先日のサイバーエージェント決算レポートの中でも論点として挙げたスマホ広告市場。この市場の現況と成長ポテンシャルを図るべく、CyberZ取締役の野屋敷健太氏に取材し、スマホ広告市場の詳細を探った。
2013年スマホ広告市場規模は約1,200億円
スマホ広告といえばアドネットワークやリワードのイメージが強かったのだが、実はSEMで6割型を占めるという。CyberZ調べによるスマホ広告市場予測は下記の通り。参考URL
「成果報酬型広告」の内訳では「リワード広告」が大半を占めており、今後の市場規模も伸びて120億円程度のようだ。また、「ディスプレイ広告」においては、約6割を「アドネットワーク」が占めるという。その中でどういったプレイヤーが主流なのかを野屋敷氏にヒアリングすると下記のようになった。
■アドネットワーク
主要プレイヤー:nend / AMoAd / Google Display Network
*AMoAdはAmebaとmobageの在庫が占める比率は2割程度
CPC:15円前後が主流■リワード
主要プレイヤー:CAリワード / AppDriver / GREE リワード / metaps
*metapsのみAndroidのみの扱い
CPI:100-200円程度が主流
アプリをプロモーションする際のメディアプランニングは、リリース時にリワード⇒その後アドネットワークへ流れる。というのが主流なようだ。尚、スマホ広告ではYahoo!を中心とした純広や店頭リアルアフィリエイトもあるが、まだまだ全体に占める比率は低いようだ。
クライアント構成:ゲーム/EC/金融などが15%ずつ?
私が決算レポートを書いた際に懸念していた「ソシャゲ系クライアントの比率が高すぎて、ソシャゲバブルが崩壊した際にスマホ広告市場も打撃を受けるのではないか」というリスク要因に対する一つの答えとして、出稿クライアント構成比率伺った。結論としてはソシャゲのみならず、CPAで効果を検証しやすいECや金融などもソシャゲと同等規模の出稿額があるようで、それぞれで市場の約15%ずつ程度(ソシャゲはもう少し多いとのこと)を占めるのではないかということだ。女性系のECなどとスマホ広告は相性が良いようだ。
ソシャゲクライアントに関してはSEMはほぼ皆無でリワードやアドネットワークの比率が高いため、先日のレポートで筆者が想定したソシャゲバブル崩壊に関して、リワードやアドネットワークが一定の打撃を受けるというリスク要因はあるが、いきなり市場が半分になるほどのリスクは考えられず、多少バブルが崩壊しても軽微な打撃に留まるのではないか。との見解を野屋敷氏は示していた。
一方でCPAでの計測がしにくいブランディング向けの広告などはまだまだスマホにはシフトしてきていないようだ。CPAで計測できる商材に関しても、PCとスマホのユーザー行動の違いを考えた際に、高級商材のスマホとの相性はまだ懐疑的に思われることが多いようだ。
広告効果に関しては、ソシャゲの事例でいうと、アプリリース時にリワードを中心にいわゆる「ブースト」を掛け、2〜3ヶ月後のゲームの累計売上が出稿金額を上回るか否かが効果の善し悪しを判断する1つの指標となっているようだ。
スマホ広告計測ツール「F.O.X」は全世界約1,200社が導入
スマホ広告の代理店としてはCyberZ以外にサイバーエージェント本体やセプテーニが力を入れているようだが、CyberZが市場リーダーといって差し支えないだろう。
スマホ広告で今の地位を築けた要因は「市場への参入が早かったことと、自社商品であるスマホ広告計測ツール『F.O.X』が大きい」と野屋敷氏は語る。
(左記が取材協力いただいた野屋敷氏)
F.O.XはPC市場でいうとオプトのADPLANのようなものだろうか。筆者も事業会社でマーケティング担当として広告を回した際に、オプトが代理店でADPLANを導入したことがあった。筆者の考えではあるが、こうした測定ツールは①アップセルでの売上増、②スイッチングコストの上昇、という2点の効果が代理店側にはある。ADPLANの良さは実際に使ってみても担当した際には正直分からなかったのだが、F.O.Xは好評だという(この辺は導入クライアントに聞かないと詳細は分かりかねるが)
PCでADPLANが1,500社導入、スマホのFOXは1,200社導入。スマホ市場の伸び白を考えると、かなり高い占有率といえそうだ。
尚、CyberZは2013年9月期は本誌の先日のレポートの推測通り売上50-100億円のレンジで社員数は約100名。2014年9月期には売上も社員数も倍増を目指しているという。米国ではサンフランシスコを中心とした西海岸、アジアでは中国展開も始めており、海外での売上増も狙う。
結論:想定以上にCyberZは伸びるのかも
先日の決算レポートでは…
しばらくはソシャゲを中心とした出稿需要は急には下がらず、Cyber Zを中心としたスマホ広告売上の伸びは堅い
とコメントしたが、現場の取材を元に判断するとソシャゲバブル崩壊のリスクは予想より限定的であった。かつ売上も社員数も今後1年で高い成長率を維持するいうCyberZの強気な姿勢および代理店としての競合他社がさほど強くなさそうという感覚値から、CAグループのスマホ広告売上の伸び率は予想を上回る可能性がありそうだ。取材により、予想を上回るサイバーエージェントを「買い」推奨できる手堅いファクトを手に入れた。
「梅木さんが入社したいと思うくらいの会社に成長しますよ!」と下記写真右の広報の椛嶋氏は語る。参考:CyberZFBページ
あれ?左の男はあのグラ男ではないか?グラ男の営業数字の達成に、サイバーエージェントの株価の未来が掛かっているといっても過言ではない。
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