上場承認のネットマーケティング、Omiai事業の利益比率は30%

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オンラインデーティングアプリ「Omiai」の運営で知られるネットマーケティングに上場承認。「Omiai」にお世話になった本誌読者も少なくないことでしょう。ネットマーケティング社はOmiaiと類似サービス「Pairs」を保有し、米国のIACに推定200億で買収されたエウレカとは異なり、売上と利益ともに比率を見ると、Omiai事業が本業ではなく、アフィリエイト広告事業が主軸です。

セグメント別を中心に見ていきましょう。

omiai

公募時推定時価総額:想定価格1,380円で96.3億円

いつも通りまずは時価総額。

公開日発行済株式総数:6,982,000株
想定価格:1,380円
想定公募時時価総額:96.3億円
2015年通期当期利益:2.7億円
2015年通期当期利益適用PER:36倍

VCはリクルートのVC部門であるRIPが9.26%、モバイルインターネットキャピタルが7.82%、ほかアドウェイズなどが保有。

2.7億の当期利益の割に、アフィリエイト事業が主軸だからか2015年通期を適用するとPERが36倍と比較的保守的な読みです。Omiai事業だけだともう少しPERは高そう。インターネット銘柄でSBIが主幹事なのは、今年はアルベルトとモバイルファクトリーに引き続き3社目です。公募で二桁億円後半の案件が多いですね。初値は1.5倍程度にはなるのではないかと予測。

Omiaiは年商13億、営業利益2億規模か?

PL 2014年 2015年
売上 6,618 8,524
売上原価 5,271 NA
売上原価率 79.6% NA
営業利益 270 425
当期利益 158 270
営業利益率 4.0% 4.9%
下記も含め単位:百万円

6月決算のようで、有価証券届出書に速報値が出ていました。売上規模85億とかなり大きいですが、アフィリエイト事業が主軸なこともあり、売上原価率は高めで、アフィリエイト事業のみだと薄利なビジネスモデルです。

下記がセグメント別です。「売上比率」「営業利益比率」という滅多に本誌では使わない指標を記載しました。

2014年 Omiai 広告
売上 829 5,789
売上比率 12.5% 87.5%
営業利益 11 530
営業利益 1.3% 9.2%
営業利益比率 2.0% 98.0%
2015年3Q Omiai 広告
売上 957 4,786
売上比率 16.7% 83.3%
営業利益 147 346
営業利益 15.4% 7.2%
営業利益比率 29.8% 70.2%

下は3Qまでの数字であり、Omiai事業は順調にグロースしています。前期が広告宣伝費(特にFacebook広告)にかなり突っ込んでいたため利益率が低そうに見えますが、2015年3Qでは15.4%まで改善していています。メディア事業で月額課金(一部従量課金あり)モデルなので、スケールして課金ユーザーのライフタイムが長くLTVが上がれば、当然ながら利益率が上がっていきます。

3Qの実績値をベースに加重平均+αで見ると、ざっくりOmiai事業の年商は13億程度、営業利益2億程度と読みます。広告宣伝費を4Qにかなり投下していれば、営業利益はもう少し低いかもしれません。

広告事業の方が少し下降トレンドに見えますが、実際の2015年6月通期決算の着地のセグメント開示がまだのため、読み切れず。

合計で2015年3Qまでは4.93億の営業利益ですが、速報値の通期だと4.19億で4Qがダウントレンドです。売上自体は4Q単独で27億伸びており、上昇トレンドなので、これはOmiaiや新規事業である求人サービスのSWICHへの先行投資をして意図的に利益を抑えにいったと本誌では予想します。

オンラインデーティングはレッドオーシャンだが有望市場

先述の「Pairs」を含め、オンラインデーティングは「金のなる木」としてレッドオーシャンの様相を呈してきています。筆者の認識では、国内での先行者はOmiaiでした。2013年10月に筆者が別メディアで取材した記事が。懐かしすぎて恥ずかしすぎる。

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合コンよりOmiaiの方が投資効率が高いと、上記の記事では締めているが、本当にその通り。2015年8月現在では、日本国内でもオンラインデーティングは一般化してきており、CA女子がPairsにけっこういるという報告も本誌の元には寄せられてきている。

クレジットカード売上もあり、App Store上のトップセールスランキング順なわけでは必ずしもないが、2015年8月13日時点では「Pairs:47位」「タップル誕生:96位(サイバーエージェント)」「Omiai:117位」の順となっている。PairsがOmiaiより売上規模が大きいことは想像に難くない。ただ、Omiaiに関してはアプリだとAppleの手数料率が高いこともあり、ブラウザでクレジットカード決済への誘導を強めているという説もある。

この市場はリクルートの「ゼクシィ恋結び」もあり、市場として加熱している。ただ、仮にレッドオーシャン化しても米国では結婚の出会いのきっかけの2位が「ネット(オンラインデーティング)」という結果も出ており、文化として定着すれば、結婚相談所や街コン、合コンの市場からオンラインデーティング市場にお金がシフトしてくることは容易に想像できる。

筆者の周りの反応を見ても、文化として定着してきている感はあり、今後数年は国内でオンラインデーティング市場は拡大が続くと判断する。その中でPairsが売上規模とユーザビリティで一歩抜けている感は否めず、Omiaiはどこまで事業を伸ばしていけるか、今後注目していきたい。

ネットマーケティング社は複数事業に興味があるらしい

ネットマーケティングが上場にあたり、Omiaiの利益およびその高い利益率見込みが成長ドライバーとなったとデータから類推できます。

しかし、以前ネットマーケティング代表の宮本氏に話を伺った際、Omiaiはあくまで事業ポートフォリオの一部であるとのことで、そこに特化していくつもりはないようだ。現にFacebookログインの求人サービス「Switch」という新規事業を始めており、Omiaiで稼いだ利益は別の事業に投下していき、総合インターネットカンパニーを目指すように見える。

スクリーンショット 2015-08-13 16.33.17エウレカがPairsの爆発を軸に、カップルSNSのCouplesの展開を始めたのとは対照的な考え方といえよう。単独セグメントを掘り進む企業と、複数事業を展開する企業、上場後の時価総額推移がどうなっているか、統計を取ると面白そうですね。



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