スマホでオンデマンド!GrubHubにみる次代のコマーストレンド

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久々に海外サービス紹介。レストランフードのデリバリープラットフォームのGrubHubを取り上げます。日本でいうと法人向けならごちクル(参考:東洋経済オンライン)、個人向け寄りなら最近bento.jpというプレイヤーが出てきています。

スクリーンショット 2014-06-16 11.29.11GrubHubの分析に入る前に、「コマース事業」について少し考えました。

利益構造、物流スピードなどコマース事業4つの肝

コマースはインターネットサービスの中では一般的に最も利益率が低く、旨味の薄いビジネスです。

コマースの売上=単価×商品数×購買頻度

ごく普通の式ですが、単純にスケールするには商品数が多く購買頻度が高く、単価もそこそこ高いところが良い。商品数ではAmazon、楽天。単価ではZOZOTOWNあたりがいい感じですが、中途半端な規模だと利益率も低いしあまり旨味がないと思う。コマースで差別化するにはどういう要素が考えられるか。

①:MDの独自性が高い
②:利益構造をブラックボックスできるか否か
③:物流スピードをどれだけ早められるか
④:在庫の有無(プラットフォームか否か)

①の独自性の高いMDが実現しているコマースでFab.comが注目されていましたが、成長に陰りが出てきたり、リストラをガンガンやっていると噂もあります。デザイン性の高い商品推しで「セレンディピティコマース!」と言っていましたが、デザイン性の高い商品は当初は中毒性があるかもしれませんが、生活に必要不可欠なものではないので、ユーザーの購買継続率が低かったのではないかと推測します。

②のブラックボックスな利益構造ですが、これはごちクルが非常に上手いと思います。東洋経済オンラインの記事内で指摘していますが、高級弁当は1,500円でも2,000円でもどっちも大差ないとユーザーは感じるはずです。500円と800円の層だと悩むと思いますが。どさくさに紛れて利益率を上げる余地があるんですよ。こうした仕掛けは実に重要だと思っており、僕のUmeki Salonでも2,000円会員の方もけっこうおり、そこで利益率を押し上げています。

③の物流スピード。Amazonとか翌日に来ますが、これがもう1時間以内に来る!とかそういうのが熱いと思います。ごちクルはたしか2日以上前に発注しないといけませんが、bento.jpは「渋谷区内なら20分以内でいくぜ!」というのが熱い。雨の日とかコンビニ行くのもだるいので、bento.jpで頼むか。というユーザー体験は十分に成立するのです。

④が最も重要だったりしますが、自社で在庫を抱えるのか、プラットフォームとして集客を頑張るのか。モール制を取る楽天はプラットフォーム。Amazonはモール機能もありますが、書籍などは自社で在庫持ってるはずですよね。たしか。

レストランメニューが数十分で配達されるのが革命的?

それではGrubHubの分析に入ります。2014年4月に上場。上場までのファイナンス過程はCrunchBaseでご覧下さい。

スクリーンショット 2014-06-16 11.52.46Yahoo! Financeを貼っておきました。ちなみここ数日はPricelineのOpentable買収により、GrubHubは類似銘柄と見られ、株価が高騰しているようです。記事を書いているうちに、Instacartが4,400万$調達という情報も目にしました。オンデマンドのフードデリバリーという分野では完全に類似します。

GrubHub Key Statistics

Market Cap:2.84B
Revenue:169.96M
EBITDA:39.15M
Operating Margin:14.97%
*全て米国$ベース

前項に当てはめるとGrubHubの肝は①の独自性の高いMDと③の物流スピードといえるでしょう。④に当てはめると在庫を持たないプラットフォームなので利益率を上げやすい。

かなりの数のレストランの食事がデリバリーできるというのはMD独自性が高い。物流スピードは発注エリアと店の距離に寄り切りとはいえますが、ごちクルのように「2日以上前からの予約が必須」ではなく、「90分以内」とかがあるように見えました。この点、bento.jpの渋谷区内なら「20分でお届け!」というのはエリア限定とはいえかなり破壊的な価値で、ユーザーからの「WOW!」を引き出しやすいといえます。

GrubHub、ごちクル、bento.jp:デリバリーコマース比較

スクリーンショット 2014-06-17 16.26.34主要3サービスを比較してみました。ごちクルについては現状は法人に特化しており、10,000円以上の発注で送料無料。法人の会議やイベント利用が多いと想定し、発注あたり単価は高めと見積もります。一方のbento.jpは現状は個人に振り切っているように見え、1注文からでも受ける印象。

GrubHubはこの中間というか、大きめのイベントのようなケータリング領域から、個人の弁当まで全方位的に抑えている印象。あくまで印象ですが、スマホに強くスマホ利用が多そう。

発注単価が低いと、配達料を吸収し切れず、赤字が膨らみそうな気がしますが、bento.jpのように20分で来るというのは革命的で、インフラを取れれば、そんなコストはそのうちペイできるでしょう。ごちクルを運営するスターフェスティバルの上場も遠くないと言われており、マルチプル的に見ても、bento.jpは熱いスタートアップといえそうです。

スマホ時代、コマースはオンデマンドが主流になるはず!

スマホコマース(予約ですが)的サービスとしてはUberのプレゼンスが大きく上がってきていますが、スマホ時代は即時性の高いコマースの価値が上がっていくと思われます。PCの前でいちいち注文ではなく、スマホでサクッと注文や予約をして、1時間以内には商品が届く、それがコマースの次の常識になるのではないでしょうか。

とはいえ取引高がスケールしなければ、仮にモール型手数料ビジネスであってもさほど利益は上がらないと思うのですが、バーティカルコマースより物流スピードを短縮できるスマホコマースに張った方が良いんじゃないですかね。

Gunosy木村さんも参加する、会員数268名突破のUmeki Salon
内容の参考:Gunosy木村氏の降臨、野村證券の近未来的なIPO時価格算定方法など

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今日も適当にツイート中。 @umekida

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