Yelp(イエルプ)のような位置情報ベースのCGMはローカル広告を支配する?

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Yelpの日本版がリリースされ、一部界隈で話題になっています。

米国ではローカル店舗のCGMとして飲食店を中心に幅広くカバーしており、インフラとして知られています。

巷では「食べログキラー」とも言われていますが、米国と事情と異なり日本では既に食べログのような飲食店特化でスケールしている事例もあり、CGM自体が時間がかかることからもYelpが本当に日本に根付くのか疑問の声もあります。(米国でのローカル店舗特化型CGMだと病院のZocdocとかありますね)

チェックイン履歴に応じた広告はCVR高いのでは

スクリーンショット 2014-04-14 16.43.42一旦、Yelpから離れてFacebookの話をします。3ヶ月前くらいに焼肉ジャンボに行きまして、チェックインしました。ひょっとするとデ部の部活動に使われている場所なのでしょうか。右上の表示にありますが5,000人以上がチェックインしています。この行動履歴はFBページに「いいね!」を押しているより強力だと思います。そこそこ満足度高かったり、「焼肉ジャンボにいる俺ってリア充だぜ」という自己承認欲求を満たせそうだと思い、チェックインしているはずですから、一定以上の好意は持っている。

この過去にチェックインしたユーザーに対してターゲティング広告をローカル店舗が打てればCVR高いのは自明です。焼肉ジャンボに興味のあるユーザーはうしごろへの興味の相関も高いと考え、うしごろが広告を打ってもいいわけです。僕の知る限りではまだこういう機能はリリースされていません。

foursquare(以下4sq)あたりがやって良さそうな機能ですが、日本での存在感は最近ありません。4sqは「チェックインするだけ」のアプリであり、「チェックインだけする」という文化は「tweetする」という文化ほど定着していないのと、Facebookに若干奪われている気がします。

Yelpはレビューよりチェックイン数が重要KPIという仮説

アプリを実際に触ってみると、Yelpは単なるレビューサイトではなくチェックイン機能の方がむしろ重要な機能だと僕は感じました。

レビュー自体は一定量の文字数がないとダメなようで、ワンツイートレベル(140文字)の投稿すると「一口メモ」という感じで扱われ、レビューとして認識されません。

スクリーンショット 2014-04-14 17.11.37僕のこのレビューの短さは極端ですが、一定量以上ないとダメというのは投稿ハードルが高いですね、左のユーザーはYelp歴が2014年1月からで既に200以上投稿数があるので、確実にYelpがバイトで雇ったかクラウドソーシングしたユーザーだと思います。

実はこの手のローカルCGMの立ち上げに携わったことがあり、投稿をまさにクラウドソーシングで買ってくるという実務をやったことがあるのですが、Yelpの初期投稿のレベルは比較的高いレベルで担保されていると見受けられました。立ち上げ時には自然投稿がどう増えるかが肝で、文字量による投稿ハードルが高いのはけっこうキツいなと思いつつも、一定の質を担保して閲覧ユーザーに役立つコンテンツであることが最重要なので、投稿は全て内製で賄うという考え方もなくはない。

Yelpでは食べログのように一定量の投稿数を元にしたレビューがキラーコンテンツになるのではなく、クリーニング屋や弁当屋のレビューが数件でもあって、それを幅広く網羅していることの方が重要だと思います。自分の家の近所の店をよく知るための情報が最低限提供されていれば良いのです。

ローカル店舗を幅広くカバーするコンテンツが揃えば、ユーザーのDAUは上がります。そして気が向けばチェックインするようになる。そのチェックイン履歴に基づいて先に述べたターゲティング広告が可能になる。ゆえに僕がYelpの事業責任者であれば、当面のKPIは社内KPIを1投稿以上あるスポット件数、社外KPIをチェックイン数に置きます。チェックインさせる仕組みは今のところ4sqに似たゲーミフィケーションが主と見受けられます。

■YelpのUXループ仮説

1:一定の質のローカル店舗のレビューのカバー率の高さ(ここは立ち上げ当初内製で頑張る)により、ユーザーは身近な店の情報を知り満足する
2:満足したユーザーがチェックインする(ここが肝)
3:チェックインユーザーの一部が投稿ユーザーに回る(自然ループに入る)

Yelpは黒字転換し株価は急上昇。時価総額は約4,000億円

2014年現在の日本国内でチェックイン数が一番多いサービスはおそらくFacebook。しかし、Facebookでチェックインしてもあまり役立つ情報は出てこない。よってYelpのようなサービスにはまだスケールする余地が十二分にある。

食べログキラーとか言われていますが、飲食店以外のローカル店舗CGMの巨人はいないので、一部バッティングしつつもまだまだ青い海だと思う。Yelpは日本でも流行るとは今回断言しませんが、食べログがあるからYelpは日本で機能しないというのは短絡的な意見だと思います。何度も言いますが「ローカル店舗における質の高い投稿のカバー率」が鍵だと僕は思う。

Yelpは既に上場しています。データをいくつか確認しておきましょう。限りなく赤に近い黒字ですが、売上が伸びているのか株式市場では高騰してる。

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■Yelp Financial Date

時価総額:約4,000億円
売上:約232億円
EBITDA:約1億円?
参照:Yahoo Finance

YelpについてはThe Startupでは2012年12月のコロプラ上場時に触れています。位置情報サービスとしてコロプラを4sqとYelpでマルチプル置いたんですよね。その後コロプラはゲーム会社となり、もはや位置情報など見る影もありませんw 当時のYelpの売上は120億円ほどで10億円ほどの赤字。やはり黒転して収穫段階に入った点を株式市場で好感している感じです。

参考:IPOしたコロプラ:単なるSAPではなくO2Oも見据え、buyを推奨

海外サービスの日本ローカライズは決して簡単ではなく、twitterとFacebookは上手くいきましたが、4sq、Linkedin、Pinterestは現時点では全然上手くいっていないように見えますし、今後も厳しいんじゃないかと思う。上陸当初より累計会員登録数は伸びていても、DAUは下がっているのではないかと思います。Yelpが日本に根付くのも簡単ではないはずです。

この記事内でYelpのCEOは「東京オリンピックまで根付けばいいですね」と長期戦の構えです。NYで受け入れられるのに5年かかったそうですね。

僕はCGMサービスが好きなのでYelpとかであれば日本法人担当してみたいですねー。リクルーティングのお誘い、お待ちしております。

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