ライフ・イズ・ベジタブル―オイシックス創業で学んだ仕事に夢中になる8つのヒント
IPOもそう遠くないといわれているオイシックスの高島社長の本を読みました。本書の大枠は本を読んでいただくとして、スタートアップが参考にすべき点も多々ありましたので、その点に焦点を充て、感想を交えてご紹介します。そういえば私が大学4年の春にオイシックスのインターンの面接に行ったこともありました。笑。
トラブル解決に取り組む際にテーマソングを設定
私は学生時代から何度かスタートアップの立ち上げに携わっていますが、これはなるほどと思いました。スタートアップに限らない話ではありますが、仕事をしていると度々トラブルが発生し、トラブルに対応しなくてはならなくなります。
トラブル対応は誰にとっても気が進まない仕事の一つではないでしょうか。そこでオイシックスでは解決に時間のかかりそうなトラブル対応に着手する前には、お菓子を買い込んで、そのトラブルにテーマソングまでつけて楽しみながら業務にあたり、トラブルを解決するという。
「テーマソングをつける」ほとどの徹底ぶりに心を魅かれました。同様に、波が激しいスタートアップにおいては「ムードメーカー」の役割がとても大事だなとも。ちょっと遊びっぽくなっても良いので、普通に対応していたのではつまらない仕事に遊び心を入れる工夫は大切だなと。
■教訓:トラブルを楽しむよう工夫すべし
女性誌との相互リンクによる地道なプロモーション
スタートアップにお金がないのは今も昔も変わらない。オイシックスも立ち上げ当初はサイトをオープンしたものの、1日に受注件数が2件とか、閑古鳥が泣く状態だったようだ。
そこで時代的にインターネット対応を始めたばかりの女性誌が多く、その女性誌のコンテンツの一つとしてオイシックスのコンテンツのリンクを貼ってもらうという施策を始めた。これがじわじわと効いたらしく、それからはブログの走りであった個人HP運営者などに片っ端から連絡してリンクを貼ってもらうという手法に着手。日によっては「相互リンクデイ」という社内コンペをすることもあったという。
リスティングを打つのも躊躇われる(しかもプロダクトによってはリスティングが効果的とは限らない)スタートアップでは、このような「無料で認知を上げるプロモーション」施策はとても重要。ここだけの話、CoffeeMeetingのトラフィックの第三位がFacebook、twitterに次いで本誌The Startupである。(この情報の公開は株式会社レレレの承諾済)
これは広告ではなく、私自身がユーザーメリットを感じたためヘッダーリンクとサイドバナーにリンクを貼っている。(「いつかお茶したい」されることによって自分に興味を持つ人を可視化できる点が私にとって最大のメリット)ここのデイリーの積み上げが塵も積もれば山となり、第三位となっている。
たまたまCoffeeMeetingのヘッダーリンクを外した日に、運営者の山本さんにお会いして「リンク外しましたね…orz」なんて言われて、アクセス解析したら3位だったのでまた貼ってしまったw こういうとても地道なプロモーションがロングテールで効いてくるので、オイシックスのリンクプロモーションと今回の私のCoffeeMeetingはその良い例かと。
■教訓:地道なプロモーションがロングテールとなりじわじわ効いてくる
本来は売っていない野菜をオイシックスで販売
仕入先である農地で出荷用とそうでないように仕分けられる野菜。「形が悪く、出荷できない」野菜は出荷せずに、自分たちで食べて、残ったら捨てる。味は出荷している野菜と変わらない。「形が悪い野菜は売れない」というのは農協やスーパーという既存のプラットフォームのオペレーション上の問題なだけであり、「規格外でも、少し安ければ売れるのではないか?」という発想でオイシックスで「ふぞろい野菜」として販売を開始。
ヒット商品になったという。
業界の素人だからこそできる発想や、空気を読まずに既存のタブーを打ち壊そうとすること。これこそがスタートアップが存在する大きな価値の一つではなかろうか。既存のシステムの盲点を突き、風穴を空けること。それがスタートアップの価値であり、その可能性を模索し続ける姿勢はとても重要であるだろう。
■教訓:常識を疑い続けろ。実現できていなないことは実現できる可能性がある。
私が本書を読んで、スタートアップの観点で教訓となったのはこの3点。本書はオイシックス代表の高島氏の起業物語であり、「夢中時間率(起きている時間で夢中になっている時間」の最大化や、仕事に対してポジティブな姿勢で向き合うことについて書かれている。2-3時間でサクっと読め、起業の追体験ができ、仕事に関するエッセンスも得られます。何より読んでいて楽しいです。そういえば学生時代に高島氏の講演を拝聴したことがあり、声がダンディであったことを覚えています。
一読をお勧めしますが、一冊限定で僕が持っている本をジモティで売りに出していますので、中古で安く仕入れたい方はそちらで。