ざっくりいうと…
超ビッグネームの新作は
事前の情報統制を厳密にした
飢餓感を煽るマーケティングが効くようだ
村上春樹の新刊が1週間で100万部突破したというニュースがあり、サイゾーの記事がそれを深堀りしていたのが興味深かった。
PRはとにかく露出数を増やそうとするアプローチが普通かと思う。特にPR対象に知名度がない場合は。その逆ともいえる「情報統制型マーケティグ」を実践しているのが村上春樹とミスチルといえる。まずは村上春樹の事例を見てみよう。(サイゾーを一部抜粋及び編集)
■1Q84の事例
発売日までタイトルと価格、2巻同時発売という情報のみが開示され、書籍の内容については一切伏せられた。
この戦略が話題を呼んで、メディアも大々的に取り上げて、発売から約2カ月で『BOOK 1』『2』同時にミリオンを達成。しかも、それぞれ初版刷り部数が20万部、18万部と、その後の売り上げからすると少なかったこともあって、市場ではすぐに品薄状態。増刷しても書店の注文に追い付かない状態が続き、結果的に消費者の”飢餓感”を演出することにもなった。
■色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年の事例
「短い小説を書こうと思って書き出したのだけど、書いているうちに自然に長いものになっていきました。僕の場合そういうことってあまりなくて、そういえば『ノルウェイの森』以来かな」
文藝春秋は2月に発売の告知を掲載した際に、タイトル・発売日・価格、それと上記の村上の談話のみを発表した。
まず、情報統制により読者の飢餓感を演出。次に初版の供給量が1Q84で20万部、多崎つくる〜で30万部程度と(業界標準では多いらしいが)それなりに限定的であり、売れてしまって品切れになったことでの飢餓感。というダブル飢餓感の演出が部数を伸ばした要因ではないかと。
たしかミスチルもアルバム「SENSE」の発売前に情報をかなり制限して流すプロモーションをしていたと記憶している。
■SENSEプロジェクト
アルバムの情報解禁前には「SENSE PROJECT」というウェブサイトが設立されており、アルバム発売日前までは黒地に「SENSE」と書かれたものでクリックするとテレビ上で放映されていたCMの一部が流れたり、携帯電話が置いてある部屋が映し出され書いてある番号に電話すると画面内に映っている携帯電話に着信が入る、など謎に包まれていた。情報が解禁されると黒地だった部分にこのアルバムのジャケットが映し出されるようになった。(wikipediaより抜粋)
アルバム名の発表自体も3日前くらいだったのでは。しかも宣伝の看板とか最初は海だけで、アルバム名があったくらい。発売後にあのクジラのに切り替わった気が。(知人の音楽プロデューサーのコメント)
知名度が高いので機能するプロモーション手法ともいえますが、TVなどのマスメディアの影響力が薄まったことでミリオンが出にくいご時勢における貴重な事例ではないでしょうか。
こういう飢餓感を煽るスパイラルなプロモーションがあるという事実と、実際にそういう商品が発売されてから周囲でどんな反応があり、どういう人が商品を買っていくのかを観察すると面白いです。僕は村上春樹好きですが、今回は普段村上春樹を読まないような人ですら、飢餓感に負けて買っていたような気がしました。言い換えるとティザーですがね。ティザーは知名度がある人がやると効く。ということかな。
飢餓感のみならず、様々な心理学が人を動かすプロモーション施策に組み込むことができます。心理学はもっと勉強せなあかんなと思っております。ビッグネームを活かさなくても、飢餓感を煽るプロモーションの仕組みが作れないか考えてみよう。
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