Incubate Camp5th優勝のサムライトを、The Startupがインキュベーション採択

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7e24adb1edbc2210863a375ac1f90b60Incubate Campの最終プレゼンの様子をお届けする。本誌では全てのサービスではなく、一部のみ紹介する。1位から3位のプランの起業家に対してIncubate Fundからの出資が確約された。前日の様子はこちらの記事から。全てのサービスに関する概要を掴みたければStartup Datingの記事がお勧めだ。本誌では独断と偏見に満ちたオピニオンを提供する。

1位:サムライト(コンテンツマーケプラットフォーム)

起業家投資家:柴田氏&Incubate赤浦氏
ターゲット :良質なSEO対策をしたい企業
課題    :良質な記事コンテンツ制作を依頼できる業者の不在
提供価値  :トップクラスのライターDBを活かしたコンテンツ制作

トップクラスのライターを活かしたクラウドソーシングとも言えるサービスだが、私は敢えて「コンテンツマーケプラットフォーム」と定義したい。SEO市場のルールが変わってきているという変化の波に対応したサービスであるが、B Dash Venturesの西田氏やStartup Datingのジュンヤモリ氏からも懐疑的な質問が出るなど、やはりライター側からすると「トップクラスのライターのDBを作る難易度」は相当高いと言わざるを得ない。

しかしサムライとは既に大きなクライアントを握っており、クライアント側の需要は明確にある。どういう仕組みを作って回していくのか。この分野はド競合としてはinnova、少し裾野を広げるとインバウンドマーケティングを提唱するあの方の分野といえるだろうが、市場拡大のチャンスはある。ツッコミどころが多々あったのに、優勝しているということはそれだけ市場に需要があると誰しもが思ったのではないだろうか。あとはオペレーションエクセレンスをいかに突き詰めるかだ。

2位:code camp(プログラミングオンラインスクール)

Most Value up賞(1日目のプレゼンと2日目のプレゼンの差分が最大だった賞=最もキャピタリストのバリューが高かったといえる)も受賞したのがこのプラン。

起業家投資家:池田氏&西條氏(元サイバーエージェント)
ターゲット :プラグラミング技術を身に付けたい大学生
課題    :エンジニアの供給量が少ない
提供価値  :無料で大学生がプログラミングを学べ、エンジニア供
給量が増える

「就職につながる無料のスクールというのが価値。サイバーエージェントでも新卒エンジニアは増えているが、採用コストはかなりかかっており、成果報酬であればこの手のサービスを利用したいニーズはある」(西條氏)

初日のプレゼンを受け「プログラミング版レアジョブ」と称してみたが、ターゲットとキャッシュポイント(1日目は月額課金と採用成果報酬だったが、2日目は後者のみ)を絞ったことで、提供価値が明確になり、プランに現実味を帯びた。1日目は個別指導を想定していたが、2日目は個別ではなくスクールという少しぼやけた感じではあったが、「エンジニアを採用するのではなく、育てて売る」という市場には明確な需要がある。

3位:instamall(10秒でスマホで出品できるモール)

起業家投資家:SG帰りの謎のS氏&Incubate赤浦氏
ターゲット :手軽にモノを売りたい人買いたい人
課題    :新規の中古品のモールは買い手がすぐみつからない
提供価値  :買い手がすぐ見つかるプラットフォーム

「LTVと広告費用が明確なサービスなので、あとはパワープレーで広告をぶっこめばいい」(赤浦氏)

謎の起業家S氏たっての希望で、詳細をあまり明らかにできないプランだが、アイディアと仕組みはシンプルで今回の中ではズバ抜けていたと思う。当初は北米市場を狙いたいということだが、スマホフリマアプリが国内で隆盛する中でこの発想はなかなか思い至らないのではないか。サービス名から連想いただきたい。

