向けですが、フォローという足し算ではなく、ブロックという引き算でタイムラインやランキングコメントを最適化したいというニーズはある。少なくとも僕にはね。
補足:オフラインコミュニティの限界は数百人台
最後に、NewsPicksが想定する課金提供内容に「オフラインイベントもあるコミュニティ」というのを取材時に聞きましたが、コミュニティが機能するのは数百人台後半が限界と見ており、ここは数万人単位の月額課金を狙いにいく上では適切な打ち手ではないと感じました。
僕はFacebookグループというオンラインベースで330人くらいになってきたUmeki Salonというコミュニティを運営していますが、コミュニティ運営というのはけっこう独特な力が必要になるかと思います。スケールして1,000人とかでコミュニティ感を醸成させるのはキツいですね。
微々たるマネタイズではありますが、月額1万円で200人とかにして、ロイヤリティの高いコミュニティを形成するという手はありです。ゆるいセミナーとかが毎月開催される感じで、アカデミーヒルズに入会しておくのに近しいイメージです。アカデミーヒルズは物理的な場所を提供しますが、NewsPicksCommunity(仮)は良質なユーザー間交流という場を提供する。法人会員とかで「お前、これ入って情報リテラシー上げて社内に還元しろ!」的な利用イメージですね。それなら月額1万円で500人くらい取れるかも。
こんなところで締めておきましょうか。The Startup×東洋経済オンラインの勝手に連動企画でした。東洋経済の記事の中にはサムライト記事のリンクも貼っており、同じ著者が様々なメディアに散らした記事を連動させるというのは面白いと思うんですよね。またやってみます。
あなたがもしNewsPicks編集長に就任したら、どんな課金メニューを考えますか?編集長気分でコメントしてみてください。
*個人の人格批判を記事上でするなよというコメントは求めていません
(いつもボコボコにされている僕なりのカウンターです)
316人に!Voyage宇佐美さんも参加するUmeki Salon
内容の参考:強者メディア運営者が集うメディア論の良スレ、Talentioがイケてる件など
サロン限定コンテンツ例:「会社は起業の学校じゃねえんだ」
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