2016年実施のスタートアップM&A5社と今後の4つのM&Aトレンド

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久々のM&Aまとめネタです。2015年の本誌調べでは国内スタートアップ買収は21件でした(実際は多少の抜け漏れがあるでしょうから、もう少し多いのではないかと)。

2016年には入ってから4月23日までに実施されたM&Aと、実務でM&A仲介も担う私による今後のM&Aトレンド予測を発表します。

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スタートアップM&A5社

☆1:misoca(2016.2.21)

売却先:弥生会計
売却額:10億円
主要株主:インキュベイトファンド
URL:http://thebridge.jp/2016/02/misoca-acquired-by-yayoi?

☆2:AppBroadCast(2016.4.8)

売却先:mediba
売却額:十数億円
主要株主:KOIF(KDDI OPEN INOVATION FUND)
URL:http://jp.techcrunch.com/2016/04/08/mediba-appbroadcast/

☆3:サムライト(2016.4.14)

売却先:朝日新聞
売却額:十数億円(本誌予測)
主要株主:ソラシード、GREE VENTURES
URL:http://thestartup.jp/?p=16476

☆4:ペイデザイン(2016.4.14)

売却先:メタップス
売却額:28.8億
URL:http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1344614

☆5:エリアビジネスマーケティング(2016.4.20)

売却先:じげん
売却額:3億
URL:http://ma-times.jp/34599.html

2016年の国内スタートアップM&A4つのトレンド

昨年11月にはTheStartupが2016年にM&Aされると予測する10社という記事を出していますが、まだ1社も当たっていません、おかしいな。実は、実務で携わった企業は、NDAの関係から、M&A予想とかいえないんですよね。ご了承ください。昨年の年間21件ペースからも、そろそろ年間1/3が終わる4月で5件は少し少ないですね。

☆1:ここ3年ほどのIPO企業が売却先として増えてくる

今回のメタップスやじげん、2015年12月にゲームエイトを買収しているグノシーや、Kauliなどアドテク企業を買収しているVoyageのように、ここ3年ほどでIPOした時価総額300億前後の企業が、M&Aの受け皿となるケースが増えており、今後もこの傾向は続くと思われます。

特に本誌の予測では「時価総額経営」に軸を置くと思われる、じげんやメタップスのM&Aの動きは引き続き活発になっていくのではないかと。じげんは大きなM&Aでは2014年9月のリジョブの19.8億がありましたが、これ以上の規模のM&Aを仕掛けてくることが予想されます。イトクロあたりのM&Aがそろそろあって良いのではないかと。

☆2:増えるのは小型の買収

2014年9月から国内M&Aの案件の調査をしていますが、2014年や2015年と比べて、小型案件の比率が伸びるのではないかと。バイサイドの話を何社か聞いていると、20億を超えてくるとしんどいというラインを持っています。一桁億や10億台だとまだ買いやすいため、3の話とも紐付きますが、非ネット企業がまずは10億台から買ってみる。みたいなプレイは増えそう。

☆3:非ネット企業による買収が増える

素人というと聞こえが悪いですが。朝日新聞がスタートアップを買収してくるとか、予想できなくはない動きですが、こういう事例は増えてくるのではないかなと。三越伊勢丹がgifteeに出資するという動きも出てきており、非ネット企業による買収は確実に増えていくでしょう。しかも、買収側にとってははじめてに買収であることも多いため、下手に高値掴みすることも有りえそうです。売却側からしたら、美味しいカモになりますね。

☆4:救済買収はさほどない

M&Aにはパターンがあります。

①:伸びていきそうな企業を安いうちに買う(meryのような場合)
②:伸びていきそうに見えて買収時がピークだった(事例いえない)
③:事業ポテンシャルはあるけど安いので買う(みんなのウェディング)
④:もうダメそうだけど安いので買う(事例いえない)

こんな感じでしょうか。③④の案件は救済案件ともいわれますが、安く買ったところで買収した企業をバリューアップできるかといわれると、かなり疑問です。上手くやれって、買収額より高値で売り抜けるというモデルが、一時期流行ったプライベートエクイティのモデルですが、これはスタートアップ買収にはほぼ当てはまらないでしょう。

クックパッドのみんなのウェディング買収は③を狙っていると思います。これは「もうダメそう」というよりは、不祥事などの混乱に乗じて、事業価値より割安だったので買ったという話で、おそらくバリューアップして再び売りに出せて、クックパッドはキャピタルゲインを手堅く得ると私は予想しています。

2016年においては資金調達に行き詰まったところが身売りに出る案件がかなり増えると思われますが、事業がグロースしている中で売却しに行くのと、行き詰まっている中で売却しに行くので全然難易度が違います。後者はほぼ決まらないと思った方が良い。買収側もアホではないので、知見を溜めてきています。

みんなのウェディングみたいなケースはレアですが、④の「事業価値はないのに単に安いから」という案件は、一見お得には見えますが、買ってもどうにもならないので、買い手がつかないでしょう。

サクッとではありますが、以上です。買収側にとっては、10億円台でグロースしそうな企業を買っておくというのが、キャッシュアウトの痛みも少なく、最も良さげな案件だと思います。

2015はエウレカやチケットキャンプのような100億越えスーパーディールがありましたが、今年はどこかあるかなあ。皆さん、無駄にIPOへのこだわりが強すぎるように思えるんですよね。市場環境や事業成長を鑑みて、M&Aという選択肢はもっと考えられていいのではないかと思います。

創業者の皆さんは無駄にプライドが高い結果、小粒IPOで実入りのキャピタルゲインもさほど得られず、M&Aで売った方が短期的にはよほどキャッシュリッチになれるのになあと思います。日本人はロマンを追うのが好きですよね。



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