米国主要ネット株43社のIPO初値から最高値、直近株価の推移

Pocket


最近米国ネット株の調査にハマっています。2018年はIPOも増えています。

そこで主要なインターネット関連銘柄を43社ほどピックアップし、IPO初値・最高値・直近の3つの株価の調査しました。

shutterstock_480537925

調査にあたり、2006〜2010年は米国主要ネット株のIPOがなく(私が見落としているだけの可能性もありますが、今回の調査対象にはない)、2011年以降のIPO30社と、2005年以前のIPO13社に分けて調査結果を見ていくのが賢明かと思いました。

今回の調査では株価に特化しており、時価総額などの記載はございません。

2011年以降IPOパフォーマンス:最高はShopify

スクリーンショット 2018-08-04 14.55.56

まず、2011年以降上場の30社です。クリックなどで拡大表示で見れます。

データの見方としては下記を参考に。

・上場時対最高値比:高い方が上場時に対してパフォーマンス良い
・上場後月数:短くて最高値比が高いとパフォーマンス良い
・最高値比対直近株価比:1.0に近ければ近いほど、最近最高値を更新している成長銘柄であり、数字が低ければ低いほどマイナス成長(≒上場ゴールとも言える)銘柄

☆パフォーマンス良い銘柄

Shopify:米国版BASEのようなサービスで、ECツールの月額提供と取引高に応じた従量課金制。上場後3年半で一時期は株価10倍。直近でも8.5倍。

Square:決済。上場後3年弱で株価6.5倍。直近も最高値更新中。

YY:ライブストリーミング。日本でいうSHOWROOM。上場後5年半の中で最高値13倍。直近でも8.7倍。

Facebookは上場後6年3ヶ月で、最高値時は上場時の5.8倍。これは30社中6位の成績でした。

☆パフォーマンス悪い銘柄

Groupon:一斉を風靡したフラッシュセール。上場後6年半で初値はほぼ上回らず、直近株は初値の0.16倍。

Blue Apron:ミールキットサービス。上場後1年で株価が0.2倍に。

Trivago:日本でもTVCMをやっていたホテル予約サービス。国内で言えば一休の方が全然使いやすい…上場から1年半で株価は0.33倍に。

Snap:消えるメッセージ。2017年に上場。久々の時価総額1兆円超え銘柄で騒がれたが、上場後1年3ヶ月で株価は0.5倍に。

あとはtwitterも成績悪いです。直近の決算発表前は一時的に上がっていましたが、それでも初値には及ばずな水準。

2005年以前IPO:初値対比最高値1,000倍以上が3社

スクリーンショット 2018-08-04 15.13.57

ここからは2005年以前IPOでレジェンド級の銘柄が揃います。

☆パフォーマンスの良い銘柄

Apple:上場後38年で初値に対して最高値は2,083倍。直近も最高値更新を続ける(最近1兆ドル突破しましたね)

Adobe:上場後32年で初値に対して最高値1,237倍。こちらも直近で最高値更新中。

Microsoft:上場後35年半で初値に対して最高値1,111倍。こちらも直近で最高値更新中。

いずれも、30年以上持てば1,000倍という凄まじいリターン。30年って長いですよね…

このレジェンド群でいうと、パフォーマンス悪いのがeBayの初値対比最高値47倍です。

13社中の多くが、2018年に上場来最高値を更新しており、勢いあります。

データから読み取れる傾向

これらのデータなどから何が読み取れるでしょうか。

30年保有し続けるのはなかなか辛いので、2011年以降IPOのデータから傾向をピックアップしましょう。

☆米国IPOは日本のIPOと異なり公募→初値の乖離が小さい

いきなり上記データのみからは読み取れないことですが、事実としてその傾向があります。

発行体からすると資金調達の手段として上場しているわけで、初値が公募の5倍とか、ミスプライシングじゃないのか?初値に近づいた価格が公募価格になっていれば、その分資金調達額が増えるわけです。

米国IPOでは日本と異なり初値がめちゃくちゃ上がるということはありません。よくてプラス10-20%程度ではないでしょうか。

☆米国IPO銘柄はIPO2-3年後に注目

個別銘柄のチャートを見ていくと、IPO初年度より2年目以降の方が株価が上がりやすい傾向にあると感じました。

これは2017-2018年の相場が良かったことと無関係ではなさそうですが、2015年IPO銘柄のShopify、Square、Matchは上場2年目の2017年以降に株価が高騰していきました。

Shopify

SHOP_YahooFinanceChart

Square

SQ_YahooFinanceChart

Match

MTCH_YahooFinanceChart

この3社は売上YonYの伸びが高いなど、業績が良いので株価が伸びています。

所感としては、IPO後の数回の決算ではガイダンス通りに業績を達成していくのかを慎重に投資家に見られ、「この企業はガイダンスを守る企業だ」と思われて、成長率も高ければ株価にモメンタムが付きやすいのではないかと思います。

このロジックが正しいとすると、2018年にIPOした銘柄はしばらくは特段派手な値動きとはならず、2019年当たりから売上成長率が高い銘柄はモメンタムがついて株価が伸びやすくなるかもしれないと言えます。

なので2018年にモメンタムがつきそうな銘柄としては、SnapやBlue Apronはダメダメですから、パーソナルショッピングのStitch Fixあたりが狙い目かもしれません。

ざっくりな紹介となりましたが、以上です。

米国のIPOはNYSEやNASDAQの審査基準が当然ながら東証一部やマザーズより厳しいであろうことと、ネット企業でも時価総額1,000億円未満での上場がほぼなく、上場時の初値を割っていくような企業の比率は少ないと思われます。

2011年以降のIPO30社の中で直近株価は上場時初値を割っている比率は20%でした。ん?これは少ないと言えるのだろうか…

マザーズほどボラティリティがない代わりに、安定的に右肩上がりのチャートを描く銘柄が多く、その右肩上がりの角度が緩やかな時期と急激な時期があるイメージです。

もちろん、多くのOTA銘柄のように急落していくセクターがないわけではありません。

今回の調査対象には、さほど日本で知名度がないSaaS銘柄はあまり含めませんでしたが(私も知らないのでこれから調査していきます)SaaSはその性質上売上が下がることはほぼないですから(解約率が高くない限りは)、株価も右肩上がりで伸びやすい傾向にあるのではないでしょうか。

最近開始したネット企業分析サロンでは、米国株も扱っています。最近だとGrubhubに関する見解を示しました。

米国株の議論を増やしていきたいですね!ご興味ある方は下記から是非。



Pocket

コメントを投稿する

「米国主要ネット株43社のIPO初値から最高値、直近株価の推移」に対してのコメントをどうぞ!