打倒しまじろうを掲げる、中高生版schooのアオイゼミ

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EdTech、しょうじきしんどい。という主旨の記事を書きましたが、そんなEdTech企業から鼻息の荒いスタートアップがあったの紹介しよう。アオイゼミという中高生向け動画講義サービスだ。同サービスを運営する株式会社葵は2013年12月にNVCCと個人投資家から4,000万の出資を受けている。

アオイゼミはメディアに露出することは滅多にないと代表取締役の石井貴基氏は言うが

僕、梅木さんと同じ北海道出身なんで。
あと、The Startup好きなんで。

という理由で渋々受けていただいた。尚、僕は北海道出身者には優しいつもりだ。同郷出身者としてはpairyのチャラ橋と同じだとスタートアップ界隈でネタにされることもある。

アオイゼミ(動画+SNS) vs Study Plus(SNS)

簡単に説明すると、アオイゼミは中高生向けの講義をライブで無料放送し、アーカイブ閲覧で課金するというモデルはschooと一緒だ。アオイゼミのサービス提供内容を参照。下記が料金体系。

スクリーンショット 2014-04-24 21.46.53全然話が変わってしまうが、数千円規模の月額課金サービスではスタートアップではOmiaiやPairsがあり、App Storeのセールスランキングでも200位以内に位置していることが多い。課金単位は数万人と思われるが、数千円規模の課金は数万人でもそれなりにスケールする。

ソニー生命でファイナンシャルプランナーとして務めていた際に、他の項目と異なり、教育コストは削減の余地が大いにある。塾やしまじろうからリプレイスできる余地があると思った。(石井氏)

アオイゼミのアップサイドを軽く計算してみよう。

中高生市場:1学年100万人と仮定×6
その内ちゃんと勉強する率:10%と仮定し約60万人
アオイゼミに入会する率:10%と仮定し約6万人
月額平均:2,000円と仮定
年間単価:2.4万円(LTV1年と仮定)
年間売上ポテンシャル:6万人×2.4万円=14.4億円

14.4億?! ひゃっほう!

まあ、これは相当甘めに見積もった数字ですが、現にしまじろうたちは高単価で高LTVを実現しているので、あり得なくはない。あと、教育なのでしまじろうや塾よりは低くとも、月額300円以上は支払われそうな文化がありそう。

中高生向けの学習分野のスタートアップでは勉強SNSのStudy Plusがある。同サービスはmixiから7,200万円の出資を受けている。直近の公開数字ではユーザー数は20万人を突破。個人的に気になるのは、個人投資家として著名なネットプライスの佐藤輝英氏が顧問に名を連ねている点だ。佐藤氏の個人投資案件には定評がある。

筆者が見るには、Study PlusはSNSで勉強ログを付けたり、ユーザー同士で励まし合う印象。アオイゼミは動画講義というコンテンツが軸で、石井氏に聞くにはSNS機能もあるという。コンテンツの充実が重要で、予備校の人気講師をリクルーティングする。人気講師を育てる。といった施策が必要か。課金したくなる魅力的な講師陣が肝な気がする。

アオイゼミ(中小)vs 受験サプリ(リクルート)

スタートアップではStudy Plusがガチ競合といえそうだが、視界を拡げるとどうやらリクルートの受験サプリも競合といえそうだ。既に無料会員100万人で月額980円というモデルで、HBRでは破壊的イノベーションとして紹介されている。

受験サプリでは無料会員は問題集の閲覧、有料会員は動画の視聴が可能。アオイゼミの石井氏曰く「アオイゼミの動画はライブ+アーカイブ。受験サプリは現状はアーカイブのみ」だという。

僕はリクルートのC向けサービスには以前から懐疑的でして(Bを向いている広告会社とイメージしているので)、こんな記事も出しています。ぜひご覧下さい。

ATND撤退理由はリクルートの企業文化にあり?

「受験サプリ」と謳っているだけあり、受験市場には強いかもしれません。リクナビ進学というサイトもあり、高校生による大学の資料請求のCPAの相場は1件あたり1万円と聞きます。私大は受験料で3万円以上しますし、定員割れ起こしている大学多いし、入学してストレートで私大卒業すればLTVが300〜400万です。そう考えれば資料請求でCPA1万円は妥当な水準かも。

100万人会員いながら、App Storeのトップセールスランキングの200位以内にはいません。App Store以外でクレカ課金などで誘導していると思われますが、リワードで会員数獲得してアクティブ率が低いというのは大手にありがちなパワープレー。リクルートあるあるといったところか。

受験サプリの実際のアクティブや運用が気になるところです。コンテンツ自体は有名予備校からリクルーティングしてきていて、アオイゼミと一部バッティングしそう。コンテンツ獲得はリクルートに分がありそうですが、運用はどうかなあ。

アオイゼミ (スタートアップ)vs しまじろう(ラスボス)

リクルートかて中高生向けの教育市場は参入したばかりのスタートアップといえる。やはりこの市場のラスボスはしまじろうだ。しまじろうの優等生ぶりは先述の記事を見ていただければ理解できるだろう。

最終的には「教育コストの低下」を目論むアオイゼミ石井氏にとっては、しまじろうや予備校、地方の塾が競合になる。今回紹介した中高生向け教育市場を強引にまとめると、下記のようになる。

スクリーンショット 2014-04-24 23.17.32月額で中高生から課金する市場自体は既に存在しているので、しまじろう市場をスタートアッププレイヤーがどう崩すかの方法論次第でひっくり返せるポテンシャルのある市場ではある。EdTech市場を細分化したとき、中高生向け月額課金市場はそれなりの規模感にはなり得るかもしれない。

アオイゼミはしまじろうを倒すのか。それともしまじろうに喰われるのか。

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最後にアオイゼミ石井氏に今後の事業戦略を筆者が聞いた内容を一部転載して終わりにしよう。


スクリーンショット 2014-04-24 22.11.47アオイゼミのキャラクター「あおいたん」は生まれるのか。

今後に注目したい。
fin.

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