スタートアップ経営者は婚活市場では案外ブルーオーシャンか?

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「美人の友達が結婚相手を探しているの。未婚で年収2,000万円以上の人、紹介してくれない?」

そんなやつ、ほとんどいねえよと思いながら「お、おう」と頷くだけ頷くも、実際にUmeki Salonでネタにして見たところ「統計的に年収2,000万円以上で30歳前後の男性はほぼいない」とのコメントもあり、いかに非現実的な話かを思い知った。

本誌読者の都内在住の賢い女性の皆さんは「年収1,000万円の男と結婚したい」などと思っている人はほぼいないだろう。年収1,000万円程度では都内で満足な暮らしができないとわかっているからだ。ゆえに「年収2,000万円以上の男を」というリクエストは分からなくもない。

30歳前後の結婚に妙齢で年収2,000万円以上があり得る人種としては、サラリーマンでは外資系金融、資格では医者弁護士、あとは経営者くらいか。

「スタートアップ経営者」はどうだろうか。彼らは今は年収500万円かもしれないが、数年後にM&AやIPOでEXITすれば数億円から数十億円の資産を手にしていることもザラであり、Umeki Salonにはその手の経営者だけで10人以上はいる(ほぼ既婚者だが)。

本稿では数少ないであろう本誌女性読者のみなさまのために「スタートアップ経営者と結婚すること」について考察する記事をお届けする。

結婚

「年収」ではなく「資産」という指標を持て

まず最初に言いたいのは「年収」だけを指標にするなということである。

女性が結婚を考える際に男性の稼ぎをアテにすること自体、悪いことではないと私は思っている。女性にとって結婚は重要な生存戦略の一つである。バリキャリで働く気がなければ、より高い年収の男性と結婚して、日々のキャッシュフローを安定させたい心理は理解できる。

どれだけの年収の男性を狙いたいか。冒頭の通り「30歳前後の未婚で年収2,000万円以上」の男性はほぼマーケットに存在しない。ゆえに希少価値が高い。その希少価値と見合うだけのルックスなどのマーケットバリューをその女性が有していれば「年収2,000万円以上!」と主張するのは問題ないと思う。フジテレビの女子アナであれば許されそうな気がする。

だが経済力を測る唯一の指標が「年収」だと勘違いしている女性は少なくない。普段触れる機会がないからか「資産価値」には無頓着なのだ。

スタートアップ経営者はIPO直前とか上場する気がなく潤いまくっている場合でなければ、社長でも年収2,000万円の人は少ない。むしろ1,000万円もらっていても「高い方だ」と言われかねない。仮に年収500万円のスタートアップ社長であったとしても、それは会社員の年収500万円とは大きく意味が異なる。

スタートアップ社長が保有する「株式」はM&AやIPOによって大化けする可能性がある。時価総額100億円で上場し、10%の株式を経営者が売り出し、10億円を手にする。なんてことはよくある。仕事人生を30年と考えると、10億のキャッシュインがあった時点で、30年で割ると年収3,000万円を越える。これがスタートアップ経営者を女性陣がデューデリする際に「年収」ではなく「資産」(の可能性)を見ろという話である。

外資系金融、医者弁護士、スタートアップ経営者を「年収」という単一指標で比べるのはナンセンスである。毎年稼ぎうるキャッシュフローではなく、一発のキャピタルゲインによる資産(バランスシート)によるアップサイドがあることを、婚活女子は頭に叩き込むべきだ。

財産分与に注意!ザッカーバーグがIPO直後に結婚した理由

婚活女子が男性をデューデリする際に「年収」だけではなく「将来稼ぎ得る資産」に着目せよということは述べた。だが当然全てのスタートアップ経営者が何らかのEXITに成功して資産家になるわけではないし、既にEXITして資産家になった元スタートアップ経営者と結婚しても、法的な観点からは旨味がないということを解説しよう。

■結婚前に作った資産は財産分与の対象にならない

まず法的な観点を。スタートアップ経営者は将来資産家になる可能性がある。結婚という契約の条項にはざっくりいうと「離婚時には結婚後に築いたお互いの財産を半分こしましょうね」という文言が入っていたりする。これは結婚して仕事を辞めて家庭に入った女性のダウンサイドリスクを保証する内容である。何らかの理由で離婚することになり、40歳でいきなり市場に放り出されてもビジネス市場でも結婚市場でも困るだろう。

財産分与のポイントとしては「結婚後」の財産が対象となり、「結婚前」の財産は対象とならないことである。簡単にいうと、結婚前にとあるキュレーションメディアを運営していた男性Aさんが売却により20億のキャッシュを手にしていたとする。その後女性Bさんと結婚し、再び起業したが事業は失敗。家庭もボロボロで離婚することになった。再起業時に稼いだ資産はほぼゼロ。この場合は離婚するときに対象となる財産はほぼない、だがAさんは前の事業売却で得た20億を有している可能性はある。

起業家からすると自身で築いた財産を守るために、財産分与で不利にならないように計算していたりする。IPO直後にマークザッカーバーグが結婚を発表したが、IPOで幾分か売り出した株は婚前の資産のため財産分与の対象とならない。ザッカーバーグはそこを計算していたはずである。一般市民はそんなことはほぼ知らないので、IPO直後のザッカーバーグの結婚をとても祝福しているが、このことを知っていると「流石ザッカーバーグ。抜け目ないな」と思う人もいるだろう。

