IPO承認が降りたフォトクリエイトとPIXTAのビジネスモデルから写真サービスのマネタイズを考える

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スマホ時代になって写真アプリが乱立する中、写真サービスってどんな儲け方があるのかに興味が出てきました。老舗といえるフォトクリエイトとPIXTAのビジネスモデルを考察しつつ、今後の写真サービスやアプリを活かした新しいビジネスモデルについて考えてみた。

フォトクリエイトは写真仕入れ買取型モデル

logoフォトクリエイトはイベントにプロカメラマンを派遣し、イベント参加者向けにその写真を販売する。例えば、小学校の遠足の写真を買う。そのプラットフォームのようなものだ。代表取締役の白砂晃氏に話を伺った。

■フォトクリエイトの事業数値

2012年6月期売上:約24億円(参照先
登録カメラマン:約1,300人
1イベントあたり平均撮影単価:1-4万円
イベント継続率:90%
写真販売価格:1枚120円〜約3,000円
主要イベント:学校写真(市場規模500億)スポーツ(市場規模50億)
収益モデル:カメラマンから写真を仕入れ、イベント参加者に売る。原価を超えれば全て粗利になる

注目すべきはイベント継続率。営業マンがイベントにフォトクリエイトを使って写真を撮って販売させてくれないかとアプローチし、イベント当日は営業マン兼ディレクターとカメラマンでオペレーション。競合はインターネット写真販売会社。街の写真館さんとの関係は「共存共栄」を目指すとのこと。フォトクリエイトが一度入るとスイッチングされにくくなるのは継続率90%という数字が物語っている。一度営業でアカウントを開けば、毎年イベントがあり継続率90%のため、ストック型のビジネスともいえる。営業効率が良く、LTVが高い、手堅いビジネスモデルといえるだろう。

「最初は赤字になってしまうイベントもありましたが、今では大体のパターン押さえ、収益予想を立てやすくなりました。良くも悪くも、ほぼ100%収益予測が当たります」(白砂氏)

オフラインの営業力が肝となるビジネスですね。売上規模からIPOもそう遠くないと本誌では踏んでいます。(記事を出したのは6/5、翌6/6に上場承認が降りたため、タイトルを変更)

PIXTAは写真販売によるレベニューシェアモデル

スクリーンショット 2013-06-01 11.50.49

写真素材サイトのPIXTA。あまり企業としての情報をメディアで見かける機会が少ない気がしますが、ブログで画像を拾おうとして検索するとPIXTAの画像に行き着くことは多く、勝手ながらイメージの良かったサイトです。代表取締役の古俣大介氏に話を伺った。

■PIXTA事業数値概要

登録クリエイター数(売り手):約12万人
登録クリエイターのプロ:アマチュア比率=5%:95%
登録ユーザー数(買い手):数十万社
販売写真点数:約480万枚
販売モデル:シングル=1枚ずつ(525円〜5,250円までの5型)
収益モデル:売れた写真をPIXTAと売り手でレベニューシェア
平均支払率(売り手が受け取るマージン率):43%
販売クリエイターのトップ:PIXTAのみで売上2,000万円
売れる写真:年間で1枚150回くらい売れる
プロモーション手法:SEOとリスティングが主
写真販売平均単価:約2,000円

PIXTAで写真を買うユーザーのほとんどが法人で中でも規模が数人〜数十人の制作会社が多いとのことだ。私もいつも記事の写真探しで苦労するのだが、PIXTAの最低価格は525円であり、ちょっと手が出ない。アマナのようなところが競合になるようだが、競合環境はさほど厳しくなく、事業は順調に伸びているという。PIXTAを立ち上げようと思われた理由に関して、古俣氏はこう語る。

「起業した2005年当時はカメラの性能が上がってきていて、アマチュアカメラマンが急増していました。アマチュアカメラマンでも写真の質が高いものは高く、写真を販売するプラットフォームに需要があるのではないかと感じました。実はPIXTAは立ち上げる直前にピボットしていて、それまではパパラッチが撮った写真を出版社に売るプラットフォームを構想していたこともありました。編集者に聞くと、高値で売れるのは芸能人の写真くらいで、パパラッチの数自体も少ない。ビジネスとしてスケールしないと感じ、断念しました。市場調査の重要性を実感しました」(古俣氏)

言い換えると「写真版のクラウドソーシング」といえるPIXTA。同じ写真ビジネスでも、仕入れ型とレベニューシェア型という違いがフォトクリエイトとPIXTAにはあったようだ。

CGMでの低単価写真販売プラットフォームに需要あり?

私個人として、こうしたメディアを運営する際に低単価で良い写真を買えるプラットフォームがあると助かるなと感じる。1写真100-200円程度であれば課金ハードルはだいぶ下がり、個人ブロガーレベルでも気軽にいい写真を買って記事に使ってみようと思うようになるのではないか。

オンラインで共有される写真は1日当たり5億枚とKPCBの著名アナリストであるメアリーミーカーの先日の定期レポートの中にも記載があった。この資産をどうにかマネタイズできないものだろうか。

一つ思い付くのは写真アプリで投稿した写真をiTumesのような巨大プラットフォームで販売するモデル。CGM×CtoCだ。人物写真などは権利問題が複雑だったり、コンテンツ審査はどうするなどの課題はあるであろうが、写真アプリをアグリゲーションしたCtoCプラットフォームには需要があると感じる。ブロガーだったり、写真収集を趣味とするユーザーが低単価で写真を買うという文化はプラットフォームがあれば根付きそうな気がする。

ユーザーヒアリングした結果、写真収集家よりも情報発信者にニーズがありそうですが。

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