Quoraがスケールしないと思う理由

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スクリーンショット 2013-04-09 21.33.54Quoraについて本誌で具体的に記事で言及したことはありませんでしたが、このご時勢ということで敢えて触れてみます。このハイコンテクストは、本誌の熱心な読者や業界の方であれば読み取っていただけるはずです。

Quoraは2011年前半に日本でもよく耳にしたクローズド制のQ&Aサービス。私はアカウント登録しただけで特に利用していませんでしたが、たまにフォロワーが増えていました。めっきり日本では話題にならなくなりましたが、「フォロワーが地味に増え続ける」というのはベンチマーク指標として良いかもしれませんね。

Quoraがスケールしない理由という記事を書こうと意気込んでみたものの、裏を取るためにAlexaを見てみたところ、さほどトラフィックは落ちてないようです。インドでの利用が多いらしいですね..

スクリーンショット 2013-04-09 20.39.20これを見て記事を書くか、正直ひよったわけですが、思い切って書いちゃいます。

Quoraがスケールしない理由=質の高い回答の再現可能性が低い

Quoraはプロフェッショナルによる質の高い回答が売りのQ&Aサービスです。ローンチ当初は著名経営者や投資家による質の高い回答が得られるという点で大いに盛り上がりました。しかし、この「質の高い回答」に依存することは下記の問題点を孕んでいます。

1:質の高い回答ができる回答者の数に限界がある
2:質の高い回答をする回答者の継続率に依存する

1は完全に物理的な問題。質問に対する良い回答には「参考になった」的なvoteという投票システムによるランキングで、上位表示されるシステムにはなっている。なので質の高い回答が目立ちやすくはなっているが、そもそもハイレベルな質問に答えられる回答者の数に限界がある。

次に2の質の高い回答者の継続率。当初はおもしろがってハマって回答し続けるものの、質の高い回答者の可処分時間を費やし続けるほどのインセンティブはあるのか。承認欲求や名誉欲が回答の主なモチベーションと思われるが、Quoraアカウントでのクレジットの蓄積が個人としてのマーケティングになると指摘する声もあった。

海外ではひょっとするとそれが機能している可能性がゼロではないが、メインストリームに顕在化してきているとは言い難い。オンライン上のマーケティングのためにQuoraでせっせと回答するよりも、ブログを開設して同様の情報発信をした方が良いのではないか。Quora内にブログ作成機能もアドオンされたが、どれだけ利用されているのだろう。

特定の人物層に依存するQ&Aのモデルとしては、The Interviewsが日本では近しいかもしれない。私のような者に対してでも、一時期質問が殺到したため、回答しまくっていましたが、続きませんでしたね。トラフィックもがた落ちな、懐かしいサービスです。ご質問がありましたら受け付けますのでぜひ。200問以上回答しているので、回答見るだけでも面白いですねw

日本ではQ&Aサービスと言えばYahoo!知恵袋やOK waveが老舗でプラットフォームとして機能していますが、どのようにスケールしていったのか非常に気になりますね。どちらも現状では特定の質の高い回答者に依存するサイクルではないと思いますが、立ち上げ時は特定の質の高い回答者層に依存していたのでしょうか。うーむ。

Quoraに関しては質の高いQ&Aのプラットフォームとしてのブランディングが出来上がっており、適当な質問をしにくい空気感もありますね。この空気感もスケールを阻む要因となる可能性があります。

Q&Aの立ち上げにトライした思い出からの意見です

Quoraのスケールに懐疑的な理由を述べてみました。サービスが伸びない理由に関しては、記事で公開することはリスクが高く、サロン用のコンテンツにしておこうか迷ったのが正直なところです。しかし、時流に乗ったハイコンテクストな記事としてお楽しみいただければと思います。

実はこうしたQ&Aに関しては、某クラシファイドサイト立ち上げの際に試行錯誤した思い出があります。某クラシファイドサイトには今でこそありませんが、α版ではQ&Aコーナーがありました。当時はSXSWでローカルQ&AのHipsterがブレイクの兆しを見せたご時勢であり、Q&Aに特化するかという議論もあった中で、上記のような議論の結果、Q&Aから撤退するという結論に至りました。Hipsterは探してみたんですが、もう存在しないようですw

Q&Aも広義ではマッチングサイトなので、満足度の高い成約をいかに上げるかという点が課題のサービスとなるでしょう。質の高いQ&Aという分野自体のニーズの持続可能性がファジーであると私は考えているので、Quoraがこの市場に絞ったままであればスケールは難しいでしょう。おそらく市場を拡げにいっているフェーズだとは思うんですがね。

Quoraは$400MのValuationで$5Mを調達しているようですが、$1Bスタートアップの仲間入りはできるのか否か、ひっそりと見守りたいですね。

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