ゆえに資産家と結婚したと思っても、その後の事業が転けまくってあげくの果てに財産分与で取れるものが何もないリスクもある。既にEXITした人を狙っても、婚活女子にとっては離婚時のダウンサイドリスクはヘッジできていなかったりする。

シリーズAあたりのスタートアップ経営者の潜在価値が高い

それではEXIT前のスタートアップ経営者と結婚した方が、結婚後に稼いだ資産は財産分与対象となるため、ダウンサイドリスクはヘッジできる。だが、スタートアップ経営者であれば全て成功するわけではない。「成功しそうな(平たくいうとEXITできそうな)スタートアップ経営者」を婚活女子はデューデリして見極める必要がる。そのデューデリのチェック項目をいくつか本誌で用意した。

■1:シードステージではなく、シリーズA(1億調達以上)を狙う

シードステージのスタートアップは玉石混合でどれが跳ねるか見極めるのは難しい。シードステージとシリーズA以降(1億以上の資金調達を実施済み)のスタートアップを比較すると、後者の方が投資家の厳しい目を経て「将来性がある」と判断されているがゆえに、そのスタートアップが成功する確率はグッと上がる。

プレIPOのレイターステージのスタートアップ経営者であれば既にそれなりに遊び慣れていたり、業界で評判にもなっているだろうから、競争倍率が上がる。ゆえに、シリーズAで1-2億調達したばかりのスタートアップ経営者を狙うのが、婚活女子からすると最もブルーオーシャンな市場といえる。

■2:聞けることなら持株比率を聞こう!(株主名簿を見よう!)

婚活女子が頑張ってデューデリした結果、シリーズAラウンドのスタートアップ経営者といい感じになったとしよう。しかし、そこで簡単に気を許してはならない。そのスタートアップ経営者はシリーズAで数億円の資金調達をしていたとしても、株式を全然持たない雇われ社長である可能性もある。

先日のmixiが買収したMUSE&Coの社長は10%も株を持っていない。ゆえに、17.5億円で売却しても、キャピタルゲインは1.75億以下である。実際の比率は知らないが、キャピタルゲイン税20%も考慮すると「EXIT」と華やかにメディアで取り上げられても、手元に1億残っていない可能性が高い。

男性の経済力にこだわりのある婚活女子であれば、相手の職業や車や時計から年収を推計するのは朝飯前だろう。そうであれば、持株比率をチェックして将来稼ぎうる資産を推計することも怠らないようにしておきたい。

■3:その経営者に生命力があるかどうか

スタートアップの成否は経営者次第であることが多い。社会的にも成功確率がそれなりに高そうだと思われていて、持株比率もそれなりにある。だが最後は本当にそのスタートアップ経営者が経営する企業が成功するかが肝である。ここの見極め方はベンチャーキャピタリストと変わらない。その経営者自身を直感的に見極めるのだ。いわば「生命力があるか」と言ったとこだろうか。

たとえば、5年前の国光さんに人生を預ける女性は、今振り返ると慧眼といえるが、「この人大丈夫かしら」と思った女性もいるであろう。潰れかかっても復活してくる生命力があるかどうか。そして辛い時を共に乗り越えてくれた女性をスタートアップ経営者たちは決してむげにはしないだろう。上手くいかない時でも、生命力がある。この男は大丈夫だ。と思えば、忍耐強く支えよう。ダメそうだと思えば、早めのロスカットが肝心だ。

リスクがある分スタートアップ経営者は婚活市場でモテない

スタートアップ経営者がモテまくるという話は実はあまり聞かない。多くの婚活女子がスタートアップ経営者のボラティリティの期待値を計算せずに、毎年安定的なキャッシュフローを生み出す「医者弁護士」に優位性があり、ボラティリティが若干スタートアップ経営者より低いものの、リスク銘柄であるがステータス感のある「外資系金融」の方が人気が高い。

医者弁護士、外資系金融と比べると、明らかに「スタートアップ経営者」はモテていない。ゆえに婚活女子の観点から見ると、ブルーオーシャンといえる。「スタートアップ経営者」は数が少ないが、「スタートアップ業界にいる女性」はもっと数が少ない。スタートアップ経営者を狙う婚活戦略としては、スタートアップ市場というインサイドに入り込むと、女性自体が少ないからチヤホヤされやすく、その女性のマーケットバリューが高ければ、自然とモテるスパイラルに入る。実際にそういったディールを私も耳にする。

長くなったが、婚活女子は「経済力」を指標として婚活をする場合、ボラティリティは高いが当たるとでかい「スタートアップ経営者」という属性を今一度再考すべきだという主張である。斜陽産業である外資系金融になびいている女性は世の中のトレンドがわかっていない。

本誌固定読者である賢い女性たちの参考になれば幸いである。

*本稿はあくまで「経済力」の観点に絞った女性目線の婚活の話であり、「経済力でしか見れないなんて」などという短絡的で不毛なコメントは歓迎しない。あくまで一要素としての経済力という観点である。また本稿をご覧の女性につきましては「男性の品評に花を咲かせるほど自らにマーケットバリューがあるか」という点も鑑みていただきたい。ん?私?そ、それは・・・。

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