全くベンチマークしていなかったどころか、はてぶってオワコンサービスだよなと思っていた「はてな」が2016年IT銘柄初の上場承認。2016年ってクックパッドは内紛するわ、SMAP騒動はあるわで、カオスな年なのかもしれません。約2ヶ月ぶりのIPO分析。サクッといきましょう。
想定公募時時価総額20億切り。かなりお寒い小粒上場
公開日発行済株式総数:2,446,000株
想定価格:700円
想定公募時時価総額:18.5億円
2016年通期予測当期利益:1.05億円
2015年通期予測当期利益適用PER:18倍
PLは上記の通り。2015年通期で売上11億の営業利益1.75億。2016年予想は売上14.8億まで伸びてるのに、営業利益は1.87億とさほど伸びがない。しかも、2016年第一四半期の営業利益が1.26億。残り三四半期で0.61億しか伸びないの?
2016年通期当期利益予想は1.05億であり、想定発行価格700円とすると、公募時時価総額は18億円。1億の当期利益予想でも時価総額18億円。。。これは稀に見る寒さ。ここ最近、東京も寒いですしね。この水準の寒さは2014年6月のレアジョブ公募時時価総額22億円以来の寒さです。今年上場を控えるスタートアップたちは、お気をつけください。それだけ、はてなが企業としての成長性を主幹事に評価されてないという解釈で良いのですかね。
株主解説は外部株主がほぼいないので割愛。梅田望夫さんが4.3%保有。保有株式数12万株中、売出時に8万株売却。売出時想定キャピタルゲイン5,600万円。保有株式数の半分以上を上場時に売り出すということは、上場後のはてなに全く期待していないですね。梅田望夫さんにとっては上場ゴール案件と解釈されたのではと、保有株式数に対する売却株式数からは伺えます。
引受取引証券会社に野村も大和も記載がありません。ツートップ証券会社がいずれも絡まないというのは非常に珍しい気がします。
ユーザー数自体は伸びているが、利益率は下がってる?
ユーザー数は伸びているんですね。ちなみに本誌ははてぶウケは悪いメディアでして、はてなからの流入はあまりありません。何かの記事が炎上した際に、炎上好きな匿名はてなブロガーたちからリンクを貼られてトラフィックが来るくらいですね。はてな民って2chロムってる人たちとほぼ同じで、生産性がない人たちというのが、私のユーザーとしての感覚値であり、インターネットの世界に対して、ポジティブな影響を与えているとはあまり思えません。むしろ、害悪とすら考えています。相当昔のツイートですが、はてな取締役だった梅田望夫さんはこう言っています。
私は普段ほとんどはてなを見ません。たまにソーシャルでバズった記事を見たらたまたまはてなだった。くらい。とはいえ、私の記事に対するコメントを見かけることもあり、上記の梅田さんとほぼ同じ意見。ゴミユーザーが多いはてなは、社会的に良いサービスであるとは言い切れず、ユーザー数は伸びているとはいえ、ゆえに低いPERをつけられる(将来への期待がない)のではないか。
「UGCサービス事業」単一セグメントとのことですが、その中で3つの領域に分かれ、各々の売上が開示されています。
2016年第一四半期が伸びたのは、テクノロジーソリューションサービスですね。テクノロジーソリューションサービスは「受託」「ビッグデータ(アドテク、クラウド支援)」に分かれています。任天堂が大口取引先ということで、売上の27-30%を占めます。
大口取引先のグーグルは、はてなブログにアドセンス入れてるとかそういう理解で良いのでしょうか。上記3セグメント別利益は開示されていませんが、はてなブログ関連単体では年商が3.6億程度。さすがに、受託であるテクノロジーソリューションビジネスでは営業利益率10-20%は最低でも確保しているでしょうから、はてなブログ自体単体では相当儲からない。もしくは赤字の可能性もありますね。
しかし、安定的に毎年1億前後の経常利益は出し続けていたんですね。しかし、利益率がどんどん悪くなっていってるが気になります。2015年度が持ち直して、任天堂との取引もあるし、行くなら今しかない!GO!という針の穴を突くような上場でしょうか。平成22年の数字で上場した方が、公募価格ついたんじゃないでしょうか。あ、平成22年って2009年でリーマンショック翌年でやばかった時期だ。南無。
明らかに上場申請のタイミング、間違えた銘柄ですね
市況が冷え込んでいたとはいえ、リーマンショック後の2009年かその前に上場しておくべき銘柄だったんでしょうね。2006年2月に上場したドリコムは、市況の良さもありましたが、時価総額1,000億付いたこともあったそうですよ。驚愕です。いかに10年前の2006年がバブリーだった時代かを象徴していますね。
6年後(2012年ですね)100億円の売上で35億円ぐらいの利益が出せるようなところまではもっていかないとと思っています(内藤氏談)
2015年3月期ドリコム売上73億、営業利益3億。目標時期から3年以上過ぎても、営業利益は10倍以上の未達です。2016年1月21日の時価総額は57億。
はてなも2006年に上場していれば、少なくともドリコムが1,000億の時価総額をつけた時代ですから、18億などという公募時時価総額にはならなかったはずです。ドリコムの現在時価総額を類似にされると、まあそんなもんだよね。。と、バリュエーションに納得感はあります。
今回のはてなのIPOは、レイターステージの企業のバリュエーションに下方圧力的な大きな悪影響を与えるかもしれません。ただし、はてなへの評価というのが、成長性も加味すると、妥当なのではないかとは思います。昨今のスタートアップのレイターステージのバリュエーションがバブりすぎているだけで。
ということで、はてな上場は、ユーザーとしても、マーケットとしても、全く歓迎できませんね。投機的な銘柄として、上場当初は売買が増えるかもしれませんが、すぐに流動性がなくなり、停滞するでしょう。なぜこのタイミングでの上場に至ったのか。VCいないのでVCの圧力もないですし。。タイミング的にここしかない!近藤社長がキャピタルゲイン欲しくなったんですかね。まさしく?(はてな)な出来事であります。