ポップアップショップサービス「SHOPCOUNTER」による店舗のメディア化の始まり

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ポップアップショップを中心としたスペースマッチングサービスのSHOPCOUNTERが少し気になったので、株式会社カウンターワークスCEOの三瓶直樹氏にセルリアンの陳で麻婆豆腐を食べながら、話を伺った。

スクリーンショット 2016-04-18 13.14.32ポップアップショップ自体はその市場規模感はハッキリしないものの、EC業者を中心に増えているという。三瓶氏にヒアリングした内容を元に、事業上の要点をまとめるとこのような感じ。

・出店業種
法人:ECなど小売業(アパレルや雑貨)やメーカー
個人:料理教室などの教室系

・出店目的:セールス、広告(ブランド認知?)、テストマーケティングが主流

・出店ECの規模:月商100万円規模もある

・事業モデル:手数料(スペースレンタルのグロスに対する%)

・平均レンタル期間:3日間(事業者の賃料に対して日割りで2-3倍でスペース貸しする場合が多い)

ポップアップショップと聞くと、洒落てそうという以外は正直筆者にはあまり印象がない。どんな商材や目的と、ポップアップショップは相性が良いのだろうか。

コモディティではないオリジナル性の高い商品や、体験しないとわからない高単価な商材が、ポップアップショップと相性が良いと思います。立地の検証のためにテストマーケティングしたいという出店検討者もいます。(三瓶氏)

聞くところによると、ビジネスのボリューム感としては、1日のレンタル賃料50万円前後で、ポップアップ期間1ヶ月程度の案件もあるという。ざっくりグロス金額は1,500万円に上り、そこから手数料20%程度取れるとなると、ポップアップショップよほどクラウドファンディングより営業効率が良い商材といえる。B2BでメーカーなどがPRとして実施したり、ECが事業者が直接顧客接点を保つために実施することが多いようだ。

SC

特にECのポップアップショップの視点で、三瓶氏から「店舗のメディア化」という表現を聞き、なるほどなと思った。

店舗のEC化率は今後ますます上がっていくと思います。決済と流通はもはやECでよい。しかし、オフライン店舗自体が不要になるとは思いません。オフライン店舗は接客も含めた体験を提供することが求められ、オフライン店舗での体験は簡単にはオンラインに置き換わらないのではないでしょうか。(三瓶氏)

つい先日、本誌でもこちらの記事にて、メディアは記事以外でマインドシェアを高めることが求められるフェーズにあると指摘しており、iemoがリアル店舗を出すらしいという話題について触れている。

事業者はユーザー体験を複合的に設計するにあたり、オンラインでもオフラインでも接点を設ける必要性が出てくる。

たしかに、オフラインの体験は定量化できない強烈なものがある。筆者が実際に体験している例としては、本屋では下北沢のB&Bが強い。イベントに参加した体験から、体験型本屋といえばB&Bという想起が強いのだ。本といえばコモディティでありAmazonで買ってもどこで買っても同じだ。しかし、B&Bは本の収入ではなく、イベント収入やドリンク収入も見越した少し変わった本屋だ。B&Bは店舗のメディア化が上手い。

下北沢は筆者が住む目黒からは遠いのでイベントがないといかないが、B&Bにイベントに寄ったついでに本を買うという、今までの本屋とは異なるユーザー体験を、多くのユーザーに提供できていることであろう。

あとは学芸大学のグローサリーストアであるFOOD&COMPANYなども度々イベントを行っており、感度が高い(ややKINFOLK系な)方々の支持を集めているようだ。

こうした「店舗からのメディア化」も進んでいる。メディア側からコンテンツの一つとして店舗を活用するという考え方は、先端的ではあるが次の一手としてアリだと。米国ではWIREDがその手の取り組みをしているらしい。

ECがメディア化するための、ポップアップショップ。メーカーが直接顧客接点を持つ媒介(メディア)としての、ポップアップショップという選択肢は、今後のマーケティング施策の一つとして認知を得ていくであろう。

三瓶氏は起業にあたり「売り方の細分化」を考え抜き、SHOPCOUNTERのモデルに至ったという。

ケーキでもホールケーキよりもピースケーキの方が売れて、結果としてグロスの販売額が大きくなることがあると思います。不動産も同じで、物件や土地の売買ではなく、1ヶ月程度の短期レンタルであれば、回転率が上がり、グロスの取引金額が大きくなるのではないか、と仮説を立てました。(三瓶氏)

ポップアップショップは単なるお洒落トレンドで終わるのか、マーケティング施策として主流な位置付けを占めるようになるのか、今後どうなるか、こっそり見守っていきたい。



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