写真・イラスト・動画等のデジタル素材の仕入・販売を行うオンラインマーケットプレイス「PIXTA」を運営するピクスタが上場承認。代表の古俣さんが「じわじわくるキャラ」としてバズっていました。たしかに。
サクッと解説いきます。出典はいつもの通り、一の部と東京IPOから。
公募時価総額は想定40億円。小型は初値は2倍に?
時価総額関連。
公開日発行済株式総数:2,186,440株
想定価格:1,870円
想定公募時時価総額:40.8億
会社予測当期純利益:約1.01億円
会社予測当期利益適用PER:40倍
昨今のIPO相場的には、公募で50億以下のIPOの初値はほとんど2倍以上ついてます。アイリッジ(567%)、富士山マガジンサービス(226%)、モバイルファクトリー(199%)、カヤック(322%)的な。
IPO株を買ったり、VCが初値で売り抜けるには、小型IPOは良いかもしれません。
いぶし銀な事業モデル。リスク低いが高成長見込みにくい
ピクスタPL | 2014年 | 2015年2Q | 会社予測2015年 |
売上 | 1,067 | 649 | 1,367 |
売上原価 | 487 | 365 | 605 |
売上原価率 | 45.6% | 56.2% | 44.3% |
営業利益 | 98 | 74 | 130 |
当期利益 | 90 | 69 | 101 |
営業利益率 | 9.2% | 11.4% | 9.5% |
単位:百万円 |
上記が昨今のPL。まだボリュームが少ないですが「定額制」という月額約3万円からのプランもスタートしていますが、基本は一枚買っていくら。なモデルです。
筆者もピクスタで写真を購入したことがありますが、最近はシャッターストック派です。5枚6,000円くらいのプランが、個人メディアにはボリューム感が合う。1記事作るの1枚1,600円だと、零細メディアだとアドセンスではペイできず、趣味で買う感じという肌感覚です。しかし、キュレーションメディアとかが画像周りを真面目にやろうとすると、こういう素材を買う必要があり、メディアが流行っていくとピクスタ的な素材サービスの需要は伸びていきます。
気になったのが、購入時に都度素材提供者にロイヤリティーフィーを支払うモデルで、素材をワンショットで買い切るモデルではないという点。前者は都度発生してしまうので、ピクスタがマーケットプレイスとしてスケールしても、売上原価率がそこまで落ちていかず、利益になりにくい(厳密には定額制がスケールすれば美味しくなるのでしょうが)。
よって、今後2-3年で営業利益が3-5億まで届くかというのは疑問で、海外での成否が成長の鍵を握るといえそうです。一方で、素材のマーケットプレイスとして盤石な地位を築いているため、ダウンサイドリスクは極めて低い銘柄といえそうです。ただ、成長性の魅力が少し乏しく、まさに古俣さんのキャラ通り「じわじわくる」銘柄という判断です。中長期で見ると良い銘柄かもしれません。
ピクスタ担当の高宮氏のIPO確率は5割越えか?
正直、ピクスタのIPO分析は大した突っ込みどころがないので、これだけで一記事というのは本誌的には寂しかったので、投資家サイドの話を入れておきます。
ピクスタの担当はGCP高宮氏。4年連続4社目のIPOだそうで、(2012アイスタイル、2013オークファン、2014カヤック)M&A実績としても2014年のnanapi。左に公式HPから抜粋した担当ポートフォリオをみるとメルカリとランサーずという確実にIPOしそうな銘柄を擁します。
メルカリのIPOは大きそうですが、過去4件の実績からすると小型IPOに強い印象です。「よっしゃよっしゃ」という高宮氏の肉声が、筆者の脳内をリフレインしております。
そんなGCP高宮氏ですが、ピクスタに累計いくら投資したのでしょうか?SBI&サイバーエージェント研究会の記事によると、2011年8月に0.6億出資したことはわかりますが、それ以降は譲渡で約1.4億、ついか出資で0.4億出資で累計2.4億程度でしょうか。
☆GCPのピクスタ株リターン予想
①:公募時=約2.4億(ほぼ確定)
想定価格:1,890円
売出株式数:126,200株②:初値で残りをすべて売却と仮定=約15億
TS予想初値:4,000円
(公募50億以下は初値2倍の法則を実績値から適用)
残り保有株式数:371,392株①+②=17.4億
投資簿価=2.4億
リターン=15億(よっしゃ!よっしゃ!)
という感じ。全てを初値で売らないでしょうし、売却タイミングはよくわかりませんが、ポテンシャルとしてはこれくらいのリターンになり得ます。
VCはIPO銘柄を輩出することが重要ですが、リターン的には「いつ売るか」でかなり変動しますよね。この売りタイミングについての記事はあまり見たことがなく、今後機会があれば深堀りしたいですね。
以上です。GCP的にはさらに初値がバブってくれると「よっしゃ!よっしゃ!」ですね。TSでは売り推奨したものの、かなりバブって現在も株価が下がっていないカヤックで、GCPは結構リターンを出したかもしれませんね。
高宮氏の担当銘柄のIPO率50%越えは驚異的ですね。GCPは負けないディール率が高い気がする特徴があり、成長性が低い企業のEXITでも最低限、簿価は回収するM&Aとかをやっていそうな印象です。