The Startupインキュベーション採択:サムライト

Camp中は発表されなかったが、帰りの電車での取材を通して、今回優勝したサムライト社をThe Starupがインキュベーションすることを確約した。詳細はこれから詰めていく。当初は勝手にThe Startup賞を作ろうと思っていたが、賞では生温い。

「サムライトはコンテンツマーケのプラットフォームを目指しており、囲うライター側としてまさに私はターゲット層。トップクラスのライターの需要が顕在化しつつあるという市場の流れもあり、良いタイミングだと思う。The Startupの事業資産を活かしてハンズオンでバリューアップできるのではないかと感じた。サムライトを軌道に乗せて、私が儲かる仕組みを作って、ひゃっほう!したい」(梅木)

「梅木ファンの私としては、異例のご提案を頂き非常に嬉しいところです。検討します」(柴田氏のメッセージ内容を一部加工)

The 変化率:LINCOLN(ソーシャルで不動産情報流通)

個人的に変化率が凄かったなと思ったサービスを1つ紹介。

起業家投資家:吉田氏&GCP今野氏
ターゲット :管理会社と入居者
提供価値  :管理会社が入居者に同じ物件の空室情報をお知らせ
し、入居者がその情報をソーシャルでシェア。そこから成約が出れば、成果報酬を得る。仲介会社を不要に
するシステム。 変化した点 :1日目のプランは不動産の口コミサイトだった。

「不動産×ITは市場が大きいので何かできる余地はまだある。web2.0の不動産のサービスは少し出てきているので、web3.0のアプローチでトライする価値はある」(GCP今野氏)

初日のプランで「不動産の口コミ」を集めるのは相当難易度が高いと感じた。ソーシャルで物件情報をシェアするかという疑問はあるが、不動産は1件でも成約すればいいので、アリかもしれない。13プラン見て、いくつかピボットしていたプランはあったが、大胆かつわかりやすくまとまっていたプランに思えた。会場のMost Value Up賞はcode campだったが、個人的にはこのプランの変化率が一番高いように思えた。

参考 VCの赤本:GCP今野氏

蛇足:コンセプトメイキング力が勝敗を分けた気が

今回のCampで最も面白かった点は、プランが1日目と2日目でどう変わったかという点と、プレゼンでの各キャピタリストによる質疑応答だ。変化率と質疑応答の内容は、正直、キャピタリストごとに差があるなと感じた。質疑応答ではDCM伊佐山氏の海外の先行事例の知見を元にした意見が目立ち、改めて海外の事例を調査した上でプランを磨く有用性を目の当たりにした。

「海外との決定的な違いは情報量が違う。海外の競合サービスは徹底的に調べた方がいい。そういうアプローチをもっとすべき」(伊佐山氏)

「僕はDCMの伊佐山さんとYCombinatorを抜かなければならない」(榊原氏)

私個人としては今回の各プランは見応えがあったが、上位入賞したプランはコンセプトがいずれも明確であったのに対し、半数近くのプランは一度聞いただけでは理解できず、聞き返さないとよくわからないプランだった。単純なプレゼンの伝え方もあるだろうが、コンセプトレイヤーでブラッシュアップし切れていない印象を受け、その点はキャピタリストが入っても改善されていないプランもあった。

最後に、空き時間にお話を伺った際に赤浦氏の「自らリスクを取る独立系キャピタリストが増えてほしい」という話には感銘を受けた。残念ながらVCの赤本の取材は見送られたが、自らリスクを取って投資されてきた赤浦氏のお言葉には説得力があった。起業家やファンドは増えども、独立系キャピタリストはなかなか増えていないのが現状だ。

今回のCampではキャピタリスト審査員起業家、全員どころか4割程度しかおそらく直接お話しできておらず、スポンサーの新日本監査法人の横林さんと遊んでいないで積極的にアプローチすれば良かったと思ったが、参加者の皆様、またお会いする機会があれば宜しくお願い致します。お疲れ様でした。ひゃっほう!

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