スター編集者の時代と、次世代スター編集者5つの条件

Pocket


なんか面白いやつかもなあと思ってた(ほぼ)同年代の編集者である幻冬舎の箕輪さんが箕輪編集室なるサロンを始めたので、持ち前のジャイアン力を発揮してゲスト参加させてもらった。

594f103f-8c28-464a-b0b2-12010aa69d53

編集者というのは、一般的に黒子的存在と今までは思われてきたと思う。本誌で馴染み深い喩えをすると、起業家と投資家の関係と作家と編集者の関係は似ています。

そして「業界全体の発展」への寄与が大きいのは、起業家ではなく投資家、作家ではなく編集者だと思います。それは多くのプロジェクトを手がけるからです。

例えば2017年現在日本のスタートアップ業界では「ミスター・ワタナベの案件」となると、なんらかの期待値があります。同様に2017年現在日本の出版界では「箕輪が編集した本」というと、なんらかの期待値があります。

有名なシリアルアントレプレナーや作家は、投資家や編集者の助けをさほど必要としません。スター投資家や編集者は、無名の起業家や作家を発掘し、彼らをスターダムに乗せていく役割も担います。

そしてこれからの時代、ハイブリッドというか「起業家と投資家」「作家と編集者」の境目が曖昧というか、この両方を行き来する存在も出てきます。

起業家兼投資家、作家兼編集者というマルチ性

図解するとこうなります。

スクリーンショット 2017-06-29 12.01.55

スタートアップ業界では「エンジェルの時代」の胎動を感じますが、本誌で度々紹介している木村新司氏は起業家発の投資家で、現在また起業家としてもプレイされています。

私自身の例でいうと、TheStartupやnote、サロンはプレイヤーとして広義の「作家活動」といえますが、東京カレンダーでのポジションはプロデューサーであり編集者です。ほとんど自ら記事を書くことはしません。

サービスの話で言うと、3年前半前にプラティッシャー論について書きましたが、プラットフォーム発コンテンツパブリッシャーともなっているのが、NewsPicksです。3年半前の自分、若いな…w

なぜこの話から始めたかというと、両方のレイヤーでプレイできる人材の希少価値が上がっていくという話と、上記では左から右へのシフトの例が多いですが、右から左のシフトという可能性もあると感じたからです。実際に箕輪マンのボスである、幻冬舎の見城さんはそういう方でしょう。スター編集者となった後に、自らが作家として書籍を出されることもある。

この両方のレイヤーで存在感を示すことが出来る人は相当に面白いと思います。箕輪マンはまさにその可能性を感じるのです。箕輪マンのスーパースター化が、彼が手がける書籍のヒットや、彼自身のヒットに繋がっていく。

起業家と投資家、作家と編集者という概念をセパレートしすぎずに、1日に両方のサイドを何往復もする思考を積み上げると良いのではないかと思う。そうすることで、片方だけ取り組んでいる人とは違う視点を持てるようになる気がします。著名な起業家がエンジェル投資に熱心なのは、そういった考えも多分にあるのではないでしょうか。

なのでこれからの時代「両刀使い」ができるタレントが増えていくと面白いですし、まだまだ空いているポジションではあるので読者の皆さまにはぜひ目指してもらいたいですね。

次世代スター編集者5つの条件

長い前座を終え、ようやく本題に入りましょう。

旧来型スター編集者というのは、何人かネットで有名な人がバイネームで思いつきますが、旧来型から抜け出せていない方がほとんどです。

実は東京カレンダーWEBで採用要項を作成するときに「理想の編集者像」を考えたことがあるんですね。条件を羅列するとこんな感じです。

1.自ら企画を考えヒットする記事が書ける
2.自ら企画を考え作家をアサインして編集できる
3.自らの知名度や魅力での記事を拡散できる
4.イベントを企画し自らの魅力で集客できる
5.自らが主体となりコミュニティ運営できる

あこれをすべて満たす人材です。1から順に難易度が上がっていき、現状は2までできる人しか東カレにはいません。3,4,5となると途端に難易度が上がります。私がプロデューサーとして「スター編集者を育成してみる」という考えもあるのですが、3-5ができる「原石」も相当に少ないんですよね。

これでいうと、箕輪マンはすでにこの条件をほぼ満たしているわけです。1をそんなに見たことがないくらい。トンマナが合えば、東カレでもすぐに欲しい人材w

結局3から5は「タレント性」がないと難しいんですよね。1と2はある意味裏方でもできるわけです。タレント性があるがゆえに「スター編集者」なんですよね。タレント性がないと「スター」にはなれないわけです。

おそらく世間では3フェーズくらいまでの理解は進んでいると思います。4と5がなぜ必要かというと、4と5はそのタレント(編集者)に固定ファンを作るフェーズなんですよね。固定ファンは資産となり、そのタレントの活動を後押ししてくれます。

ちなみにTheStartupの発展の仕方を説明しておくと

1.自ら企画を考えヒットする記事が書ける:TheStartup
3.自らの知名度で記事を拡散できる:twitter
4.イベントを企画し集客できる:100人規模イベント
5.自らが主体となりコミュニティ運営できる:Umeki Salon
6.有料コンテンツが売れる:note

2の編集は少しだけ挑戦しましたが、失敗しました。振り返ってみるとポイントしては順を追っていくのではなく、1と2が弱くとも5にトライした点が非常に良くて、強力な先行者優位になったと思います。大抵は段階を踏んで行って「イベントで100人集客できたから、そろそろ俺もサロンデビューかな」となるわけです。

3-5があるがゆえに、5と6での最小投下リソースでのマネタイズが可能となりました。これが「梅木モデル」の約6年間での経緯です。

一般化して掘り下げていくと、編集対象物のクオリティを上げるという意味で従来通り1と2の重要性は変わりません。しかし、プロモーション手法は3,4,5でうまい掛け算をすることで、レバレッジを効かせることができます。

ちなみに箕輪マン編集の「多動力」はワーディングそのものがバイラルしています。これは「プロダクトにバイラル性を組み込んだ」グロースハッカー・箕輪マンの手腕なのでしょう。

このバイラル性のあるワーディングをフックに、箕輪マンは3,4,5で汗をかこうとしているわけです。大抵のメジャーな編集者はこのような汗のかき方をしようとはせず、高みの見物的な態度なわけですから、これはもう箕輪マンにとっては美味しいというか、箕輪マンのスター化は確約されたも同然です。競争環境が非常にぬるいので。

あとちなみに一般的な編集者は「作家」ではないので、1の能力が弱いです。箕輪マンかて、上記の図の右の「編集者」から入っているので、早く左側の「作家」もやってみてほしい。NewsPicksの佐々木さんとかは、きちんと両方やっていらっしゃるわけです。両刀使いが強いということで「作家もできる編集者」であることがスター編集者の条件だと思う。

一応私は編集者というよりかは、プレイヤーとしてこの5つの条件は昔から網羅するように務めてきたのですが、各フェーズのクオリティを上げることにもう少し汗をかいていきたいのと同時に、この5つができる編集者を願わくば育成したいですね。できれば、東京カレンダーでw

最後はあえて告知で終わりますが、次世代スター編集者になりたい「東カレのトンマナと合っている」方いれば、ぜひFBメッセでご連絡ください。

今日からSHOWROOM前田さんの「人生の勝算」が発売していますね。後で読んでみよう。

ちなみに、箕輪マン編集によるきむしんさんの本とかあれば読んでみたいなあ。



Pocket

コメントを投稿する

「スター編集者の時代と、次世代スター編集者5つの条件」に対してのコメントをどうぞ!