師走はここ数年上場ラッシュですね。サクッといきましょう。プレスリリース配信メディアの@Pressの運営で知られるソーシャルワイヤーが上場承認。
株主構成を見るとユナイテッドが筆頭株主で、タキオン野心満々投資事業有限責任組合という「野心満々」って…という驚愕の名前のファンドが3位株主。個人ではたまに本誌の記事をシェアいただいているシンガポール在住の加藤順彦氏、VCではSBIとSBI/KLabファンドが株主。
想定公募時時価総額は40億。ユナイテッド売出で3.7億回収
公開日発行済株式総数:2,556,600株
想定価格:1,550円
想定公募時時価総額:39.6億円
2016年3月期通期予測当期利益:1.4億円
2016年3月期通期予測当期利益適用PER:28倍
メディア事業であればもう少しPERが付いても良さそうですが、後述するように@Press事業とレンタルオフィス事業が半々なので、レンタルオフィス事業でPERが下がったと想定。
尚、筆頭株主であるユナイテッドは売出しで24万株を売却。売出での想定キャピタルゲインは3.72億。メタップスに引き続き、ユナイテッドが2015年に入ってじわじわと回収してきています。そもそもソーシャルワイヤーのレンタルオフィス事業はユナイテッドの金子さんとコーチユナイテッドの有安さんが創業してソーシャルワイヤーの前身の未来予想が吸収合併した事業。どおりでユナイテッドの持分比率が高いはずです。どうでもいい話ですが「ユナイテッド」と「コーチユナイテッド」って・・名前がかぶってるw
上場後に想定される株価の動きとしては主幹事がSBIなので公募価格を極力抑えておいて初値をバブらせてIPO株を手に入れた個人投資家に儲けさせよう的な動きがありそうな気がします。
月額1.8万の「クリッピング事業」が成長ドライバーか?
@Pressの事業モデルは@Pressというプレスリリース配信メディアに1通載せる(配信する)のに2.45-3万円かかるという従量課金モデル。@PRESS事業は2015年2Qのペースで行けば年商10億で営業利益3億程度の事業。編集者などをさほど囲わない広告メディアモデルですから、案外ローコストオペレーションでいけて、利益率確保しやすいのかもしれません。
一方競合のPR TIMESは従量課金モデルもありつつ、月額で打ち放題プランがメインに見えます。
筆者の周りではPR TIMES方がメジャー感がある印象ですが、さほど媒体の提供価値としては変わらないかなとも思います。利用企業からすると@PressとPR TIMESはどちらか使えば良いのかなと。スタートアップであれば確実にどちらかです。大企業だと両方使うとかもあり得るのかな。企業の広告宣伝費の一部が落ちてくる市場であり、そこはまだ開拓余地があって今後も売り上げがガンガン伸びるのか否かが、事業成長の判断ポイントです。
一の部を見ると@Pressの配信通数は2013年8,582件→2014年11,362件に伸びていますが、それ以上@クリッピング(調査事業)の依頼件数が2013年2,723件→2014年10.656件と伸びており、ここが成長ドライバーであったと予測されます。この「@クリッピング」のWEB版は月額1.8万円。
他にも新聞雑誌やTV版もありますが価格に大差はない。企業広報が自社の情報をクリッピングするのが怠いということで、月額1.8万でのアウトソースであれば文句はないと。ここは利益率も高そうな事業です。
厳密にはこの「クリッピング事業」の「オプション」を強化したことが、利益増加に貢献したとの記載がありました。
レンタルオフィス事業は営業利益率10%を超えられるか
レンタルオフィス事業のCROSSCOOPは東京以外は全て東南アジア。シンガポール、インド、ベトナム、フィリピン。インドネシアはフランチャイズとのこと。売上は立つもののリアル事業のためインターネット事業のような高利益率は見込めない。実際に2014年のレンタルオフィス事業の利益率は4.4%、2015年2Qで改善してきたが9%となっており、率直にいうとソーシャルワイヤー事業単独の方がPERも付いただろうなと思います。
以上です。
@Pressの競合であるPR TIMESは上場してくるのでしょうか。ベクトルグループへの風当たりが厳しい中で、来年のPR TIMESの動向に本誌では注目しています。