主要上場インターネット企業現預金ランキングを見て売却シナリオを考えよう!

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2013年に日本でイグジットに成功した注目のIT・ネット系スタートアップというTech Crunchの記事を年末に見ました。ネット企業のIPOに関しては本誌でも触れていますが、今年はそこそこの時価総額で調達したもののニッチもサッチもいかず売却先を探そうとする投資家やスタートアップもあるんじゃないかと思います。

そこでどんな企業が買い手となる現実性が高いのか、各社の直近の決算短信より現預金を抜粋し、直近の時価総額も添えてランキング作りました。株価バブってるところは株式交換での買収もあり得ると思いますが、キャッシュでの買収が主流っぽい気がします。ファイナンスの細々としたところで適当なこというと面倒くさい人々が降臨するので「ぽい」くらいにしときます。

スクリーンショット 2014-01-09 11.23.54こんな感じです。右にはわざと格子は掛けず、Tech Crunchに載ってた買収企業を記載。通信キャリアは含みませんでした。Medibaとかはよくスタートアップ買ってますがね。

時価総額/現預金比率というPERちっくな指標を作って、この数字が低いところは時価総額に対してキャッシュリッチであり、買収してリストラして云々的なことすればお買い得な企業です。この指標が1.0を割った場合は時価総額よりも現預金の方が高いため、100%買収できればそのキャッシュだけでペイします。この比率が2倍台なのがGMOとオプトで、GMOって金融業もあったと思うのでその関係で現預金も多いのかもしれず一概に言えないでしょうが、オプトは金融業持ってないですから、時価総額のわりにキャッシュリッチです。

逆にこの指標が100倍とか超えてるじげんは、利益の伸びが期待できそうとはいえ、現預金7億の企業の時価総額が900億円超えてるのはやり過ぎですよねという感じです。

ランキング自体の解説に移りますと、Yahoo!楽天が共に3,000億円以上保有しており、10-20億のスタートアップ買うのは全然余裕っすって感じですよね。10-20億程度のスタートアップのEXITが昨年は国内で多かったのですが、Yahoo!楽天クラスじゃないと100億単位の買収は現実的ではなさそうです。

次にガンホー。パズドラで700億近く築いたのでしょうか(元々キャッシュがどれくらいあったか見てませんが)ガンホーはソフトバンクが絡む銘柄なので、ガンホー自体がゲーム会社を買うことはあまり考えられないかもしれませんが、キャッシュ的にはKLabを200億で買うくらいなら全然やれそうな感じです。

続いてソシャゲ関連銘柄のDeNA、GREE、サイバーエージェントは200億円から600億円のレンジ。DeNAはngmoco、GREEは国内ではポケラボ海外ではopenfaintなどの大型案件が過去にありましたので、この辺もゲーム関連会社を100億単位で買う余力はありそうです。サイバーエージェントはM&Aはしない方針を今まで取ってきたようですが、藤田ファンドからの投資の延長でM&Aをやるのか今後見物だと思います。10-30億くらいの案件なら買っても良さそうで、感覚的にmeryとか10億で買うとかアリだと思います。

カカクコムやデジガレも200億前後あり、この辺は手堅く利益が出ている事業を買いにくるとかあり得るなと思います。

最後にキャッシュ二桁億円のここ数年で上場したばかりの銘柄が気になります。コロプラは時価総額の割にはキャッシュがないようですね。

今一度、上場後のエクイティストーリーのパターンを考えてみましょう。

■上場後のエクイティストーリー

①既存事業伸ばす
②既存事業の海外展開
③新規事業
④M&A

この4つに大別されるので、かつてのライブドアのようにM&Aで成長する企業が現れるのか注目したいですね。しかしキャッシュ二桁億円だと頑張って20億円程度の買収ではないでしょうか。その点、詳しいスキーム見てないですが最後に入れたモブキャストは凄いですね…。

メリルによるアドウェイズの資金調達とか、外銀のIBDが資金調達に絡んでくる案件も増えていますが、TMTのM&AってギリギリGREEやDeNAくらいまでじゃないと仕事にならないでしょうね。10億の案件の助言やっても外銀が儲けるには寂しいですよね。個人で手掛けるには5-10億程度のM&Aって一発で儲かりそうでいいですね。僕の先輩がそんなことをやっているなあ。売り先どこかないかとか言われますが、実際あんまりないですよね。

以上です。今年は10件くらいスタートアップのM&AでのEXITがあるといいですねー。昨年よりは増えるんじゃないですかね。非ネット企業による買収もあるんじゃないかと見ています。


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