サムライトを朝日新聞が買収。予想買収額は十数億円

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筆者にとっては個人的に感慨深いM&Aである。オウンドメディアのサムライトを朝日新聞が買収すると2015年4月14日に発表した。

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朝日新聞にとっては初のスタートアップのM&A事例であろう。朝日新聞はメディアラボという組織を2013年6月に設立し、新規事業創出を考える動きを続けてきた。その流れからと思われるが、スタディプラスやFullerといったスタートアップへのマイノリティ出資も行ってきている。

サムライト代表取締役「会長」の柴田氏曰く、今回のサムライト買収の背景は、Morning Pitchという大企業向けのピッチイベントに登壇したことから、朝日新聞と提携の話が進み、その流れで買収に至ったという。Morning Pitchは聞いたことがあるが、朝は熟睡型の筆者にとっては無縁だったイベントで、一度も足を運んだことはない。

今回のディールの詳細は非公開だが、資本政策上前回が1億円の調達であり、市場環境から鑑みるに、十数億円台の買収と本誌では予想する。朝日新聞はオウンドメディアやネイティブアド領域への関心が高いようで、その領域に強みのあるサムライトのノウハウを欲したと思われる。

ちなみに、同じコンテンツマーケティング領域と思われるイノーバは2014年9月に2.2億の資金調達を実施しており、その後「Cloud CMO」というソフトをローンチしているが、筆者の知る範囲においては、利用ユーザーの声を聞いたことがない。サムライトのEXITを受けて、イノーバの結末がどうなるかは興味深い。

ここからは、サムライトに関して時系列を追って振り返ってみよう。

サムライト創業者である柴田氏と知り合ったのは、2013年5月のIncubate Camp 5thのことだった。ライター領域の事業ということで、勝手に「インキュベーション採択」をして、微力ながらハンズオンすることになった。当時から、柴田氏には何か決定力がありそうな香りを感じていた。

その後、2014年2月のサムライトのサイトローンチ時は、何本か取材記事を寄稿した。素敵ビッチとかいうふざけた記事もあれば、今となっては主流な考え方に思えるプラティッシャー論を、当時東洋経済編集長の佐々木氏から引き出したりもした。筆者にとって2014年春は東洋経済にも寄稿していたし、週に10本とか取材してた時期もあった。働いていましたねw

現在、サムライト本サイト自体は力を入れていないとはいえ、未だに2年以上前の筆者の記事が人気記事TOP5を独占しているのはいかがなものかとw

スクリーンショット 2016-04-13 14.48.52その後2014年10月に業界屈指のセクシィーな投資家から1億の出資を受け、今回2016年4月にM&Aとなった。

柴田氏とは割と話が合う気がしたのと、そのフットワークの軽さもあり、夜のディールも度々ご一緒したものである。しばしば滑る筆者とは異なり、常に冷静(無難ともいえる)なゲームメイクに徹し、騎士団の「ONE NIGHT CARNIVAL」などを披露してくれた。

そんなアイディア段階から知っていて、TheStartupでの取材のみならず、サムライト自体にも記事提供し、夜も共に戦ってきた柴田氏のサムライトのEXITは感慨深い。

業界では知られている話であるが、柴田氏はインキュベイトファンドをLPとするソラシードスタートアップスという3.1億円のファンドを運用しており、サムライトはその一号案件にあたる。よって、柴田氏はサムライト株は1株のみの所有で、ソラシードが大株主である。

ファンド規模の3倍以上のリターンを狙いたいと柴田氏は公言。柴田氏はサムライトでは2016年1月に創業社長から会長に退いており、今後は非常勤役員として同社を支えていきつつ、既存の投資先であるネイルブックやスマートキャンプ、マンションマーケットなどへの支援を厚くしつつも、また自らゼロイチで立ち上げる事業を模索したいという。

M&Aを経てキャッシュを得た起業家が投資家に回ったり、再び起業してシリアルアントレプレナーとなる事例は国内で増えているものの、柴田氏のようにファンド主導で創業者として事業を立ち上げ、その後代表を交代していくというスタイルは珍しい。柴田氏曰く、サムライトは立ち上げから完全に代表権を移行するまでに丸二年かかったとのことだが、理想としてはそれを一年でやっていきたいという。次の事業も柴田氏が立ち上げ、その後代表を探して経営権を移行していくというスタイルを取るのであろう。

日本のスタートアップ業界としては、また新しいスタイルのインキュベーションやEXIT事例が出てきたのは好ましいことである。

柴田さん、一先ずお疲れ様でした。

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<過去のサムライト関連記事>
Incubate Camp5th優勝のサムライトを、The Startupがインキュベーション採択(2013.5.10)
オウンドメディアと企業ブログの違いとサムライトでの連載開始(2014.2.4)
ネイティブアドネットワークのサムライトがあのセクスィーな投資家から1億円の資金調達を実施(2014.10.10)

*尚本記事はリリース情報以外は17時情報解禁であったにもかかわらず、TechCrunchは情報解禁時間を破り、リリース情報以外も掲載しており、紳士協定を破っていることをここに補足しておく。



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