「検索クエリ創出型」メディアがこれからは強い

Pocket


イケダさんのnoteを読んでいた得た示唆から記事に。

彼のnoteの内容は有料なので言及しませんが、オンラインメディアは、「SEO」「ソーシャル」「アプリ」という主に3つのトラフィックチャネルがあり、各々をいかに最適化してトラフィックを最大化するか、というゲームです。

「SEO」に関しては私が最も知見のない領域ですが「SEO」は基本的に「需要が顕在化している検索ワードでの上位表示を狙うもの」と理解しています。よって、検索エンジンで検索クエリ数を調べて、月間1万クエリのワードで1位をとればCTR10%で1,000UU獲得。というロジックになります。

SEOが強いことで、検索経由のトラフィックは伸びますが、それだけでメディアのブランド力が比例して上がっているかというと疑問です。比例自体はしているのでしょうが、係数0.15程度のわずかな比例ではないでしょうか。その積み重ねが大切であるということも否定しません。

しかし、SEOには「検索クエリ創出型」というパターンもあるのではないでしょうか。「検索クエリ創出型SEO」はおそらく私くらいしか使っていないワードで、この話を何人かのネット業界の人にした時「?」という文字が頭の上に浮かんでいたのを見た気がしました。「検索クエリ創出型SEO」と「メディアのブランディング」について、噛み砕いて話したいと思います。まずは「いつもの図」をご覧ください。

図1

この図を用いて解説していきます。

検索クエリ創出とブランド価値

まず右上の「新宿 カフェ」という掛け合わせワード。グーグルアドワーズのキーワードプランナーによると(注記:あくまで参考としての数値であり、これが絶対的に正しいとは信じていません)月間33,000回検索されているらしいです。

実際に「新宿 カフェ」で検索すると

1,2位:ReTrip
3位:Find Travel
4位:navarまとめ
5位:satend
6,7,8位:食べログ
9,10位:Retty

でした。「新宿 カフェ」で検索するとReTripをクリックするユーザーがいるでしょう、ReTripのコンテンツを読みたいから訪れるわけではなく、たまたま検索した結果、ReTripにいっただけです。本稿はこれの積み重ねでトラフィックを伸ばすことを否定する記事ではありません。これがオーソドックスな方法だと思います。しかし、検索クエリの大きいワードを奪い合うことで消耗している感は否めないと思います。まだSEOで消耗してるの?という話です。

続いては東京カレンダーの話に移ります。まず「東京カレンダー」というワードでの検索クエリ数は下記の通り。これはアナリティクスの数字とわりと近しいので、キーワードプランナーの数値は「それなりに正しい」と仮定します。

「東京カレンダー」
東京カレンダー

実際のPVの伸びともかなり連動性が高く、1年前と比べると「東京カレンダー」関連のワードの検索クエリ数は約8倍ほど。メディア名での検索数の伸びは、「ブランド認知」が進んだことのファクトの一つとといえるでしょう。

若干しつこくはありますが、その中でもヒットコンテンツだった「東京女子図鑑」の主人公「綾」と「東京カレンダー」の掛け合わせワードでの検索クエリ数が下記です。

「東京カレンダー 綾」
綾

2015年10月11月にヒットしたコンテンツであり、その辺の月間検索クエリ数は4,000強。2016年3月に書籍を出したこともあり、年明けでも月間1,000件程度の検索クエリがあります。

これが「検索クエリの創出」です。このコンテンツが存在する前は「東京カレンダー 綾」などという検索クエリは存在しませんでした。それがコンテンツのヒットで、月によっては4,000回も検索されるほどに。「東京カレンダー 綾」で検索したユーザーが、食べログを訪問することはまずありません。競合がいないので、CTRも相当高いはずです。

何が言いたいかというと、こういった「メディア指名」されるようなコンテンツを作り、その検索クエリ数が上がっていけば、そのワードで競合に負ける確率も低く、しっかりブランド認知もされていて、こういうコンテンツが数多く内包されるメディアがこれからは強いのではないか?という話です。私はそういう仮説を持って、東京カレンダーWEBをプロデュースしてきました。

(余談:ちなみに2015年11月の数字を見ると、「東京カレンダー」でのクエリが約4万、「東京カレンダー 綾」のクエリが約4,000と、綾だけで東京カレンダー関連ワードの10%程度のクエリを叩き出しています。さすがに2016年5月においては綾のクエリは500程度の落ち着き、「東京カレンダー」は約8万なので、綾比率は全然下がり1%以下、「東京カレンダー」ブランドが少なくとも綾に依存しているわけではないことが伺えます。)

各メディアの「メディア名」検索クエリを見てみよう

前提としてどこかのSimilar webのようにwebで算出される数字が全てだとは思っていませんし、あくまで参考値としての話です。メディアによってはアプリの方が全然強い場合もあるということを前提に置いた上で、ここは話半分に聞いてください。各キュレーションメディアなどのキーワードプランナーなでのここ1年の日本国内でのクエリ数推移を見ていきます。

スクショをペタペタしていくので、PCの方が見やすいでしょう。ご容赦ください。最後に「ランキング」をクエリ数ベタ打ちで入れていますので、グラフどうでも良い方はスクロールして最後まで行ってください。
*スマホを横にするとグラフが拡大します。

「MERY」
MERY

「by.S」
by.S

「Locari」
Locari

「iemo」
iemo

「キナリノ」
キナリノ

「ReTrip」
ReTrip

「Find Travel」
FT

下記が私がベンチマークしているコンデナストのメディアたち。

「Vogue」
Vogue

「GQ」
GQ

MERYはアプリに振り切ったりと、各メディア様々な事情があるでしょうが「検索クエリ」がすごい伸びているメディアはあまりありません。逆に毎月一定数検索されていると、このくらいのボリュームの層に定着はしているんだなということが読み取れます。

