2016年以降国内ネット企業IPO47社の初値、上場5日以内最高値、上場来最高値調査

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先日に米国ネット株IPO調査に引き続き、国内も調査しました。

米国株調査と異なるのは、国内の場合は草コイン銘柄も手広くカバーして直近2年半に特化したのと、「IPOセカンダリー投資」なる書籍があり、初値後に利益を得る機会がいかほどあるかを調査した結果を本稿でご紹介します。

国内IPOの場合は基本的に公募株を手に入れれば、小型株では初値2倍以上になる確率が高く、公募株を手に入れれば初値で利確すればほぼ確実に利益を得られます。

IPOセカンダリー投資というのは、IPOで初値が付いた後に買い、初値後に株価が上昇したタイミングで売却し利益を得るという手法。のようです。

言葉的には株式市場においては、最初に価格がつくプライマリー市場以外は全てセカンダリー市場となりますが、特にIPOした直後から半年くらいまでの、その銘柄がIPO銘柄と市場から認知されている期間にに仕込むのをセカンダリー投資と定義?しているようです。

注記:データの見方

ジャンル:人気S〜不人気C(定義:人気ジャンルが高騰しやすい)

サイズ:公募時価総額50億未満S、50〜100億A、100億〜1,000億B、1,000億以上C(定義:小粒銘柄が高騰しやすい)

流動性(公募+売出比率):10%以下S、10〜15%A、15%〜25%B、25%〜40%C、40%以上D(定義:流動性低い銘柄が高騰しやすい)

公募→初値:2倍以下A、2〜3倍B、3倍以上C(定義:初値が上がりすぎると初値以降の上値が重い場合あり)

今回の調査でも「株価」に特化しており、時価総額に関しては調査対象外としています。(上記の「サイズ」での評価のみ)

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初値から5日以内に+10%値上がりする確率は53%

この項目はIPOセカンダリー投資でデイトレ(厳密には1週間程度)のトレーディングに役立つデータになるはずです。

初値から5日以内に47社中25社(確率53%)が+10%以上値上がります。

一番右端のセルが騰落率です。下記が「+10%以上値上がり」の群。初値から5日以内にレノバは2倍近く。

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下記が「初値から+10%未満」の群。

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ちなみに「初値から+5%」で見ると、+9社で47社中34社が実現し、確率は72%まで上昇します。ざっくり、確率を整理すると

☆初値から5日以内の初値比最高値騰落率

合計:47社
50%以上:5社(10%)
20〜50%以上:19社(40%)
10〜20%以上:26社(53%)
5〜10%以上:35社(72%)
0〜5%:12社(25%)

ここからの傾向はあまり多くは読み取れませんが

・人気ジャンルである「AI」は5社中HEROZ以外4社は+10%を達成。ユーザーローカルを除いた他3社は初値から5日以内で+30%に。

・サイズの相関はさほど見られない

・流動性の相関もさほど見られないものの、流動性比率が低い(10%以下)のものは5社中3社が+10%となった。残り2社はHEROZとuuumで、共に公募→初値が3倍以上だった。

・公募→初値が2倍以下(A)だった20社中、13社は+初値から5日後に+10%に到達(確率65%)

初値対上場来最高値:3倍以上が5社

この項目は仮に初値で買った際にその後どれだけ最高値を更新したかというデータで、長期投資に役立つはずです。

下記が初値から最高値が1.5倍以上になった銘柄。17社で確率は36%。3倍以上でも5社ありますね。

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下記が初値から最高値が1.5倍以下となった銘柄で30社で確率は64%。1.1倍以下が10社あり、これらの銘柄群は今の所「上場ゴール」と呼ばれても仕方のない水準です。(厳密には発行体からすると無駄に初値が吊り上がっただけで、資金調達額を低調に抑えられ、発行体も憤慨している可能性があります)

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このデータを読み込む際に注意しなければならないのが「その銘柄が上場から何日経っているか」です。

上場から日が浅い銘柄であれば、当然まだ最高値を更新する余地はあるでしょうし、上場から日が遠い銘柄でいまだに初値付近や右から二番目のセルにある「上場後日数(上場日から上場来高値を更新した日数)」が短ければ短いほど、上場付近の株価を超えられていないということになります。

「上場後日数」の数字が大きい企業は、直近で最高値を更新している可能性が高く、上場後に着実に株価を伸ばしている企業ですね。

公募対上場来最高値比:5倍以上が15社

公募→初値は日本のIPOの場合ほぼ上がりますが、公募で取得した銘柄を初値付近では売らず保有し続け、最高値になった際に何倍程度になっているか。というデータです。長期投資家に役立つデータかと。

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HEROZは伝説過ぎたとはいえ、公募から3倍以上になっている銘柄が26社で確率は55%。しかし、上場付近が最高値である場合と、直近で最高値を更新している場合の真っ二つにパターンが分かれますね。

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こちらが3倍以下の銘柄群。アイモバイルの値動きの低さが虚しい。

公募→最高値は高ければ良いとは決して限らず、公募がミスプライシングになっていることが日本のIPOでは多々あるかと思います。

発行体としてベストなのは、公募→初値の倍率を抑え(資金調達額最大化の意味)、その後株価をじわじわと伸ばしていくことではないでしょうか。

公募→初値倍率が低い際に嫌気を指すのは個人投機家であり、投機家から好まれるのは初値倍率が高い銘柄を公募で持つ場合か、初値から上場後5日以内の最高値倍率が高い、ボラティリティの高い銘柄と思われます。

本誌をご覧のIPOを目指す起業家の方々は、指摘せずとも理解されているかと思いますが、低ボラティリティで右肩上がりのチャートを目指していただけると幸いです。そういう銘柄が投資家には好まれます。

以上です。

IPOに関しては、発行体と投機家と投資家の3つのプレイヤーで何を良しとして何を悪いとみなすのか、考え方が全然異なってきますので、IPOに関して議論する際は相手と自分がどういう立場で見解を述べるかという点に注意して、議論していくのが吉かと思います。

なかなか興味深い本でしたので、IPOセカンダリー市場に関心のある方は読んで損がないと思います。私は再読しましたw



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