リードユーザーを形成する「浅いコンバージョン」

Pocket


変則的なメディア論兼マーケティング論として「浅いコンバージョン論」をお届けします。

今までインターネットサービスの多くは「会員登録」を主要コンバージョン指標に置いてきました。コマース(B2Cの場合は単純なショッピング、B2Bの場合は製品導入や契約)の場合はそこから「購入」や「資料請求」「応募」もコンバージョンになるわけですが。

「浅いコンバージョン」という言葉がサロン内で出て、これは今後を占う重要概念かもなと思い、掘り下げて考えてみます。

inbound-marketing-funnel-resized-600出典:マーケティングエンジンのブログ

少しマニアックな方は「ToFu」というマーケティング概念を聞いたことがあると思います。高広さんの「インバウンドマーケティング」で読んだのかもしれません。ToFu=Top of Funnelで、ファネルの導入部分。言い換えるとすぐにその製品やサービスを購入する需要はないけど、興味はある。そのうち購入するかもしれないという見込み客(リード)を獲得するフェーズを指します。

wantedlyと弁護士ドットコムに見る浅いコンバージョン

サロンで例に挙げられていたのがwantedlyです。人材採用市場において、wantedlyの革新の一つは「浅いコンバージョン」を獲得できる点にあると感じます。

■従来の採用市場(転職サイトと人材紹介会社)

コンバージョン1:「会員登録」(求人掲載課金)
コンバージョン2:「求人応募」
コンバージョン3:「採用」(成果報酬が仲介業者に発生)

■wantedlyのフロー

コンバージョン1:「Facebookログインで会員登録」
コンバージョン2:「気になる!」(求人掲載課金)
コンバージョン3:「話を聞きに行きたい」
コンバージョン4:「求人応募」
コンバージョン5:「採用!」

転職という結構腰が重い物事に対して「あー、この企業良さげだな。でも今は転職する気ないから、応募がいいや。でも気になる」というユーザーはけっこういると思います。そこで「とりあえず話だけでも聞いてみるか」と応募の意思とは別に、軽く話を聞ける。これが「浅いコンバージョン」であり、インバウンドマーケティングの概念など「リード(見込み客)の獲得」であります。

この「浅いコンバージョン」の積み重ねが、実際に転職活動をする時に「応募」「採用」というコンバージョンに転換していく。これは色んなサービスに応用できる話ではないかなと。

他の例でいうと、弁護士ドットコムというサービス。サイト上で弁護士に無料(誰が回答するかわからない)で相談できます。そこで弁護士が良い回答をすれば、例えば離婚問題で悩んでいるユーザーは「この弁護士、信頼できるかも!裁判もこの人に任せようかしら」と実際の委任に繋がるわけです。「最初のQ&A」が「浅いコンバージョン」に相当します。

The Startupで非常に細かく見る、浅いコンバージョン

僕個人のファネル分析を最後に紹介しましょう。読者情報は会員制にしない限り、取得できません。僕のような個人メディアの、VisitorをLeadsに転換するToFuとなり得る要素は下記が考えられます。

■個人メディアで獲得できる浅いコンバージョンチャネル

・ツイートなどでの記事のシェアやFacebookの「いいね!」
・NewsPicksでのコメント
・Twitterのfav
・Twitter / Facebookアカウントのフォロー(ないしは友達申請)
・コーヒーミーティングの「いつかお茶したい」

マーケティングデータとして「誰が自分に興味を持っているか=認知しているか」という個人データを取る必要があります。顔の見えないPVなどの数字を見てもしょうがないのです。

■記事のシェアやNewsPicksでのコメント

まず、記事をシェアしたり、頻繁にNPなどでコメントしてくれる人は、僕のことを「認知」は必ずしています。これが一番浅いコンバージョンこの「認知」が「好意」かは別ですが、僕からすると「この人は僕の記事を何度かシェアしているから、僕のことを知っているはず」というデータが取れます。