1年間の「月間平均検索クエリ数」がブランド認知の指標として「それなりにたしからしい」のではないかと思います。もちろん、アプリでの認知もありますので、一概には言えませんが、「一つの指標」にはなるのでは。アプリがないメディアであれば、なおさら。

メディア vs 個人の検索クエリ数

本題から逸れていきますが…キーワードプランナーが楽しくなってきたので、周りの人のクエリ数を調べました。

「イケダハヤト」
イケダ

「はあちゅう」
はあちゅう

「田端信太郎」
田端

「けんすう」
けんすう

ちなみに「けんすう」よりは「梅木雄平」の方が微妙に多いようです。載せていませんが「古川健介」は390でした。

「梅木雄平」
うめき

「The Startup」
TS

いやあ、イケダハヤトとはあちゅうの検索クエリ、すごいですね!田端、けんすう、梅木を合算しても全く敵いません。我々3人の栽培マンぷりが伺えますね…

クエリ数ランキング:東カレは「はあちゅう」に敗北

それでは最後に、この記事で検索クエリ数を記載したメディアでクエリ数が多いランキングです。

1位:MERY(135,000)
2位:キナリノ(110,000)
3位:はあちゅう(49,500)
4位:東京カレンダー(40,500)
同率5位:イケダハヤト、Vogue(33,100)
同率6位:by.S、iemo(14,800)
同率7位:GQ、ReTrip(12,100)
8位:Locari(9,900)
同率9位:Find Travel、梅木雄平+TheStartup(2,900)
10位:田端信太郎(2,400)
11位:けんすう(1,300)

このランキングから感じたこととしては

・キナリノが(私が思った以上に)結構認知されている
・東京カレンダーはイケダハヤトより知名度があるがはあちゅうより知名度がない
・イケダハヤトはVogue並みの知名度
・梅木雄平関連ワードはFind Travel並みの認知
・VougeやGQのようなトラフィックが大したことなさそうなメディアでも、キュレーションメディアより検索クエリは全然多く、紙媒体の知名度は馬鹿にできない

そんなところでしょうか。最後の話はギャグとして受け取ってもらえると嬉しいですが、キーワードプランナーがたしからしいと仮定すると、馬鹿にできる結果ではないと思います。「はあちゅう」より検索されているメディアは、MERYとキナリノだけなのですから、各メディア事業者は「俺たちのブランド認知ははあちゅう以下だ!やばい!」と認識すべきでしょう。私も危機感を持ちました。梅木雄平レベルであるFind Travelなど、言わずもがなです。

データを調べるのが楽しく、だいぶ話が脱線してしまいましたが、メディアは「メディア名」を知られることで、ブランド価値が上がるといえます。全く「メディア名」が知られていないサイトが、仮に1億PV持っていたとしても、そのメディアはブランド力が高く、ユーザーに「メディア」として認知されているといえるでしょうか?そしてそのようなメディアに広告を出したい広告主がアドネットワーク以外でいるでしょうか?

「新宿 カフェ」のようなワードで検索1位になっているコンテンツは、数字上はメディアにトラフィックを流して貢献しているでしょうが、そのコンテンツはメディアのブランド力を上げることに寄与しているでしょうか。メディアのブランド力を底上げするコンテンツとは一体なんでしょうか。それは結局そこでしか読めないオリジナリティが高いコンテンツで、検索してまでそれを欲する読者がいるか否かではないでしょうか。

「あのメディアのあのコンテンツ」として検索想起されるほど読者に覚えられてているか。TheStartupでいえば、たとえば「VCの赤本」というワードで検索してくる人が未だにいますが、これは明らかにうちにしかないコンテンツです。そういう「ここにしかないコンテンツ」に読者はロイヤリティを感じるのではないでしょうか。

キュレーションメディアを中心にどこも似たような記事になっていく中、私は東京カレンダーWEBに関してはあくまで逆張りで汗を掻いて「ここでしか読めないコンテンツ」にそれなりにこだわったつもりです。その結果がブランド力を上げ、キュレーションメディアの数倍の広告単価を実現するメディアになると信じています。

検索クエリ創出のコツはコピーライティング力

それではどうやって検索クエリを創出するようなコンテンツを作るのか?

これは一朝一夕でSEO対策のようにテクニカルにできるものではないと思います。相当私が編集者として汗を掻いても、失敗するときは失敗しますし、当たるときは当たります。

一つ考えられるのは「コピーライティング力」にあると思っていて、それはキャッチーな連載名をつけるとか、エッジの立ったキャラを作品内に登場させ、キャラ名の認知をさせるという考え方です。「連載名関連キーワード」での流入数の推移は、毎週各連載でモニタリングしています。

SEOドリブンであれば、いかに「新宿 カフェ」というワードをタイトルの頭に持っていくかを考えるのでしょうが、「セルフプレジャー」のようなワードを生み出し、それを定着させるという考え方が、私のいう「検索クエリ創出」の動きです。

結構長くなってしまいましたが、考えたことをまとめてみました。しつこいですが「クエリ数」はあくまで「ブランド力」の一つの指標程度にしか思っていないので、この記事を読んで「梅木はキーワードプランナーの数値を鵜呑みにしてメディア力を判定してやがる、バカだぜ」とか思わないようにお願い致します。



Pocket

コメントを投稿する

「「検索クエリ創出型」メディアがこれからは強い」に対してのコメントをどうぞ!