2013年5月14日、サイバーエージェントが「サイバーエージェント・クラウドファンディング」を設立して、クラウドファンディング市場に参入するというリリースがありました。クラウドファンディングに関してはUmeki Salonでも議論になったことがあり、当時の議論を一部再編集してお届けします。本稿はクラウドファンディング事業をスケールさせるにあたっての論考であり、関連法案や購入型・寄付型という分類については触れません。
成約金額の大きなプロジェクトによるポジティブループ形成
■クラウドファンディング・スケールループ
1:成約金額が大きなプロジェクトが成立する
2:メディアに注目されることで認知が上がる
3:持ち込まれる案件、投資する人が増える
数百万円や一千万円規模のプロジェクトが成立すると話題になるので、そのプロジェクト成功事例で知名度のレバレッジを掛け、スケールするという流れかなと。実際、国内でも大きなプロジェクトが成立すると話題になってメディアで取り上げられてるのを多数見てきました。
大きなプロジェクトを生み出す企画力と営業力が鍵
ただ、クラウドファンディングサイトがプラットフォームとして、「なんかいいプロジェクト応募してくれないかな」と待っているだけでは、成約金額が大きなプロジェクトは生まれないのではないか。そこで重要なのは
0:成約金額の大きなプロジェクトを生み出す企画力と営業力
これが事業運営上最大のポイントかと。「キュレーター」という職種を社内で抱える事業者はあるでしょうが、「キュレーター」の意味合いが応募した案件を精査して捌くだけではあまり付加価値がない。大きなプロジェクトを生み出すには、待つだけじゃなくて時には営業する必要がある。それもただのGroupon的なコモディティ営業ではなく、企画力を伴った営業。
ゆえに相当なスキルセットを持った営業マンがいた方が、クラウドファンディングサイトのスケールは早いといえると思う。よって資金量による採用の強化が事業者にとってはコントローラブルな範囲の施策になり得ますが、クラウドファンディングの企画と営業ができる資質のある営業マンってそんなに多くはいなそうですよね。ぐぬぬ。
そして成約手数料型プラットフォームは成約金額がスケールしないと美味しくなりません。応募してきたプロジェクトに少し手を加えた程度で一千万円規模で成約するようになるまでまだまだ時間がかかると思いますし、そうした観点で資本力があるところが生き残りやすいかなと感じる。
クラウドファンディングで投資をするという新しい文化
最後にユーザー観点での話を。クラウドファンディングで投資をするというのは、街角で寄付をすることの代替となる行動なのか。それとは「新しい昼の文化を作る」的な新しいユーザー行動なのか。私はクラウドファンディングでの投資行動は、既存の行動の代替ではなく新しい行動だと思う。
ゆえに「クラウドファンディングで1度でも投資したことがある人」が増えていくのはなかなか難しいのかなと。アーリーアダプターはすぐに乗るでしょうが。そこで面白いと思ったのが、今回のサイバーエージェント・クラウドファンディングの動き。
リリースによると「Amebaを活かしたPRを展開」とあったので、アメブロユーザーがクラウドファンディングで投資するようなユーザー行動を作り出せれば、市場が一気に拡大する可能性があると思います。スタートアップが市場を創って温めた後に、CAのようなメガベンチャーが後発でレイトマジョリティをさらっていくという構図は今後もありそうですね。後発に強い文化があるCAの模倣戦略に注視です。
最近のクラウドファンディング事例として、Rettyが東京カレンダーと本を出版したいという案件を今朝目にしました。個人的には1万円でRetty Nightの権利を買うコースがお勧めです。お勧め理由はご想像くださいw
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