アプリ(というかゲーム特化)レビューサイトを手がけるAppBankが上場承認。パズドラ攻略やモンスト攻略の売上比率が高そうで、リワード広告周りでも芳しい銘柄として業界では知られているようです。出典はいつも通り東京IPOと一の部から。
想定公募時時価総額は77.5億、PERはなんと12倍
公開日発行済株式総数:6,798,000株
想定価格:1,140円
想定公募時時価総額:77.5億円
2014年通期当期利益:3.28億円
2014年通期当期利益適用PER:24倍
2015年通期予測当期利益:4.16億円
2015年通期予測当期利益適用PER:19倍
次項でPL紹介が入りますが、今期の当期利益予想に対して想定価格を叩くと想定PERは12倍です。インターネット銘柄で公募時想定PER19倍は、筆者がIPO周りのデータ収集を始めた2014年以来では2番目に低い数字。
最も低い公募時のPERはgumiショック直後の煽りを受けたと思われるエイミングでも16倍でしたが、エイミングは規模が大きいので多少ディスカウントも入ったかと。想定公募時時価総額100億未満では、評価されにくいと思われるEC銘柄の富士山マガジンサービスでも26倍であり、店舗もあるとはいえメディア業が主軸のAppBankは、野村からかなりコンサバというか評価されていませんね。
2015年通期営業利益予測は7.2億だが・・・
AppBank PL | 2014年 | 2015年2Q | 2015年予測 |
売上 | 3,012 | 2,043 | 4,031 |
売上原価 | 1,701 | 1,088 | 2,176 |
原価率 | 56% | 53% | 54% |
売上総利益 | 1,311 | 955 | 1,855 |
粗利率 | 44% | 47% | 46% |
販売管理費 | 784 | 489 | 978 |
営業利益 | 527 | 465 | 726 |
営業利益率 | 17.5% | 22.8% | 18.0% |
当期利益 | 328 | 284 | 416 |
単位:百万円
セグメント別は下記の通り。
2014年 | メディア | ストア | ゲーム |
売上 | 1,401 | 1,606 | 111 |
営業利益 | 412 | 103 | 11 |
営業利益率 | 29.4% | 6.4% | 9.9% |
2015年2Q | メディア | ストア | |
売上 | 1,159 | 915 | |
営業利益 | 411 | 46 | |
営業利益率 | 35.5% | 5.0% |
単位:百万円
2015年からゲーム事業はメディア事業に吸収?
「ストア」セグメントはECとリアル店舗。iPhoneケースとか売ってる。ケースが主軸で今期は18億近く売上をあげそうですが、利益率は低く、評価されにくい事業です。
本丸はメディア事業ですが、レビューサイトとはいえ、なんか強引にダウンロード促進させてるだけな印象をサイトを見て持ちました。ゲーム特化ですし、サイト構造も競合と思われるGameWithと比較しても粗いし、ピンときません。しかし、アテにならないSimilarWebではそれなりのトラフィックを有しているので、私が嫌いなアップルヲチャーたちが未だに大好きなメディナのかもしれませんね。
メディア事業の営業利益率は35%と利益率を昨年対比で上げてきており、ECとリアル店舗によるストア事業もあるとはいえ、利益のほとんどがメディア事業にも限らずPER19倍と野村の渋いプライシングは、メタップスの宇宙的バリュエーションにIPO市場が白けてきているので、保守的な設定としたと見るか、そもそもAppBankに大した未来はないと判断したか。両方の要素があると思いますが、後者も大きいのではと。
筆者の周りに関係者がいないだけかもしれませんが、これほど歓迎の声がインターネット上で見えないIPOはあまり記憶にありません。むしろ隊長の過去記事のシェアが目立ち、AppBankの市場デビューは厳しいという見解が多数を占めていますが、本誌も同様です。
メタップスのように利益が出ていなくても未来を期待させることで公募400億つけてくる企業もあれば、今期予測営業利益7億でも市場からの期待感の低さから公募で77億しか付けられないという、利益では説明できないことが起こっています。メタップスが割高なのはみなさん周知だったかと思いますが、だからといってAppBankが割安だとは思いません。売上も利益も伸ばしているのに、リワード周りのあれとかで、なんかきな臭さが拭えないです。
公募割れとならないことを、お祈りしておりますが、本誌では中長期的には売り推奨でございます。間違っても初値で買ってはなりませぬ。おそらく50億前後でウロウロする銘柄になるのではないかなと。利益だけ見ればもっと評価されてもいいはずですが、野村のコンサバなプライシングも納得できる気がします。