2017.1.14更新:指摘があったので2社追記しました。
M&A動向を調べておりましたので共有です。
2016年に実施しされたスタートアップ関連のM&A22社のまとめです。上場企業へのTOBによる買収(イーブック、オウチーノ、みんなのウェディング)は割愛。被買収企業がスタートアップではなくとも、近年のIPO企業による買収案件は含みました。簡単にご紹介します。
メディア関連:13社
注:グラフも一番右ですが「売却先」のほうが表現としてしっくりきますね。釈明入れておきます。
追記:CuRAZYはCAVも比較的シェアが大きい株主でした。
ずば抜けて多いんですよ、メディア関連。しかも10億前後の規模。非公開ですが、ママリはの売却額は18億くらいとも言われています。買い手の立場だと、10億前後だと買収しやすいんですよね。
動画・EdTech・FinTech:2社ずつ
大したでかい案件ではないですが、動画やEdTechが2社ずつ。FinTechではペイデザイン28億はけっこう大きめ。とはいえ、すでに売上がしっかり立っている企業。
その他5社ありますが、昨年の国内スタートアップM&Aの中では、金額非公開ながら、フリルが一番大きい額でのM&Aでしょう。2015年のエウレカやフンザのような100億越えM&Aはありませんでした。
買い手:メタップス、じげん、ユナイテッドが2社ずつ
22社の買い手の顔ぶれを見ると、近年IPO組のメタップスとじげん、老舗ではユナイテッドが2社ずつとなり、あとはバラついた顔ぶれでした。
国内インターネット企業の有力な買い手候補とされる、楽天、KDDIは常連で2016年は1件ずつ(medibaをKDDIカウントすると、KDDIは2件)。ヤフー、リクルート、LINE、DeNA、GREEによる国内スタートアップ買収は2016年は1件もありませんでした。2014年や2015年にはありましたが。
2015年以前の傾向と異なる点は、買い手候補の多様化です。
1つ目の多様化として、メタップスやじげんのような近年のIPO企業が買い手の主役に躍り出ている。2016年は、グノシー、イトクロ、アカツキ、Voyage、メディアドゥも1件ずつ。特にVoyageは比較的10億規模のM&Aを2014-15年にもやっていて、攻めていますね。
2つ目の多様化として、非インターネット企業のスタートアップM&Aへの参入。朝日新聞、ジープラスメディア、ニッポン放送、ベクトル、日本入試センター、ロゼッタ。こういった買い手の登場です。初めてのスタートアップ買収という企業も多いでしょうから、PMIはほぼポシャると思いますが。
この2つの傾向は2017年も続いていくと思われます。WELQショックで多少スタートアップのM&Aに逆風があるかと思うのと、20億以上規模のスタートアップ買収は、ここ数年の傾向からも、年間に5件は出ないのではないかと思われます。三光アドやペイデザインはスタートアップではなく老舗企業であり、すでに売上利益が立っている企業です。
スタートアップは下手にvaluationを上げないことが、M&Aへの最短の道かと思います。いくら業績が伸びていても、資金調達のvaluationとM&Aのvaluationにはかなり乖離がある場合が少なくないことを意識しておいたほうが良いでしょう。IPOもM&Aもできずに苦しむところが増えてくることが予想されますが、その点、フリルのM&Aへのピボットのお見事さが際立ちます。
尚、全てをカバーできているわけではございませんので「ここの企業が漏れている」とご指摘いただければ追記いたしますので、気付いた方はFB宛にご指摘いただけますと大変ありがたいです。