2014年はスタートアップでは動画サービスがくると言われていますが、どのようなジャンルに活路があるのでしょうか。B2BとB2Cに分けて考えてみましょう。
B2B市場ではブランドマーケティングの予算増加に着目
B2B市場では大きく分けてマーケティングと採用の市場があります。大きいのはマーケティング。企業の広告費事情をとある取材で伺いましたが「ブランドマーケティング=認知向上」の予算を多く持つ企業の広告費のネット化率はまだまだ低く、TVよりもインターネットの滞在時間が逆転したこともあり、ネット化率が今後高まると予測されています。
TVCMのような動画の露出が、今後はインターネット上で増えていく。動画が「どこに」流れるか。エンジニアタイプのこの記事がわかりやすい。
・レクタングルバナー型:従来のバナー広告にカーソル合わせると再生するなど
・インストリーム型:YouTubeなどの視聴前や途中に流れる
DENNOOなどがレクタングルバナー型の動画広告を手掛けるプレイヤーです。Viewable広告というバナーの半分以上が画面に表示されることで動画を再生するという手法をとります。市場規模がどこまでスケールするかはわかりませんが、動画広告市場が立ち上がってくることは予測されます。
動画広告の露出が増える中で、元素材となる動画をどう製作するか。動画制作のクラウドソーシングであるViibarがGCPとGREE Venturesから3億円の調達を実施しています。既存の動画制作はコストが高すぎるので、動画制作のコストは今後低減していかないと、ユーザーである法人には利用されないでしょう。
採用領域ではエントリーシート代わりに動画を使った採用手法を展開するrecmeが国内ではあります。この領域ではインキュベイトキャンプ6thに出ていたプレイヤーの参入も今後あるでしょう。海外ではHirevueが大型調達している分野です。
■B2B動画市場のまとめ
・動画広告とその周辺領域が立ち上がる(RTB化も進む)
・採用領域で浸透が進む可能性がある
B2Cでは個人発信者の影響力が増し、MOOC普及が始まる
前提条件として、スマホの回線速度が改善されていけば動画がスマホで見られる時間自体はもっと伸びていくと考えられます。
CGMはスタートアップというよりはニコニコ動画とYouTubeという巨人ですね。ただ、ビジネスモデルが違っていて、ニコニコは月額課金、YouTubeは広告です。CGMで注目プレイヤーとしては著名ユーチューバーを囲う事務所であるuuumがあります。YouTubeで商品紹介してコマースに結びつけることもあり、企業から広告費をもらうモデルも想定されます。
参考:You Tuberを抱えるタレント事務所uuum(ウーム)が登場
B2Cは供給側がコンテンツを製作して、供給量を制限するモデル。エンタメではhuluが巨人でしょう。TV局のドラマ提供数も増えています。教育はスクーのようなスタートアップもあれば、ドコモがgaccoというサービスを春にローンチすることを発表するなど、MOOC(Massive open online course=大規模オンライン講義)形式が盛り上がり始めています。これは生放送(同期)と録画放送(非同期)の形式両方で提供されます。
また、動画コンテンツを載せるメディアという意味では、UpworthyなどのバイラルメディアもB2C動画領域に組み込まれます。ですが、バイラルメディアは世間で話題になっているのとは裏腹に、うまくいかないと僕は思っています。その多くがメディア自身が動画を作らず、YouTubeなどから動画を借りてきているだけだから。
しかしアグリゲーションだから上手くいかないという論理にしてしまうと、BLOGOSやハフィントンが成り立たないといっているみたいなものなので、難しい。バイラルメディアが流行らない理由という記事を書こうと思いましたが、上手くロジックを組み立てられなかったので断念しました。笑
最後に勝手な予測ですが、そこそこクオリティの高い「番組」をプロと素人の中間層が製作して発信するようなプラットフォームがあるといいんじゃないかと思います。TVのように週間で時間帯を決めて番組化するのです。視聴者はこの習慣になれているので。テラスハウス的な番組が素人に毛の生えた程度の人が製作して、それがヒットコンテンツになる。そういう番組を集めたプラットフォームに需要があるのではないかと思う。
■B2C動画市場のまとめ
・uuumが抱えるようなスターユーチューバーの影響力が増す
・MOOCの提供が始まるがどこまで普及するか見物である
(海外ではMOOCのビジネスモデルは成績を元にした人材紹介を行っているところもある)
・プロと素人の中間層による「番組」提供に可能性を感じる
2つの蛇足:続きは東洋経済で+この記事からの動きに注目
動画市場を俯瞰しましたが、このうちいくつかのプレイヤーに関しては現在連載を持っている東洋経済「スタートアップのビジネスモデル」で今後詳しく紹介予定です。
あと、CNETにベンチャーキャピタリストによる2014年に注目すべきサービスという記事が年始に出ていますが、大変面白いことにそれぞれのキャピタリストが注目している分野への出資がけっこう発表されてますね。
例:GCP⇒動画制作のViibar、ITV⇒XICA
デューデリ中(だったであろう)なので、注目してますよねという話です。今後も上記記事の各キャピタリストが注目している市場から投資案件が続々と発表されると思われます。
P.S.勝利も敗北もない孤独な書籍制作も佳境です。来週以降はブログの更新頻度もきっと増える。。はず。
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