グローバルブレインがKDDIと運営する「KOIF」、国内は回収倍率2倍か

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インキュベイトファンド1号編以来、半年ぶりに帰ってきた、骨の折れるシリーズ「ファンド・リターンズ」。

グローバルブレイン(以下GB)のHPにいつの間にかポートフォリオが記載されていたので、これはリターン分析をしてくれという前振りかもしれないと思い込み、やってみました。

スタートアップ業界の方であればご存知でしょうが、GBは二人組合プレイがお好きで、KDDIと組んだKOIFというファンド、産業革新機構と組んだGB5号が現在アクティブなファンドです。

HP上にはKOIF案件とGB5号案件が混在しており、本誌ではニュースを披露などしてKOIFとGB5号に分類して国内案件に絞りご紹介します。KOIF版とGB5号版の2本立てです。どうぞお楽しみください。本稿はKOIFに分類した14案件のリターン分析です。

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EXIT済み案件5+α社:20億+αの回収か

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*投資額と時価総額の単位は億円
*投資額、保有率はニュースソースにより正確な記載もあるが、予想の場合もあり

まずは既にEXITした銘柄を。

レアジョブは一番最初の株主でもあり、アーリステージで2,000万を出資、その後ラストラウンドでKDDIとGBで合わせて1.51億円程度を出資しています。初値で全部売却できていれば12億程度のリターンで、もう少し下がってから売っても10億程度は確保できたはず。リターン倍率は約6倍。

続いてはnanapi。KOIFで出資してKDDIで買収するというプレイになりました。予想リターン倍率は2-2.5倍です。次のラウンドでM&Aとなるとこれくらいの倍率が現実的でしょう。LUXAも同様にKOIFで出資してKDDIで買収するというプレイですが、価格非公開のため推測です。安いM&Aだったとは聞いていないので50億くらいでも不思議ではない。

アイリッジに関しては、目論見書に「KDDIは継続所有する」との記載があり、そうなると初値とかでは売っていないはずなので、まだ保有しているのではないかと思い、リターンカウントしませんでした。アイリッジこそ、初値で全力で売っておきたい銘柄だったと思いますが。

映画レビューのFilmarksを運営するTSUMIKIはKOIF保有分は既にCCCに譲渡売却済みというリリースが出ていました。そこまでバリューが上がっていないだろうと思い、気持ち少しだけ前回ラウンドに+αと予測。

最後に残念だったリッチメディア。IPOしていれば、3-5億程度の回収にはなったはず。IPO延期となると出口はあるのか。EXITしてないですが、出口はある程度見えたということでここに入れました。

EXIT銘柄を総括すると、レアジョブはアーリーで投資していたのでそれなりに結果が出たが、ほかはKDDIが買収するなど自ら?EXITを作っているのが興味深く、KOIF案件を買収するプレイは今後も1,2件あるかもしれない。

残り8社:コマースとゲームで苦戦か

スクリーンショット 2015-09-12 22.18.46*投資額と時価総額の単位は億円
*投資額、保有率はニュースソースにより正確な記載もあるが、予想の場合もあり

残りの銘柄の解説です。

ジモティはここにきて調子が上がってきたと聞いており、TVCMを打ち始めています。オプトが45%保有しているという説がありますが、KOIFはまだ売っておらず15%程度持っていると予測。長い目で見て2020年頃のIPO予測で50億くらいで見ると7.5億くらいの回収目処が立ちます。

TOLOTは写真アプリ系が全滅な中で、フォトブックというリアルに落とし込める点が評価されてどこかがM&Aしてくれると薄い期待を。とはいえ、そこまでバリューが極端に上がるとは思えず、買収時時価総額30億予想。

続いてゲームギフトを運営するAppBroadCast。ゲーム周辺分野はAppBankが上場を発表していますが、そこまでスケーラブルなモデルには見えず、手堅くM&A予想。これこそKDDIが買収してもおかしくない。

以下5社はすべて「回収不能」予測としました。

ゲーム銘柄の3rd kindは何も評判を聞かず、Mutations Studioに至ってはHPが消えていました。

コマースのOrigamiはソフトバンクとクレディセゾンから16億追加で調達していますが、あまりアクティブに使われている印象はなく。ただ、金の香りのする会社なので、謎のM&Aがあってもおかしくはありませんが、普通にこのままいくと回収不能ではないかと。MONOCOはFab.comショックもあり、一時期かなり危機だったようですが、若干立て直しているようです。それでも既に時価総額が高く、投資時の時価総額での買収は見込めないでしょう。CreemaはEtsyのようなハンドメイドECですが、GMOペパボがminneに本気出してきているので、競争力的に厳しいかもなと。

以上、KOIF銘柄の分析でした。傾向として2013年銘柄でコマースやゲームに張っているものが多く、2014年以降は案件数が減っている気がします。

ざっくりですが、14件への累計投資額は約25億で、予測回収金額は約40億。あと1発何かが当たって、2倍いけば御の字かなと感じました。多分、2倍いかないのでは。ぶっちゃけ、取り立ててリターンが良い印象はありません。

次回のGB5号ファンド編をお楽しみに。

注:KOIFのHPには投資先は31社との記載がありますが、本稿では海外案件やかなり古いと思われるソーシャルランチやgifteeなどは記載を省いた。



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