例えば、堀江さんが何回か僕の記事NewsPicksでPickしている。ということは堀江さんは少なくとも「The Startup」を認知しており、「The Startupの梅木です」といえばアポを取れる確率が、何もない状態よりも高いかもしれない。という仮説を立てることができます。相手に認知されているはずという仮説を立てた上でアプローチすることができます。NPでよくコメントしてくれている人は僕から「いつもコメント、ありがとうございます!」とアプローチされれば、悪い気はしないでしょう。

■twitterのfav

「記事のシェア」よりもう一段深いものとして、twitterのfavが挙げられます。自分のツイートを多くfavしてくる人は、アンチでない限りは自分に何かしらの興味がある確率が高いです。U-NOTEの小出くんとかはfavし過ぎですが、お互い知り合いではない状態でfavされることが続いた場合、こちらからアプローチすればほぼ100%アポは取れるでしょう。2010年に僕はtwitterをそういう風に使っていました。favってきた大学の後輩と思われるネットリテラシーの高い男たちをナンパしていったんですね。これは当時「インタレストグラフ」という表現をされたりもしました。

■twitterのフォローとFBのフィード講読

twitterのフォローやFBのフィード講読は「定期的にこの人をチェックしたい」という意思の表れであり、浅いコンバージョンといえます。とはいえ、記事を読んだだけでフレンド申請してくる人は迷惑ですし、僕はフィード講読を開放していません。ビジネス上は多くの浅いコンバージョンを獲得した方が良いのですが、FBではそういう運用方針を取らないことにしました。

■コーヒーミーティングの「いつかお茶したい」

浅いコンバージョンの中では最も有益なデータなんですよ、実は。「いつかお茶したい」と緊急性は高くないものの、機会があれば会いたいと既に相手は思っているわけです。僕とお茶したい人は454人いるそうで、これはサイト上では家入さんとほぼ変わらない数字です。

「いつかお茶したい」してきた人に「お茶しましょう」と誘えば、ほぼ100%会えるはずです。それも既に相手は何かしらの形で自分に興味を持っている。極論すると自己紹介も省けるかもしれないという、有利な状態です。サービスとしては全然スケールしないと思いますが、これはマーケティングデータとしては有用です。「FBログインによる実名での興味の可視化」は上手く換金できる方法がありそうだけど。

想定できる限りのToFuチャネルを洗い出してみました。The Startupの場合はここから「記事を継続的に読んでもらって信頼を獲得」し、B2Bであれば僕個人にコンサル依頼や媒体に広告出稿というコンバージョンがあり得ますし、B2CであればUmeki Salonへの課金が想定されます。

■The Startup⇒Umeki Salonユーザー体験フロー

1:The Startupで記事を読んでみた(Visitor)
2:twitterでフォローしたり直接あったりして、継続的に接触する間柄になる(Leads)
3:ああ、こいつやっぱいい記事書くじゃんと思う(Qqalifies)
4:サロンだともっと面白い話あるかもしれない(Customers)

このフローを丁寧にユーザーに体験していただくためにも、2でLeadsにしっかり転換する意識は持っていたいですね。「会ってみると意外に怖くない」というのを2で徹底的にやる感じです。

「浅いコンバージョン」。自分ごととして捉えると非常にわかりやすく腑に落ちました。皆さんのサービスだと、何が浅いコンバージョンになり、それを上手く深いコンバージョンに転換できているのか。そこを見直してみることをおすすめします。

ついに305人越え!Gunosy木村さんも参加するUmeki Salon
内容の参考:強者メディア運営者が集うメディア論の良スレ、Talentioがイケてる件など

Umekisalonバナー縦100

New!News Picksで高確率で記事がランクイン。アカウントはこちら

著書、グロースハック本の要約サイトflierで要約を紹介。

梅木雄平が選ぶ珠玉の書籍40冊

コーヒーミーティングで梅木に「いつかお茶したい」しよう!

今日も適当にツイート中。 @umekida

 šƒoƒi [RGB -72dpi i685 ~65)_



Pocket

コメントを投稿する

「リードユーザーを形成する「浅いコンバージョン」」に対してのコメントをどうぞ!