2O12 平仮名かカタカナかで世界の秩序は変わってしまう

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朝目覚めると梅雨らしい雨空だった。冷蔵庫を開け昨夜セブンイレブンで買った「おいしい牛乳」を飲み干しながら、最近購入したMac Book Airを起動させ、朝のニュースに目を通した。フォローはしていないが朝のニュースと言えば黄色のアイコンだ。フォローしている友人のRTにより黄色のアイコンのニュースもたまに僕のTLには入ってくる。

一通りニュースを眺めたあと、Gmailを開くと珍しくソーシャルランチからメールが来ていた。「はじめまして。広告・IT関連会社で働く女性ペアです。よろしければランチご一緒しましょう!」女性ペアからのランチの提案だった。これにはいささか浮き足立ってしまった。僕に来た提案ではなく、僕のペアがお目当てなのだろう。そう思ってペアを見てみると僕よりも10歳くらい年上のS田さんだった。S田さんは「自称運が良いこと」で有名な人だ。返信すべきか悩んでいたところ、S田さんがサクッとランチを成立させていた。ソーシャルランチ、悪くないサービスかもしれない。

雨の中、僕はFox Umbrellaの傘を差してセルリアンへと向かった。セルリアンのカフェラウンジでの打ち合わせへと向かった。空を見上げたが空はまだ変哲もない飴色だった。

「私、ニンニンは悪い人じゃないと思うの」

ユリコカイが口を開いた。ニンニン。と僕は思った。 そうかもしれない。ニンニンはたしかにtwitterでしつこく絡んでくるが、悪い奴ではないかもしれない。いつも絡み始めるときは「こんにちは」や「こんばんは」と挨拶してくる。憎めない奴だ。

たしか、はあちゅうもこうつぶやいていた「この方とお会いできたら、人生がちょっと楽しくなるのに。にんにん。」 はあちゅう、にんにんではないのだ。と僕は心の中でつぶやいた。『ニンニン』なのだ。エンジェルが『えんじぇる』であるのと同様に、平仮名とカタカナではアイデンティティが異なってくる。

『ニンニン』が「にんにん」であることや、『えんじぇる』が「エンジェル」であることによる世界の成り立ちの違いを僕は考えた。そして「*うにー*」は「ウニー」ではない。平仮名であるべきものがカタカナ化されてしまうこと、カタカナであるべきものが平仮名化されてしまうことはこの世界に間違った秩序を生み出してしまう。

僕はユリコカイとの打ち合わせを終え、仕事場であるco-baへ立ち寄った。co-baでは浮かない顔をした図体のでかい「*うにー*」がいた。

「やあ、浮かない顔をしてどうしたんだい?」
「…*うにー*」

*うにー*は言葉を失っていた。いつもなら優しい微笑みを浮かべてくるマナティのような*うにー*だが今日は元気がないようだ。*うにー*を元気づけるため、カラオケに連れて行くことにした。カラオケでStevie Wonderを入れ、共にマイクを持ち、彼が開発している「世界と歌える」iphoneアプリ『nana』をappstoreで検索してみた。しかし、見つからなかった。

「nanaはまだリリースされていないようだね」
「そうなんですよ… *うにー*」
「スタートアップではリリースが延期になるのはよくあることさ。そんなに気にすることはない」
「○ヶ月くらい遅れているんです… *うにー*」

たしかにそれはマズいかもしれない。*うにー*は哀愁を漂わせながら、Stevie Wonderの「isn’s she lovely」を歌い始めた。その歌声の物悲しさには、アプリのリリースを延期し続けているだけではない何かを感じさせた。ニンニン。と僕は思った。焦る必要はない。*うにー*にはひょっとしたらリトルえんじぇるの助けが必要かもしれない。リトルえんじぇる。

歌い続ける*うにー*を横目に僕はWish Scopeでこういう投稿をした。
「*うにー*のために、リトルえんじぇるを」

きっと*うにー*にはえんじぇるが足りないのだ。そろそろ次のラウンドの増資へと動かなければならない時期でもあるだろう。Wish Scopeの投稿には「応援」も「コメント」もまだついていない。

気がつけば *うにー*は雨が降りしきる中、傘もささずに渋谷のスクランブル交差点で歌い出していた。



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